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第二十八話 激動
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「総統閣下!」
慌てて総統専用の執務室に入室し、バルザックの席に早足で近付いたセドリックは、どんな交渉が行なわれたのかを急いで確認しようとしていた。
部屋を後にしたリリカの顔を見て、彼女の思惑通りに事が運んでしまったと察したセドリックは、バルザックが彼女に負けたのではと思い、焦りと興奮を覚えていたのである。あのバルザックが、帝国宰相リリカと戦い、本当に破れてしまったのか?常に彼の傍に仕え、彼の力を誰よりも知っているセドリックだからこそ、帝国の狂人であるリリカと、どんな交渉を行なったのか気になって仕方がないのだ。
「ホーキンス君かね・・・・・、ふふっ・・・・ふははは・・・・」
「そっ、総統閣下・・・・・?」
バルザックの様子がおかしい。彼は執務室の椅子に腰を下ろし、こめかみに右手を当てて、怪しく笑っていた。明らかに今の彼は、いつもと違う。その怪しい笑みが、彼をより一層狂人に見せ、セドリックを恐怖させる。
「吾輩は・・・・・遂に知ったぞ・・・・・・!」
「一体、彼女と何を・・・・・?」
「これで吾輩は、この世界の神となる切符を手に入れた・・・・・。まさかあのような女が、この切符を持っていたとは・・・・・・」
神となる。そんなものを彼が目指しているなど、セドリックも初耳であった。
確かに、ジエーデル国は大陸中に侵攻作戦を展開しており、このまま各国を征服する事が叶えば、この世界を征したと言っても過言ではなくなる。だが今のバルザックが、そういった意味で、神という言葉を口にしたようには思えない。
今のバルザックの眼に映るのは、セドリックの姿でも、この国でもない。その眼に映るのは、この世界である。
「この大陸を我が手中に治め、吾輩は神となる。そのために・・・・・」
その眼を輝かせ、狂喜の笑みを浮かべるバルザック。彼はこの大陸全土を支配すると決めた。バルザックはジエーデル国を己の武器として、この世界の神となるつもりなのだ。
力による絶対支配。冷酷な独裁者が君臨する世界。彼に敵と見なされれば、明日の命はない世界。
彼がこの大陸を支配すれば、そんな未来が待っている事など、セドリックも承知の上だった。しかし、狂喜して狂い笑う今のバルザックを見て、彼の全身に鳥肌が立つ。
セドリックは、より一層の恐怖を覚えてしまったのだ。目の前にいる大陸最凶の独裁者が、この世界を呑み込もうとする、巨大な怪物に見えたのである。
「吾輩を阻み続ける存在には、そろそろ消えて貰おう」
「総統閣下、まさか・・・・・!?」
「ふふっ・・・・、ふはははははははははっ!!」
立ち尽くすセドリックに構わず、彼は笑い続けた。バルザックが笑い飽きるまで、狂喜し続ける彼の高笑いは、執務室とセドリックの耳に鳴り響き続けたのである。
慌てて総統専用の執務室に入室し、バルザックの席に早足で近付いたセドリックは、どんな交渉が行なわれたのかを急いで確認しようとしていた。
部屋を後にしたリリカの顔を見て、彼女の思惑通りに事が運んでしまったと察したセドリックは、バルザックが彼女に負けたのではと思い、焦りと興奮を覚えていたのである。あのバルザックが、帝国宰相リリカと戦い、本当に破れてしまったのか?常に彼の傍に仕え、彼の力を誰よりも知っているセドリックだからこそ、帝国の狂人であるリリカと、どんな交渉を行なったのか気になって仕方がないのだ。
「ホーキンス君かね・・・・・、ふふっ・・・・ふははは・・・・」
「そっ、総統閣下・・・・・?」
バルザックの様子がおかしい。彼は執務室の椅子に腰を下ろし、こめかみに右手を当てて、怪しく笑っていた。明らかに今の彼は、いつもと違う。その怪しい笑みが、彼をより一層狂人に見せ、セドリックを恐怖させる。
「吾輩は・・・・・遂に知ったぞ・・・・・・!」
「一体、彼女と何を・・・・・?」
「これで吾輩は、この世界の神となる切符を手に入れた・・・・・。まさかあのような女が、この切符を持っていたとは・・・・・・」
神となる。そんなものを彼が目指しているなど、セドリックも初耳であった。
確かに、ジエーデル国は大陸中に侵攻作戦を展開しており、このまま各国を征服する事が叶えば、この世界を征したと言っても過言ではなくなる。だが今のバルザックが、そういった意味で、神という言葉を口にしたようには思えない。
今のバルザックの眼に映るのは、セドリックの姿でも、この国でもない。その眼に映るのは、この世界である。
「この大陸を我が手中に治め、吾輩は神となる。そのために・・・・・」
その眼を輝かせ、狂喜の笑みを浮かべるバルザック。彼はこの大陸全土を支配すると決めた。バルザックはジエーデル国を己の武器として、この世界の神となるつもりなのだ。
力による絶対支配。冷酷な独裁者が君臨する世界。彼に敵と見なされれば、明日の命はない世界。
彼がこの大陸を支配すれば、そんな未来が待っている事など、セドリックも承知の上だった。しかし、狂喜して狂い笑う今のバルザックを見て、彼の全身に鳥肌が立つ。
セドリックは、より一層の恐怖を覚えてしまったのだ。目の前にいる大陸最凶の独裁者が、この世界を呑み込もうとする、巨大な怪物に見えたのである。
「吾輩を阻み続ける存在には、そろそろ消えて貰おう」
「総統閣下、まさか・・・・・!?」
「ふふっ・・・・、ふはははははははははっ!!」
立ち尽くすセドリックに構わず、彼は笑い続けた。バルザックが笑い飽きるまで、狂喜し続ける彼の高笑いは、執務室とセドリックの耳に鳴り響き続けたのである。
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