幽世路のお繚

悠遊

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紅い嘆き

拾壱

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 夜が訪れ、疎らに並ぶ街灯が町を照らす──横道から裏道へ、に、八千穂達の砂を蹴る足音だけが響き渡っている。
 隣に並んで二人は一言も喋らず右往左往、先を行く少年の後をついて行く──。

 その間、奇妙なことに二人は町の人々を誰も見ていない。

 もう暗くなったとはいえ、まだ道行く人がいる時間帯である。
 にも関わらず、一人として町の住民を見ていない。
 横道はとうに抜けているのに、通りがとても静か過ぎている。
 歩行者、自転車や自動車を運転する者───それらの姿がない。
 なんとも不気味な光景だった。
 そんな思いを抱きつつも、少年の導くままに後を追い続け、辿り着いた先は狭常神社だ。
 あの時と同じ、暗い景色の中での来訪に、昨夜の出来事を否応がなく思い返した二人の顔が引き攣る。
 その入り口で、少年は歩みを止めた。
 二人が、まさか──と思った矢先、少年は入口を素通り、その先に鎮座しているへ向かって行く。
「っ?! い、いやマジで!?」
「まさか…けんたろう君、電話ボックスに…!?」
「でもそれだったらおかしいじゃん。噂だと夜の零時だよ? まだ七時過ぎたばかりなのに……やっぱり罠なんじゃないかな? かなり不安になってきた」
「わ、私も……昨日の今日だもん。とても恐い…」
 そんな二人のひそひそ話など聞いているはずもなく、少年は電話ボックスの前に立ち止まると後ろを振り向いた。
 
 ……ここだよ。

 まるでそう言っているように二人は思えた。

「やっぱり、あそこなんだね」
 八千穂が明希の手を握る。
 少し驚いた様子で明希が彼女の方へ向くと、本人は恐怖を堪えて唇を強く締めおり、握る手が微かに震えている。
 そんな八千穂に明希はほんの少しばかり強く握り返す。
「今度は一人にしないよ。アタシも一緒!」
「うん!」
 二人揃って大きく深呼吸──気を引き締め直し、電話ボックスへと進む。
 近付くに連れ、電話ボックスから異様な威圧感を感じるが、歩みを止めはしなかった。
 少年の元まで合流すると、彼は再度電話ボックスに向き直る。

 すると、大きな音を立てて扉が開いた。
 
「!! …び、びっくりするなぁ」
 ぼやいた明希がまた一歩踏み出すと、今度は受話器が大きく飛び跳ねて落下──宙に垂れ下がり、コードは伸びた状態でゆらゆらと揺れている。
 連続して起きた心霊現象に明希は「もぅ、もー!!」と憤慨するが、八千穂は恐怖で掴んでいる手がさらに震え、空いている片手を心臓部に当てながら溢れ出た涙を一筋垂らした。
「八千穂しっかり…!」
「…………うん。ごめん」
 二人は目を瞑って大きく深呼吸。
 調子を整えて目を開ければ、傍にいた少年はいつの間にか消えていなくなっていた。
「あ、あれ!? あの子どこに……」
「もしかして…“先に待ってる”って、こと?」
 と、明希は揺れ動く受話器を見つめながら呟く。
 その振り子はまさに“おいでおいで”といざなっているように見えた。
 怯えてばかりいてもどうしようもない。余計なことは考えず、揃って電話ボックス内に入ると明希が受話器を持ち上げ、正面に向き合う。
「……この十円が片道切符になりませんように…!」
 小銭入れから硬貨を取り出して念を込め、本体の投入口に押し込む──硬貨同士がぶつかる音が鳴った。
 それを確認すると八千穂は《四三二一九》と件の番号を手早く打ち込んだ。

 ………………………………

 しかし、いくら待っても無音が続くだけだった。

「………故障?」
「嘘で──」
 その瞬間、二人の足首を“何か”が掴んだ。
「しょおぅおぉぉっ?!!」
「キャァァァァァッ!!」
 足元を見れば──地面は漆黒に塗りつぶされ、そこから無数の小さな手が自分達を掴んでいる。

 それだけを理解し、その後は悲鳴を上げることも出来ず瞬く間に漆黒の中へ引き摺り込まれていった───。


   ※※※※※※


 闇の中を駆け落ちたのも一瞬。
 二人は着地もままならず臀部を強く打って“その世界”へ降り落ちた。
「あっ、タタタ……っ、ここ…どこ?」
 と、二人が次に見た景色は、常識ではあり得ない世界だった。

 辺り一面にそびえ立つ樹々──
 血の色で染まっている空──
 得体の知れない雄叫びも聞こえ、震える大気に荒々しく揺れ動く樹々の騒めきが不気味さを余計に引き立たせていた。

「な…っ!? なに、ここ……?!」

 曰く付きの樹海を彷彿させる殺伐な風景。
 そんな場所に放り出された二人は身を強く寄せ合って呆然と見渡すばかり。
 さっきまで感じていた暑さは急激に薄れ、今は体の芯から寒気を感じ、背中から嫌な汗が滲み出る。
「こ、こわい…」
「しっかり。大丈夫よ…たぶん……くっそー、ダマされたぁ……!!」
 もう少し警戒していれば──明希はそんな後悔を内心で叫びながら安全そうな場所を探すが、状況を飲み込めていないこともあって冷静さを欠いていた状態では見つかるはずもなかった。
 その時──

 ひょぇあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!!


「「キャァァァァ!!?」」
 突如男性の甲高い悲鳴が樹々の奥から響いてきたことに二人も悲鳴をあげた。
 ──叫び声がこちらに近付いてくる。おまけに僅かな地鳴りも響いていた。
 二人はますます恐怖に縮こまって頬を痙攣らせる。
「な…何よいったいっ!?」
 八千穂は明希の胸元に顔を埋める。
 直後、樹々の合間を大慌てで駆け抜ける人物が見え始めた。
 男性の老人。風呂敷包みを背負って躓きながら必死の形相だった。
 よかった、人だ。と、明希は一瞬だけ気を緩めると、彼女達に気付いた老人が大仰に両手を振って「逃げるんじゃぁぁぁ!!!」と声を絞って叫ぶ。
 何故そんなことを言ったのか?
 その答えは、樹々を薙ぎ倒しながら彼を追い掛けてきたの姿が物語っていた。
「ッ!!? や、八千穂立って!!」
「急げ!! 早く逃げるんじゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
 遅れて顔を上げた八千穂が迫り来る怪物の姿を見て涙目で悲鳴を上げる。
 目の位置は黒く窪んでおり、大気を震わせるほどの唸り声を上げて大木の如く太い両腕を振り回しながらやって来る泥の巨人。
 ファンタジー小説や漫画で出てきそうな怪物を前に八千穂は腰が抜け、明希が引っ張り上げても素早く動けない。
 そんな彼女に明希も焦りが増し、見知らぬ老人もその異変を察したのか通り過ぎようとしたところで手を差し伸べてくれたが、その頃には巨人があと少しというところまで迫っていた。
 三人は心のどこかで諦めが生じ、脚が動かず、顔面蒼白となってその場にへたり込んだ。
 追いついた巨人が窪んだ穴で三人を見下ろす。
 圧倒される存在に戦慄わなつき、唇を震わせてたじろぐ。

 巨人の腕が振り上げられた。

「「「ッ!!!」」」
 岩の如き拳が三人の頭上に迫りくる。
 観念に目を瞑り、皆は頭を抱えて身を縮こませた。

 ────何も、起こらない。

 最初にそれを感じた老人がちらりと上を見やると、巨人は振り下ろした状態のまま動きを止めていた。
「な、なんじゃぁ……?」
 老人の呆然とした呟きに八千穂達も恐る恐る見上げた。

 ──ズルッ

 巨人の頭頂部が
 それを皮切りに巨人の身体が瞬く間に花開くかのように割れ落ちる。
 三人は座り込んだまま慌てて退がり、巨人の身体は地響きを鳴らして倒れ朽ちた。
「──大丈夫でしたか?」
 呆然と死体を見つめて困惑する三人に凛とした声が投げ掛けられた。

 巨人の居た場所には、泥塗れのが一人。片手に刀を携えて凛と佇んでいた。
「お……お繚!? お前さんなのかッ?!」
 老人が叫んだその名に八千穂と明希は目を大きく見開く。
 そして、靄がかっていた記憶が一瞬に晴れ、昨夜の出来事が早回しに流れて蘇った。
 そんな二人をお繚は目を細めて流し見つめ、瞑り、片袖で口元を隠す。
「──何という因果なのかしらね…」
「へ?」
「何でもないです。それよりこんなみっともない姿でごめんなさい。今お取り込み中で身形を正す時間もないのですよ」
「は……ぁ、そ…」
「あの、ここにちっちゃな男の子が来ていませんか? 身長これくらいなんですけど」
 と、言葉が上手く出てこない八千穂の代わりに明希が片手を宙に掲げながら問う。
 再びちらりとお繚は明希を一瞥。
「少しお待ちを」
 と、刀を正眼に構え、刃を垂直に立てる。
「《泡沫うたかたきよめを》」
 淡く青白い燐光がお繚をゆっくり包み、光は彼女に被さっていた泥を浮かせて綿毛状に浮かび、宙に散っていった。
 幻想的な光景に三人は目を奪われ、立ち上がる事も忘れて口を半開きに眺めている。
 ──終わった頃には、着物から雪肌覗く美麗の姿へ元通り。
 刀を鞘へ収め、今度は微笑みを浮かべて浅く一礼。
「いつまでそんな格好をしているのですか?」
「お…おお、そうじゃったそうじゃった……ところで三毛丸はどうした?」
「ここでぐっすり寝ているわ」
 と、胸元を人差し指で軽く叩く。
 それを知った老人は目を見開いて口を大きく、顎が外れてしまうのではと思うほど開けた。
 それを横目に見ていた少女二人は呆れと侮蔑の眼差しを静かに向けながら立ち上がる。
「………お繚さんまた助けていただいてありがとうございます」
「どう致しまして。それに実はこちらも助けられたようなものなんですよ。つい先程まで敵の術中に嵌ってしまい、脱出の術も無く捕らわれていたところ、貴女方の気配をたまたま感じ取れたからこうして出られたわけです」
「そ、そうじゃったのか……今更気付いたんじゃが、お前さん達生者だろう? なのにお繚の事を知っておるのか?」
「それは…」
「巧爺、彼女達は少し前にご友人を捜しに幽世路へ迷い込んだ子達なんですよ。友人の──そうでした。貴女方はどうやってまた此処へ? さっき明希ちゃんが言っていた男の子と何か関係が?」
「そうなんですよ! 実は此処に来る前……顔がすっっごく腫れた男の子に電話ボックスまで連れてこられて…あれってもう幽霊だよね…!」
「う、うん……それで捜している男の子はけんたろう君って名前で、ちょっと、わけありで……っ!?」
 お繚が真剣な表情で八千穂の前までやって来た。そして「失礼します」と、左人差し指と中指を彼女の額に当てる。
 直後、流れ込んでくる八千穂の思考と過去の出来事───その中に、の残滓を見つけ、痛々しい疵を負ったその姿を記憶に焼き付ていく。
 そんな事をしているとはつゆ知らず、額に指を当てられたまま押し黙る彼女に八千穂は動けずに目だけ動かして困惑を露わにしていた。
「ちょ、ちょっとお繚さ…」
 止めに入ろうとした明希の腕を巧爺が掴んだ。
「やめんか。今彼奴はあの女子おなごの記憶を読み取っているのじゃ」
「そんな──って、やだ! 離してよエロジジイ!」
「じ──!? な、なんじゃその小生意気な悪たれ口は!! ワシの何処が……その前に『えろ』ってなんじゃい!?」
「はぁっ?! そりゃあんたみたいな奴の事言ってんの!!」
「だから! それが何という意味なんじゃと聞いてるのだ色気無しの跳ねっ返り小娘が!!」
「っ!? こんのセクハラジジイッ!!!」
「ええい、ワシの知らん言葉を使うでないわぁッ!!!」

「 お・し・ず・か・に 」

 鋭い目付きの──まさに鬼の形相でお繚は傍で騒ぐ二人を睨んだ。
 全身に突き刺さる怒気を感じた二人はいがみ合っていた事も忘れて抱き竦み、揃って小さく謝罪を告げた。
 そんな二人に八千穂も苦笑いを浮かべている。
「…………失礼しました。これまでの経緯は把握しました。あとはこちらで引き受けましょう」
「え?」
 お繚は着物の胸元に手を入れ、未だ寝ている三毛丸を掌に乗せ転がす。
「三毛丸、起きなさい」
「……っ、ふぁぁぁ…もうおわったぁ?」
「残念ながらまだよ。私達はこれからもう一度元凶の処へ向かいます」
「またあのおっかないところに行くのー? おいらいやだよー」
 ひとりでに喋り、ころころと動く毛玉を八千穂達は半分口を開けながら眺めていた。
「しゃ…喋ってる……」
 八千穂の呟きに反応して三毛丸は振り返り、愛くるしい眼を向けた。そして「やぁ、おいら三毛丸。あんた達だれ?」と跳ねて挨拶を送ると、八千穂達は顔を綻ばせた。
(か、かわいい)
「この子達は生者の八千穂さんと明希ちゃんですよ」
「へー、そうなんだ。まいごなの?」
「いいえ。それよりお願いがあるの。この子達を元の世界へ送り届けてください」
「え……? ちょ、ちょっと待ってくださいお繚さ──!」
「待ちません。そのけんたろう君という子の捜索は私が引き継ぎましょう。彼が無事でしたら責任を持って還します。貴女達はお帰りなさい。幽世ここは生者がいてはいけない場所なんですよ」
「勝手なこと言わないで! さっき八千穂から記憶を読み取ったかどうかなんて知らないけど、どこにいるかだって分からないでしょ!?」
「ご心配無く。すでに検討は付いています」
「で、でも…」
 何を言っても聞く耳を持ってくれないお繚に八千穂と明希は苛立ちを隠せなかった。
「……一つお尋ねしてもいいでしょうか。けんたろう君は貴女方の何なのでしょうか? 家族ですか? ご友人ですか?」
「それは違うけど…でも、あんな目に遭ったのにほっとけないないわよ」
「そうですか。では、?」
「……そ、それは……えっと………」
 捜す一心で深く考えていなかった。
 二人は口を噤み、頭では、知識では、助けた後は『親の元へ帰すべきだ』と告げている。
 しかし、感情はその提案を拒む。当然だ。
 あんな光景と言動を見せつけられてはあの子が可哀想。いずれまたすぐに酷い目に会う。二人はそう思っていた。
 では、この後彼を助けられたとしても、さらにその後はどうする。

 しばらく家で預かるか──
 警察に届けて終わりか──……

 脳裏で様々な候補が生まれるが、二人は言葉として出せず、緩く喉を絞められる感覚が何とももどかしかった。
「……情に任せてばかりで先を見据えての行動が伴わなければ、それは悲しいことに“無責任”と云われてしまいます。それに善行も後が疎かでは結局“偽善”になってしまいますよ」
 すぐに言い返せなかった。
 たしかに考えは甘かったかもしれないが自分達は間違っていない。そう思っているが故に八千穂は奥歯を噛み締め、明希は握り拳となって悔しさが表れる。
「お、お前さん。ちょっと言い過ぎじゃないか? いくら何でももう少しじゃな──」
「さぁ、この子に乗ってください」
 と、巧爺を無視してお繚は三毛丸を立ち尽くす二人の傍へ放り投げる。
 宙で元の大きさへ戻り、静かに降り立った。
「おねーちゃんたち、どーぞー」
 そう言って頭頂部を平たくして縮むが、八千穂達は動かなかった。
「……困った子達ですね」
 お繚の両手が二人の後ろ襟に回る。
 ここで何もせずに引き返せるか?

 イヤ──

「いやです…」
 お繚の手が止まった。
「うん…アタシも、そんなの絶対にイヤッ!!」
 八千穂と明希は俯いていた顔を同時に上げ、お繚を見据える。
 間近に見える人ならざる瞳と冷えた微笑みに一瞬息が詰まるも、抱く気持ちは微塵も変わらない。
「私達も一緒に連れて行ってください! それで助けた後は……何とかします!!」
「はい?」
「つ、つまり! まずは何よりもあの子を助けるのが先ってことよ!! たしかにその後の事も大事だってのは分かるけど、今はあの子を助ける事が一番大事でしょ!」
「ええ。ですのでそれは私が引き継ぎますよ?」
「それじゃダメなの!! 何て言うか……自分でもよく分かんないけど、それはアタシ達でなきゃいけない気がしてるの!」
 なんとも支離滅裂な返答にお繚は思わず眉を下げる。
「……解せませんね。貴女達が彼を助けたいと云うその執着。損得勘定抜きにしても、お人好しが過ぎて滑稽に見えますよ?」
「何とでも言ってください。とにかく私達は、けんたろう君を助ける為に此処へ来ました」
「ここまで来て連れ帰りもしないなんてアタシは出来ないし、それに、一つだけ確かなことをアタシ達は言えるわ!」
「ほほぅ……それは何でしょうか?」
 八千穂と明希はお互いに目配せ、微笑を浮かべて頷く。
 そんな様子にお繚は両目を細める。
 彼女達がどんな《答え》を見せてくれるのか──自然と口角が上がった。


「「『誰かを助けたい』に、理由なんていらないッ!!!」」


 開眼──お繚は二人の《想い》を受け止めた。
「……………それが確固たる信念ですか……やはり我儘、ですねぇ」
 そう言う彼女は微笑んでいた。
 八千穂と明希はお繚の手をそれぞれ掴む。
「お願いします…どうか、私達も一緒に連れて行ってください」
 明希は無言だったが、彼女も眼差しで訴えていた。同時に『いいって言うまでこの手を離さない』と訴えているようにも思える。
 ほぅ──っと、お繚はため息を洩らす。
「……眩しいですね。貴女達のその気持ち、嘘では無いと見受けました。いいでしょう。くれぐれも無茶な真似はおやめ下さいね」
 許可の返事をもらった途端、八千穂と明希は笑顔を見せ、力強く頷いた。
 ここまでの様子を見守っていた巧爺も三毛丸と視線を交わしてお互いに安心したとばかりに微笑んだ。
「では手を離していただけますか?」
「あ、ごめんなさい」
「──さて…?」
 突然お繚が背後に投げ掛けた言葉に一同は目を丸くし、瞬きを繰り返す。

 すると──一本の樹の陰から、八千穂達をこの世界に招いた少年が顔を覗かせた。

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