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13.帝国の英雄
しおりを挟む「んんっあん、ガッくん、激し」
「ガクト、もっとキス」
「ガクってば、2人ばっか!私も見て」
「全く。順番に可愛がってやるから、大人しくしとけよ」
夜更けの豪華な寝室で、1人の若い男は美少女3人と激しい情事を交わす。
その男は、「英雄」と呼ばれた。
─────────────────
現在、オニキス王国の東にはメガール王国、西にはギガンス公国、北にはエクサリ帝国、南にはオニキスを含めた5つの小国が密集している。いずれの国境には、"バーグ"という樹海が広がっている。
小国は以前、100余りあったが、2年足らずで5カ国までに激減した。それは、エクサリ帝国による侵攻があったからだ。その最前線にいたのが、英雄ガクトであった。
大国の小国の違いには、経済力や食料自給率など様々な要因があるが、中でも軍事力には圧倒的な能力差があった。
メガール王国では、洗練された剣士や格闘家など武術に秀でた者や医者や弁護士といった優秀な頭脳をもつ人材育成に長けていた。また、メガールでは遺伝的に魔法を扱える者が多く、魔法の研究も盛んなため、即戦力となる魔道士を大勢、輩出していた。そのため、他国からは"魔教国家"と呼ばれている。
ギガンス公国では、殺傷能力・破壊能力ともに優れた小銃からミサイルまで、あらゆる軍事兵器の開発・精製に長けていた。科学と魔法の高度なハイブリッド技術に、各国からは、"ハイブリッド国家"と呼ばれている。
この2カ国は、いづれも好戦的な国家ではなく、互いに切磋琢磨するライバルのような関係性だ。また、国境にはバーグの森があるため、簡単には侵攻出来ない。このことから、2カ国の均衡は保たれ、同時に世界平和も維持されていた。
そう、ちょうど2年前までは…
この均衡を打ち破ったのが、当時のエクサリ小国、現エクサリ帝国だ。
エクサリ小国は、元々、情報収集能力の高さから隠密戦を得意としていた。どうして、情報収集に長けているかは、優れた軍事2大国ですら解明出来ていない。過去に侵攻されそうになった際にも、侵攻国の最重要人物の暗殺や国家機密漏洩など、知恵と駆け引きで勝ち抜いてきた。その中には、国際指名手配犯や密輸組織、テロ組織といった各国の国家存亡に関わる情報もあったため、一部の国では密かに"影のヒーロー"とまで言われている。ただ、国自体の功績はあくまで国家機密であるため、結局は数多ある小国の1つとしてしかカウントされなかった。
これを良く思わない者がいた。
エクサリ小国27代目国王ワカサだ。
ワカサは、影のヒーローではなく、大国の"真のヒーロー"として、各国にその名を轟かせ、そして世界の勢力図を書き換えたいと画策した。そうして、たどり着いたのが、異世界人の召喚だった。
情報国家であるエクサリでは、国家創設時から保管されている大量の書物庫が国中の地下に張り巡らされている。国境付近にある書庫で見つけたのが、異世界人の特別な能力と召喚方法を記した古い日記だった。その日記には1人でに戦況をひっくり返すほどの力を持つ者と記されている。
日記通りの方法で、極秘に召喚されたのが、ガクトだった。実際、ガクトの力は、1人で精鋭軍人100人をなぎ倒せるほどに強かった。これはワカサの想像以上で、戦力に自信を持ったワカサは次々と小国を打ち滅ぼすように命令した。そして、領土は大国の領土面積にまで広がり、小国は帝国に、ワカサは国王から皇帝に名を格上げした。そして、ガクトは領土拡大の功績により、異世界人から「英雄」と呼ばれるようになった。
こうして、大国の一員にエクサリ帝国が新しく加わったことで、世界の均衡はあっという間に崩れ始めたのだった……
─────────────────
「ガッくんの紋章、いつ見てもカッコいいね。大好き」
初めに、ガクトとの激しい交わりを終えてぐったりとしている少女が、ガクトの胸元の紋章にキスをする。
「あぁ、俺が異世界人っていう証明みたいなやつか」
「ガクトってば、強すぎっ、あっん、この前もっ、たった1時間で全滅させちゃうんだ…もん、兵隊さんたちビビっちゃってた、んっ!」
ガクトは勢い良く、もう1人の少女を突き上げる。
「んっっ、それが俺の仕事っだからっな!」
「あっんんんっっ!!!」
すると、また別の少女がガクトの唇にキスをする。そして、ガクトの鼻頭を指先でつついた。
「ほんと、ガクって~英雄様じゃなくって、魔王様みたいだね。こっわ~い、ま・お・う・さ・ま??」
「魔王でっ、悪かったな。じゃあ、お前は抱かなくて良いんだな?」
ガクトは、今、突き上げた少女のしなだれる背中を撫でながら、ニヤリと微笑む。
「んも~、なんでそうなるのよ!ちゃんと、私も抱かないと怒るんだからね!」
「はいはい」
そして、突き上げていた少女から大きな男根を抜き取ると、今度は、駄々をこねる少女を自分の身体の上に抱き上げる。
「んも、そんなに見ないでよ」
「あぁ、綺麗な裸に見惚れてた」
「ううっっ、も~っそれだけ~?!」
「それだけじゃねーよ、今から嫌っていうほど抱いてやる」
それから、ガクトは今日最後の少女を抱いた。
─────────────────
日記によれば、異世界人の左胸には紋章があり、紫色の幾何学模様が浮かんでいるとのこと。それは、ガクトも同じだった。そして、召喚された者には特別な能力があることも記されていた。武術や魔法の上達スピードが異常に早く、ずば抜けていたという。この国で100年ぶりに召喚されたガクトも最初こそ戸惑っていたが、たった2週間の訓練で剣術、魔法、格闘ともに、精鋭達を超えるまでに上達した。そのため、聖女のマリカ、魔法使いのミカル、格闘家のハンナの3人の少女の同行を条件に、ガクトは皇帝直属部隊として、唯一の単独かつ自由行動が許された。それから遠征を始めて、たった2年で小国のほとんどを打ち滅ぼしていった。
予定よりも早く、ほとんどの小国を滅ぼしたガクト達は、2週間前に一時帰国し、王宮にて休養していた。ガクト達は、王宮に戻ってから、毎晩、寝室で肉欲の限りを貪っていた。そして今晩も…
一方、皇帝ワカサは、皇帝の間にどっかり座り、赤ワインを嗜みながら、ほくそ笑んでいた。
『全ての小国はもちろん、メガール、ギガンスをも手に入れ、エクサリを世界唯一国家とする』と。
それは、短期間で才能も地位も名誉も権力も女も、ほぼ全てを手にしたガクトにとっても、最早、野望ですらなかった。
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