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4.初撫で

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「ん…ん?」

…ここどこ…

あれ…?なんで、私生きてるの?!
私…死んだんじゃなかったっけ…
あの時、確か、お風呂に入ろうとしたら、知らない男に溺死させられて…
えっ?じゃあ、あれは夢?
だったら、ここどこよ…
私の家じゃないよね…

海外の映画であるような中世ヨーロッパ風の家具ばかりだ。どれも高級っぽい……
ん?
モゾモゾすると身体に何か違和感を感じた。
気になって毛布の中を見ると…

「なん…で、私、裸なの?!」

あぁそうか、お風呂に入ろうとしてたから、当然裸よね、タオルも持ったままだしって、そうじゃない!!

状況は全く飲み込めない。だが、とにかく逃げなければ!!それだけは理解した。
服はないから、とりあえずベッドのシーツを身体に巻く。後は出口を探すのみ。
辺りを見渡すと、10歩くらい歩いた先に白い木製の扉があった。
あそこを開けば、外へ出られる!!
走って駆け寄り、金色の取手をひねる。
しかし、そんな考えはすぐに打ち砕かれた。

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

「あれっ、開かない…」

扉は諦め、辺りを見渡すと、ベッド脇に出窓があるではないか。出窓に駆け寄り、窓の鍵を探す。

「この窓どうなってるのよ…普通、ここに取手あるでしょ」

瑠璃はこの時まだ、ここが日本とは別の世界であることを知らない。

「鍵がないんじゃ、割るしかない」

何か割れそうなものを…
寝台の傍に重厚感漂う紅色の腰掛け椅子があった。重そうだけど、これだったら簡単に割れやすそう。椅子を持ち上げ、投げようとした。
その時だった。

「おい、お前何している」

低い声が耳元から聞こえる。
あの時、私を殺そうとした犯人だ。
何で、今まで気が付かなかったのだろう。
犯人もここにいるという可能性を…
犯人が真後ろにいる恐怖で振り向くことすらできない。身体は硬直したままだ。

…今度こそ完全に殺される…
なんて言い訳すれば良いの…

瑠璃の心の中はガタガタ震えていたが、

「逃げようとしてただけでしょ?!あんた、私を殺そうとしたじゃない!」

あろうことか、犯人に逆ギレしてしまった…
自分の生死がかかっている大事な時に犯人に逃げるとか言ったら、ほんとに殺されるでしょ?!
普段はポジティブ思考で落ち着きのある性格の瑠璃だが、追い込まれたら思考が暴走し、誰に対しても喧嘩っ早くなるのだ。
瑠璃は自分で自分の性格を呪った。
だが、もう後には引けない。

「お前を殺すだと?」

「そうよ!」

「じゃあ、何で死のうとしてるんだ?」

「はっ?意味分からないんだけど!?」

「お前、ここから落ちたら死ぬぞ」

「えっそんなわけ…」

窓を覗くと、住宅が密集しているが、一つ一つが小さすぎてドットにしか見えない。遠くの方には山々が連なっている。恐る恐る下を覗くと、地面は雲に隠れて全く見えない。ひょっとしてスカイツリーの最上階ってこんな感じなんだろうか。瑠璃は、こんな高い所から飛び降りようとしていた自分に身震いする。

「そもそも俺がお前を殺すわけないだろ。お前は俺の妻になるのに」

この男、今なんて言った…

「だから、逃げることは許さない」

「意味が分からない…私、あんたのこと知らないし…そもそも、あんたに殺されかけたのよ?!誰があんたの妻になんてなるのよ」

「まずは、お前を抱かせろ」

「あんた、私の話聞いてた?」

「俺もお前のことは知らない。そうでなくても、俺はお前を気に入っているんだ。今の会話でよく分かった。この国には、お前みたいに反抗する女などいないからな。ますますお前に興味が湧く」

「嫌よ!早く家に帰して!」

「そうか、じゃあ仕方ないな」

そして突然、腕を引っ張られ、ベッドに押し倒された。巻いていたシーツも剥ぎ取られ、瑠璃は一糸纏わぬ姿となる。瑠璃は胸と下を隠そうとするが、カルセドはその手を掴み、瑠璃の頭上で固定する。瑠璃はその時、初めてカルセドの顔を見た。だが、今はそれどころではない。

「嫌!!離して!誰か助けて!」

「やめろ…ここには誰も来ない」

「そんなはず」

「この塔は俺1人で使っている。しかも、誰もお前の存在を知らない」

そう言って、カルセドは片手で瑠璃の柔らかい乳房を揉む。

「はぁ…あん…やん…触ら…ないで」

本当は叫び出したい気持ちでいっぱいなのに、自分のものとは思えない甘い声が口から漏れる。カルセドは瑠璃の反応に興奮し、膨らみを掌から溢れるくらい激しく揉みしだく。

「あっん…いやっ…!」

不意にカルセドはピンク色の突起を指で摘む。瑠璃は理性を保ちつつ、カルセドを睨みつける。

「あんたっ…」

「俺はカルセドだ。そう呼べ。お前は何という」

「嫌!!自分の名前教える訳ないでしょ」

「そうか、これでもか?」

カルセドは突起を指でツンと弾く。

「っあああ!!」

「あははは、お前、敏感なんだな」

次は、突起を口に含み舌で転がす。

「はぁ、いや…!おっぱい吸わないで!」

「吸ってほしいのか?」

「ちがっ…あああっ!!」

カルセドは瑠璃の胸に赤子の如くチューッと吸い付く。瑠璃のふるりと揺れる膨らみは今まで抱いたどの女よりも美乳で揉み応えがあった。しかも、感度も高い。

「はぁはぁはぁ…瑠璃よ!!もう良いでしょ、解放して」

瑠璃は男に身体を触られた初めての感覚に理解が追いつかない。
見ず知らずの男に触られるのは嫌悪しかないのに…何なのよ、このふわふわする感覚…

胸を執拗に責められた瑠璃の全身は汗と赤みが滲み出ていた。
すぐにでも、この妖艶さを増した裸体に自分の剛直を貫きたい。カルセドの思考はもうそれだけだった。

「ルリか、可愛いな。だが、これからだ」

抵抗できない瑠璃は、カルセドの言葉にゾッとするしかなかった。


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