よわむしエレンの物語 あらくれ王子

ハルキ4×3

文字の大きさ
上 下
2 / 5

第2話

しおりを挟む
騎士学校から遠く離れた所に大きめの街があった、そこの酒場は
昼でも外からでも怒号が聞こえていた。
この街の人間はここを知っている、その酒場の治安の悪さを。
あらゆる荒くれ者が集まり、ここはまるで凶暴な猿達が入った
檻の様に中は荒れていた。
その酒場の奥のカウンターには一人の男が座っていた。
左右の席にはそいつの仲間が座ったいた。
「おう坊や、そこをどけや、ここは“坊や”が来るところじゃない
んだよ」と大柄な荒くれ者がそいつに因縁をつけてきたしかし
その男は振り返らずに言った。
「消えな、他のとこで座れよ」
それにカチンと来たのか荒くれ者はさらに言った。
「ナマをほざくんじゃねよ、俺はケンカで何人もシメてるからよぉ」
なおも振り返らず男は言い放った。
「口達者なやつほどでかい口を叩くと言うぜ、なら試すか?表に出て」
男の左右の仲間はケラケラと笑っていた。
「テメェ‼︎ぶっ飛ばしてやるよ‼︎」と荒くれは剣を抜いた。



「ずいぶんと大きな街だね、初めてきたよ」と馬に乗りながら街を見回すエレン
「私がいたとこはこんな感じだったよ」とルーシーは言う。
「お前達、今日は観光ではない任務だ、気を引き締めろ」とランクリーは
注意をした。
彼ら一隊は馬に揺られ、お尋ね者を探しに遠出をしていた。
進みながら街の人にそのお尋ね者について聞き回っていたら
「ああ、見たよその男は、確かあっちの酒場に行った気がするが」
「ご協力感謝する」とフッドはお辞儀をして馬を進ませた。
「だから言ったろ、チンピラは酒場に集まるって」
「あんたの言うことはたまに当たるんだね」と皮肉に言うルーシーに
「“たまに”ってなんだよ‼︎」とドルッグスは怒り出した。
そんな彼を「落ち着いて」となだめるエレン。
そして注意をするランクリーといつも学校でやるやりとりをしていると
目の前に群衆が集まっていた。
その中心にはうずくまっている荒くれとそれを見下ろす長身の男がいた。
「ふん、剣を使うまでもなかったな」と吐き捨て仲間2人を引き連れて
その場を立ち去ろうとした。
「セオー、そこを動くな」と馬に降りたフッドとランクリー
が群衆の中から出てきた。
「騎士か…俺に何か用か?」
「アルフォース公爵様の命令でお前を捕縛する、おとなしくしろ」
それに対してセオーはニヤリと笑って言った。
「お前、なかなかいい目をしてるじゃねえか、」と腰に下げた刀を
抜いた。
すると横にいた仲間2人が前に出てきた。
「兄貴!、こいつらは俺らがやりますぜ」
少し背の高い出っ歯とガタイのいい小男が立ち塞がり、
捕縛の邪魔をした。
「ふぅ…エレン、ドルッグス、ルーシーこの2人は任せた‼︎」
と3人を呼びフッド達の前に立った。
「俺らを舐めたもんだ、こんなガキを相手にさせるとは」
「ラグ、あのでっけえガキを俺に相手させてくれ」
とセオーの弟分は話あっていた。
一方フッドの生徒3人も話し合っていた。
「エレン、何か作戦はある?」
「そうだね…まずはあいつらがどんな感じか分析する方に…」
「考えてる暇はねえ‼︎俺はあのジャガイモ野郎をマッシュするぜ‼︎」
とドルッグスは一人で片方に突っ込んで行った。
そしてその小男を足で踏みつけようとしたが、それを両腕で受け止めた。
そして後ろへと放り投げた。
ドルッグスは群衆の中へと落ちていった。
「あー…あのばか…」と呆れるルーシー。
その横ではガキィンっと鉄のぶつかる音が聞こえた。
フッドとセオーが剣を取り出して戦っていた。
「剣だけは抜きたくなかったがやむおえんな」
「抜いたのはそっちの勝手だろ」
とセオーは刀を右に振った、それを剣で受け止めてフッドは真正面から
突いたがそれをフイっとかわし手に持っていた刀を鞘に納め構えた。
「さっきもそうだったが“剣を鞘に収めて切り付ける”という行動をするぞ…
抜刀術という剣術を聞いたことがあるが、確かあれは…」
というまもなく居合い抜きを繰り出した。その速さは弓から放たれる矢
とは比べられない速さだった。
うまくガードは出来たものの思わず体勢を崩し、後ろに倒れてしまった。
セオーはそこを狙い一太刀フッドに入れようとした瞬間。
カイインっと何者かの剣がぶつかった。
エレンが前に出てきた。
「エレン」
「フッド先生、怪我はないですか」と彼に声をかける。
「どきなチビ助、相手はお前じゃない」
それでも剣を構えて前に立つエレン。
すぐに立ち上がったフッドも
「退くんだエレン、こいつの相手は私だ」
「先生…」しかしその時、この街の衛兵が群衆をかき分けてこっちへ
向かっていた。
「そこをどけ!喧嘩が起きたと報があったぞ‼︎」その様子を見てセオーは
「せっかくあったまってきたのに、ラグ‼︎ドンカツ‼︎行くぞ」
「へい‼︎」と弟分を連れて群衆の中へ消えていった。
「待て逃さねえぞ‼︎」と追いかけるドルッグスとルーシーとランクリー。
しかし群衆はすでに鍋の中の豆の様に密集しておりなかなか進めなかった。
「ダメだ逃げられる!」と人と人の間に詰まってしまう2人その時だった
頭の上を馬が飛び越えてきた、その馬に乗っているのはエレン
だった。
「エレン」と一番大きいドルッグスが彼を見つけた。
馬はダカダカと音を立てて走っていった。
「どこへ行ったんだ⁉︎」とエレンは辺りを見回して街を走った。
しかしセオーらの姿は見えなかった。
「まさかすでに街を…」エレンは後ろを振り向いてそして前を向き
街の外へ出た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

処理中です...