SUN×SUN!

楠こずえ

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第4話:魔法の杖と呪文(その8)

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「よし、ひまわり!
杖に向かって『SUN』って呼びかけてみろ」

太陽にそう言われたため、
ひまわりは大きな声で「SUN!」と叫んでみた。

そのかけ声によって、
杖が目覚めて大きくなるものだと
三人は期待して待っていた。

が・・、
杖は予想に反して全く何の変化も見せなかったのだ。

「あ・・あれ?」

ひまわりが首をかしげていると、
横から太陽が、
「ひまわり!
おまえ、手を抜いたな!」
と言ってきたので、
「ぬ、抜いてないです!」
と必死に否定した。

だいたい、
魔法の使い方がまだよく分からないので
どういう状態が手を抜いているというのか
よく分からないが、それでもおかしい。

兄の言った通り、
占いでも『太陽』がキーワードだったので、
恐らく呪文は『太陽=SUN』が
少なからずは関係しているはずなのだが・・。

そうこうしているうちに、
いつのまにか日はどっぷり暮れてしまい、
3人が目的地の裏山に上り始めた時は
辺りはもう真っ暗になっていた。

マンドレイクが埋まっているという裏山は
それほど大きな山ではないのだが、
あまり人が来ないのか、
道の横側にはうっそうと草が生い茂っている。

木々も手入れされてないので、
折れた枝などが
道をふさいでいる場所もあった。

5分ほど歩くと、
生い茂る草木に隠れるように
色あせた古い鳥居がちょこんと見えてきた。

気をつけていないと
見落としてしまうほど目立たない鳥居で、
かなり老朽化が進んでいるのと、
真っ暗な夜に見るせいか、
神聖な建物のはずなのに、
ちょっと薄気味悪い感じがする。

「深谷、
まじでこの鳥居の奥に進むのか?
うっそうと草が生い茂っていて、
道なんてほとんど見えない状態だぞ」

太陽がそう言うと、蛍はうなずき、
「そうよ、この奥にマンドレイクを植えたらしいの」
とさらっと答えた。

「一応、鳥居がある通り神社は神社だけど、
今はだれも管理する人がいなくなって
荒れ放題みたいね。
だから魔法の薬草を植えるのには
もってこいの場所だったみたい」

とはいえ、
真っ暗な中で見る
荒れ果てた鳥居と神社は気味悪く、
ひまわりはガクガク震えながら、
「な・・なんか幽霊とか
出そうな雰囲気ですね・・」
とつぶやいた。

「そうね、なんか良くない気のようなものは
さっきから感じてるけど・・」
と言って蛍は二人の方に振り返る。

「2人は感じないの?」

そう聞かれ、ひまわりと太陽はコクリとうなずく。

「はあ・・霊とか見たことないので・・」

「おれも」

どうやら霊感があるのは、
蛍だけのようだ。

「ま、とりあえず中に入ってみようぜ」

そう言って太陽がズンズンと
鳥居をくぐって中に入っていく。
つづいて蛍も物怖じせずに入っていく。

それを見ていたひまわりは、
2人の勇気に感心すると共に、
自分の勇気の無さにしょげていた。

「あ・・あの・・私、怖いので
一番後ろからついていっていいですか?」

ひまわりが青い顔をしながら言ったので、
太陽は「ふ~」とため息をつくと、
「相変わらず怖がりだな。
じゃあ、ちゃんと後からついてこいよ」
と言って再び歩き出した。

2人の後から恐る恐るついていくひまわり。

その時だ。
ふと耳元で何かがささやいたような気がした。

『やっと、いい獲物が来た・・』

「え?」

振り返った瞬間、
突然さーっと意識が遠のいていく・・・・

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