SUN×SUN!

楠こずえ

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第4話:魔法の杖と呪文(その6)

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パラパラと中身をめくってみるが、
やはり中の文字も全く読めないものばかりだ。
唯一分かったのは、
最初のページに「太陽」、
最後のページに「月」の絵が載っていることぐらいである。

その「月」のページを見たとき、
あることに気づいた。

全く読めない文字ばかりなのに、
なぜか月のページのところにだけ「THE MOON」と
英語の文字が書かれていた。

「え?なんでだろう?
ここだけ英語で『MOON』って書いてるなんて・・」
と、ひまわりがつぶやいた瞬間、
また杖がカッと光った。

と同時に、急にみるみる小さくなっていくではないか!?

「!?」

そして気づいた時には、
ひまわりの手のひらに載るぐらいのサイズ、
4,5センチぐらいの大きさになっていた。

あんなに必死に願っても
全く小さくなることがなかった杖が
急に小さくなったので、

「わ~っ!?ど、どうしましょう!?」
と、パニックになっているひまわり。

その時だ。

「おい、ひまわり」

そう呼ばれて突然、肩をポンと叩かれたので
びっくりするぐらいひまわりは
飛び上がってしまった。

ふり返ると、兄がいつの間にか
書庫に入ってきているではないか。

「お、お兄ちゃん!?」

「おまえ、何してるんだ?」

ひまわりは、あわてて本と小さくなった杖を後に隠し、
「な、なんでもないよ!
あ!私、もう出かけなきゃ!!」
とあきらかに変な様子で書庫を出て行こうとするので、
兄は不信な目を向ける。

「ひまわり」

兄に呼び止められ、ビクッと足を止める。

「おまえに何か危険が迫ってきてるみたいだぞ」

「え!?」

兄が冗談で急にこんなことを
言っているわけではないことを
ひまわりは知っている。

というのも、
兄には昔から予知能力的なものがあるようで、
今までも何かしらよからぬ前兆がある時など、
何度か忠告され当たったことも多いので、
今回の言葉も無視はできないようだ。

「え・・危険って・・」

兄はじーっとひまわりの顔を見つめると、
「 おまえ、何か自分の能力以上のことを
やろうとしてないか?」
と言ってきたので、
『ひっ!もしかしてマンドレイクを引っこ抜くこと!?』
と心の中で叫んだ。

まさに能力以上のことである。

「そ・・それって・・やめた方がいいってことなの?」

ひまわりは恐る恐る聞いてみた。

「そりゃ、やめたほうがいいな。身のためにも」

「で、でも、やめるわけにはいかない場合は!?」

いつもなら「やめろ」と言ったら
素直に従うひまわりが、
珍しくくいかかってくるので、
兄としてはさらに不安になってくる。

「ひまわり・・・。
普段なら大人しく言うこと聞いてるのに、
今回はやけに反抗してくるじゃないか。
ほんとに、何があるんだ?」

「えっ!?」

実はこうです、と本当のことを言いたいところだが、
「魔法」だの「結界」だの
そんな夢物語みたいなことを話しても
たぶん兄は信じてくれないと思うし、
バカにされるだけのような気がして、
ひまわりは冷や汗をダラダラ流しながら口をつぐんでいる。

そんな態度を見た兄は、
「ふ~っ」とあきらめたようなため息をつくと、
「何があるのかは知らないけど、
危険から身を守るヒントはある」
と言って、1枚のタロットカードを差し出した。

「『THE SUN』、つまり『太陽』だ」

「太陽・・?」

ひまわりは「太陽」のカードを受け取りながら、兄の顔を見た。

「おまえが大切にしているタロットカード、
いつもちゃんと保管しているのに、
このカードだけがさっきそこの床に落ちていたんだ。
拾って触れたときに、ハッと感じたな。
これはきっと、『太陽』のカードの意味するものが
ひまわりを守ってくれるって」

「太陽のカードが意味するもの・・・」

ひまわりは『THE SUN』のカードを
じっと見つめた。
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