SUN×SUN!

楠こずえ

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第3話:魔法の秘薬を探せ!(その4)

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 蛍の家は、ごく普通の住宅街にあった。

 家も普通の一般的な家屋であるが、
 庭に古くてどっしりとした大きな蔵があるのが
 他の家とは違っている点だ。
 恐らく、この蔵に
 古文書などが保管されているのであろう。

 ひまわりと太陽は居間に通された。

 父親が「超常現象ちょうじょうげんしょう」を研究していると聞いていたので、
 部屋の中には怪しいものが
 いっぱいあふれているのかと思っていたが、
 いたって普通の家と変わらぬ様子だ。
 おそらく「研究室」は
 客人には見えない場所にあるのであろう。

 「なるほどね。
 桐島は、あの「雨夜家」の血を引く者だったのか」

 太陽から、詳しい説明を受けた蛍は納得したようだった。

 「おまえ、
 雨夜家のことを知っているのか?」

 太陽が聞くと蛍はうなずく。

 「まーね。
 古い魔術書や占術書を見ていたら
『雨夜』の名前はよく出てくるからね」

 そう言うと、蛍はジーっと太陽の顔を見つめた。

 「でも・・・桐島。
 おまえ魔力は無いだろう?」

 初対面の蛍に、
 自分の「ひみつ」を見事に言い当てられた太陽は
 ギクッとした。
 今まで、誰にもそんなこと言われたことがなかったため
 なおさらの衝撃だ。

 挙動不審きょどうふしんになっている太陽を見た蛍は、
 自分の考えに間違いは無いと確信を持てたせいか、
 ふんぞり返って勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

 それが悔しかったのか太陽は、
 「ああ、『今は』な」
 とホラを吹いてみたが、
 蛍は、
「ま、せいぜいがんばって」
 と軽くあしらう始末だ。

 全く何をやっても言っても
 歯が立たない蛍に対して、
 太陽はイライラを募らせるしかなかった。

「ま、桐島はどっちでもいいとして」
 
 蛍はひまわりをジッと見る。

 「あなた、何か大きな力を持っているみたい」

 突然、思いもよらないことを言われたひまわりはあわてて、
 「い、いえ!
 そんなめっそうもない!」
 と首と手をブンブンと振って必死に否定する。

 その様子を見た蛍は心の中で、
 『桐島と違って、ものすごく謙虚けんきょな子・・・』
 と思ってしまった。

 すると横から太陽が、
 「というか深谷。
 ひまわりに魔力があることが分かるのか?
 おまえも魔力を持っているのか?
 素人しろうとにはこんなこと分からないはずだぞ」
 と聞いてきたが、蛍は首を横に振った。

 「いや、魔法を使うほどの力は無い」

 「じゃあなんで分かるんだ?」

 「深い理由は分からない。
 でも、一般の人よりは感覚が発達しているのかもね。
 魔力や霊力を持っている人や、
 人間じゃないモノなどは、なんとなく分かる」

 「霊感・・・のようなものなのか?」

 「ま、そんなものだろうとは思うけど、
 でもはっきり幽霊が見れるわけじゃない」

 まとめてみると、
 魔法を使うほどの魔力は無いが、
 不思議な力を感じる
 センサーのようなものは発達している、
 というのが蛍の性質のようである。

 お互いの自己紹介的なものが一応終わり、
 やっと本題に入る。

 「で、探して欲しい薬草なのだが・・これだ」

 蛍が分厚い辞書のような本をめくり、
 あるページを開く。

 そこには大根が二股に分かれたような植物の絵が載っていた。

それを見た瞬間、太陽が、
「ゲッ!?これって『マンドレイク』じゃないか!!」
 と叫んだ。


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