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第5話:二人の夏休み(その13)

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そして待ちに待った合宿日がやって来た。

天気は真夏の晴天日。
朝から青空と入道雲がまぶしい!

おれは、昨日準備した旅行バッグの中身を再度点検する。

「着替えに、タオルに、歯ブラシに・・・」
と言いながら、ため息をついた。

「これが西森の合宿じゃなくて、純粋に二人旅行だったら、もっとうれしかったんだけどなあ~。
涼介の家にお泊りとは・・・」
と、ぼやいてみたが、西森と夏休みにデートすらできないと思っていたので、合宿の合間に会えるだけでも感謝すべきであろう。

時計を見ると、午前8時過ぎ。

出かけるのにはまだ早いけれど、居ても立っても居られない気持ちのため、カバンを持って玄関に向かう。

「ま、ちょっと早いけれど出かけるか」

玄関のカギを閉め、車に向かった。


******

車を走らせること約30分、涼介のアパート近くまでやって来た。

涼介のアパートは、以前西森と初デートした『青少年自然の館』のある場所にほど近い山の中にある。

そのため、近所にはコンビニも飲食店も無く、家が数軒建っているだけだ。

車を道の端に停め、アパート近くで涼介に電話をかける。

「ハイ・・・」

涼介が眠そうな声で電話に出た。

「あ!涼介!
アパート近くまで来たんだけど、車、どこに停めたらいい?」
と、おれがしゃべると、涼介は、
「流星・・・来るの早すぎ・・・。
まだ朝の9時前なんだけど・・・」
と、明らかに迷惑そうな声を出している。

確かに、西森の合宿場所が気になり過ぎて、早く出てしまったのがまずかったか・・・。

と思いつつも、来てしまったから仕方が無い。

「ごめん、ごめん。
朝飯でも御馳走するから、出てきてくれよ」

『朝飯』につられたのか、涼介は、
「分かった、今行くから、そこで待っててくれ」
と、言って電話を切った。

しばらく待っていると、Tシャツに短パンというラフな姿で涼介がやって来た。

頭をポリポリかきながら、
「こんな朝早くからやって来て、そんなに西森ちゃんのことが気になるのかよ」
と嫌みを言ってきたが、図星なので「うっ」とうろたえる。

「す・・・すまん・・・」

おれが謝ると、涼介はポンポンとおれの背中を叩き、
「ま、いいや。
この先、ちょっと山を登ったところに、カフェがあるから、そこで朝食おごってくれたら許してやる」
と言った。

「了解。
じゃ、そのカフェに行くか。
モーニングか何かやってるの?」

おれは涼介を車に乗せ、カフェに向かって走り出した。
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