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第5話:二人の夏休み(その9)

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「え?
つまり、おれも合宿に参加するってこと?」

そう聞くと、西森は大きく首を横に振り、
「先生が合宿に参加してどうするんですか!
不自然過ぎるでしょ!」
と言われ、確かに不自然過ぎる、と思った。

うちの高校の生徒だけの合宿なら、おれが混ざったとしても、まだ多少許される余地がありそうだが、他校の学生がたくさんいる場所に変な大人が1人入り込んでいたら、明らかにおかしい。

「え?
じゃあ、おれはどうしたらいいんだ?」

そう聞くと西森は、
「昼間はずっと勉強してると思いますが、夜は自由時間もあるから、その時に会えればなぁ・・って・・・」
と顔を真っ赤にさせながら答えた。

え?うそ?

おれの聞き間違いじゃないよね?

西森が、夜の自由時間におれと会ってもいいって・・・

どういう風の吹き回しかと思い、目をパチクリさせていると、
「か、勘違いしないでくださいね!!
別にデートしたいとか、そう言ってるわけじゃないんです!」
と西森が顔を真っ赤にさせながら否定してきた。

「か、勘違いって、どういうことだ?」

おれにはもう『デート』的なものとしか考えられない。

合宿を抜け出してきた西森と、夜の山の中で一緒に過ごせるなんて・・・。

もう、それは絶対デートじゃん!!

と、1人妄想を駆け巡らせていると、

西森が急におれのTシャツの裾をギュッと握りしめた。

「西森?」

可愛すぎる行動に心臓をドキドキさせていると、西森が、
「だって、まだ私、先生の天体望遠鏡で星を見せてもらってないから、山だったら一緒に見れるかな、と思って・・・」
とつぶやいた。

そんなかわいすぎる西森の一言に、おれは『ズキューン!』とハートを射抜かれてしまい、
「ああっ!!」
と叫んで、床にバタンと倒れ込んでしまった。

そんなおれの行動にビックリした西森は、
「ちょ、先生、どうしたんですか!?」
と倒れているおれの顔を心配そうにのぞきこんできたので、すかさずおれは西森をグイッと引き寄せ、抱きしめる。

「せっ、先生、何を!?」

抱きしめられた西森は、驚きの余り体が動かないのか、おれの胸の中でジッとしている。

おれは再びギュッと力を入れて西森を抱きしめた。

「うん、絶対一緒に星を見ような」

抱きしめられたまま西森もコクリとうなずき、
「約束ですよ・・・」
とつぶやいた。
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