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第3話:ドキドキ初デート(7)

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「先生、あの・・・、日曜日は・・・」

「日曜日は?」

西森の返事は、イエスかノーか。

『イエスであってくれ!』と、心の中で叫んでみた。

が・・・

「日曜は次の週の模試のために、勉強をしないといけないんです」
と、あっさりフラれた・・・。

「そ・・・、そうか・・・、模試のためなら仕方ないな」

ほんと仕方ない・・・。

模試があるのに、その勉強を邪魔してまで連れて行く権利がおれにあるはずがない。

『仕方ない』と心に言い聞かせているが、やはりショックが大きかったようで、
「じゃ、日曜は勉強がんばれよ」
と言って、カッコ良くその場を去ろうとしたのだが、手に持っていた画びょうの箱を取り落とし、再び廊下にザーッとばら巻く事態となった。

ダメだ。

明らかに動揺している様子が、西森に伝わってしまっている。

「先生?」

西森が心配そうに顔をのぞきこんでくるので、おれはあわてて背を向け、画びょうを拾い始める。

「ここは、おれが片付けておくから、西森は早く塾に行きなさい。
今まで手伝ってくれて、ありがとな」
と、必死に『ショック感』を隠そうとするのだが、西森は引いてくれない。

西森は、必死に画びょうを拾っているおれの横にチョコンと座り、
「そんなに私と一緒に行けなくて、さみしいんですか?」
と、聞いてきた。

やめてーっ!

そんな「ド直球」な質問をしてくるのは!

さみしいよ!

さみしいって言いたいけど、西森の勉強を邪魔するようなことだけはしたくないんだから、これ以上、おれの心の中を乱さないでくれ!

「さ・・・、さみしくなんか・・・」

「さみしくなんか無いんですか?」

西森がいたずらっ子のような目をして、おれの顔を見つめる。

その顔が可愛すぎて、せき止めていた気持ちがドーッとあふれ出てしまった。

「さみしい・・・
一緒にプラネタリウムに行って、西森に星の説明とかしたかった・・・。
西森に勝てることは、それぐらいしか無いから・・・。」

25歳のいい年した大人が、17歳の女の子に何を言っているんだ、と我ながら情けなくなってしまった。

ま、いつものことなので、西森も慣れてしまっているだろう。

すると西森はスクッと立ち上がり、
「分かりました。
模試があるけど、ちょっと考えてみます」
と言ったので、おれはびっくりして、
「えっ!?」
と叫んだ。

西森は、おれを指さし、
「って言っても勘違いしないでくださいね。
別に『先生と行きたい』からじゃなくて、『プラネタリウム』に興味があるだけですから」
と、ちょっと照れた顔で言うと、クルッと背を向け階段を下りていった。

おれはそんな西森の背中を、ポカーンと突っ立ったまま見つめていたのだが、ようやく西森の言った意味が分かってきた。

おれと行きたいわけではないけど、プラネタリムには興味があるから、行ってもいい・・・

つ・・・、つまり・・・、デートのことを前向きに検討してくれる、ってことか!?

マジか!?
うわーっ!
絶対ダメだと思っていたのに、希望の光が一筋見えてきたなんて!

「よっしゃ!」

おれはガッツポーズをすると、急いで足元の画びょうを拾い始めた。
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