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飛び出した顛末
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絢梨は一通り町を探したが郁香を見つけることは出来ず、とりあえず福幸堂に戻ってきていた。中では落ち着かない様子の奈子が一人でうろうろしていた。
「奈子ちゃん」
「あ。絢梨さん!」
「なんか、郁香ちゃんから連絡あったりした?」
「いや全く・・・。とりあえず連絡が来るかもしれないからって私はここで待ってたんですけど・・・。今、光さんと・・・志希くんは探してくれてます」
郁香が飛び出した際に部屋にいた光と、それとほぼ同時刻に返ってきた志希も探しに行ってくれているらしい。しかし、まだ見つかったという連絡は入らない。奈子は後悔がいっぱいという表情でソファに座った。
「・・・本当に一瞬の出来事だったんです。突然部屋のドアが開いて、こっちが何か言う暇も無く飛び出して行って・・・。後から・・・なんか嫌な予感がしてきてしまって」
もし郁香が詐欺にあったことを苦にして自殺でもしたらどうしよう、という予感である。それは絢梨も最初に電話を受けた時点で感じていた。
「それは・・・。きっと大丈夫よ・・・。うん・・・。」
絢梨は自身の不安を払拭する意味も込めて根拠も無い励ましを口走った。それに対して奈子が反応しなかったため、無言の時間が続きその場の空気はしばらく凍った。
その空気を打ち破ったのは、電話の呼び鈴だった。絢梨が一呼吸置いて受話器を取る。
『もしもし。福幸堂ですが』
絢梨がそう言っても相手から次の言葉が返ってこない。絢梨は不振に思い言い直す。
『もしもし。福幸堂ですが』
すると今度は返事が返ってきた。
『・・・絢梨さん?』
『郁香ちゃん?!今、どこに居るの?!』
『・・・えっと』
いつの間にか奈子も電話の傍によって来た。
『・・・郁香ちゃん。みんな心配してるよ・・・』
『今・・・・。大津に居ます。』
『大津?!・・・そう。何かあったの?』
絢梨はあくまでも冷静に。決して郁香が電話を切ってしまわぬように、おちついて話した。その一方で、絢梨と奈子が心配していたような状況ではないことは電話越しでも感じられた。
『私が、結婚しようとしてた人の家に居ます・・・。』
流石に予想外の答えが返ってきた。
『ん?!それはつまり・・・・。郁香ちゃんを騙した人のお宅ってことでいいの・・・・?』
『・・・そうですね。あのちょっと・・・・。復讐してやろうと思って・・・。でも・・・あの・・・・。すいません絢梨さん・・・・助けてください・・・・』
電話の向こうで急に涙声になった郁香に、絢梨はそれ以上は詳しく聞かなかった。
『分かった。今すぐそっちに向かうから。その場所、教えてくれる?』
電話を切った絢梨はすぐに郁香を迎えに行く準備をする。
「絢梨さん!警察に言った方が良くないですか。もしなんか、相手に危険なことされたりしてたら大変ですよ」
奈子は絢梨を止めようとする。奈子が言っていることは正しい。向こうが一体どういう状況なのか、こちらは全く分からない。
「そうだね。でも・・・。大事な人が自分に助けを求めてきたらさ、助けたいじゃん」
この返答を聞いて奈子はそれ以上何も言わなかった。絢梨は福幸堂を出て駅へと急いだ。
「奈子ちゃん」
「あ。絢梨さん!」
「なんか、郁香ちゃんから連絡あったりした?」
「いや全く・・・。とりあえず連絡が来るかもしれないからって私はここで待ってたんですけど・・・。今、光さんと・・・志希くんは探してくれてます」
郁香が飛び出した際に部屋にいた光と、それとほぼ同時刻に返ってきた志希も探しに行ってくれているらしい。しかし、まだ見つかったという連絡は入らない。奈子は後悔がいっぱいという表情でソファに座った。
「・・・本当に一瞬の出来事だったんです。突然部屋のドアが開いて、こっちが何か言う暇も無く飛び出して行って・・・。後から・・・なんか嫌な予感がしてきてしまって」
もし郁香が詐欺にあったことを苦にして自殺でもしたらどうしよう、という予感である。それは絢梨も最初に電話を受けた時点で感じていた。
「それは・・・。きっと大丈夫よ・・・。うん・・・。」
絢梨は自身の不安を払拭する意味も込めて根拠も無い励ましを口走った。それに対して奈子が反応しなかったため、無言の時間が続きその場の空気はしばらく凍った。
その空気を打ち破ったのは、電話の呼び鈴だった。絢梨が一呼吸置いて受話器を取る。
『もしもし。福幸堂ですが』
絢梨がそう言っても相手から次の言葉が返ってこない。絢梨は不振に思い言い直す。
『もしもし。福幸堂ですが』
すると今度は返事が返ってきた。
『・・・絢梨さん?』
『郁香ちゃん?!今、どこに居るの?!』
『・・・えっと』
いつの間にか奈子も電話の傍によって来た。
『・・・郁香ちゃん。みんな心配してるよ・・・』
『今・・・・。大津に居ます。』
『大津?!・・・そう。何かあったの?』
絢梨はあくまでも冷静に。決して郁香が電話を切ってしまわぬように、おちついて話した。その一方で、絢梨と奈子が心配していたような状況ではないことは電話越しでも感じられた。
『私が、結婚しようとしてた人の家に居ます・・・。』
流石に予想外の答えが返ってきた。
『ん?!それはつまり・・・・。郁香ちゃんを騙した人のお宅ってことでいいの・・・・?』
『・・・そうですね。あのちょっと・・・・。復讐してやろうと思って・・・。でも・・・あの・・・・。すいません絢梨さん・・・・助けてください・・・・』
電話の向こうで急に涙声になった郁香に、絢梨はそれ以上は詳しく聞かなかった。
『分かった。今すぐそっちに向かうから。その場所、教えてくれる?』
電話を切った絢梨はすぐに郁香を迎えに行く準備をする。
「絢梨さん!警察に言った方が良くないですか。もしなんか、相手に危険なことされたりしてたら大変ですよ」
奈子は絢梨を止めようとする。奈子が言っていることは正しい。向こうが一体どういう状況なのか、こちらは全く分からない。
「そうだね。でも・・・。大事な人が自分に助けを求めてきたらさ、助けたいじゃん」
この返答を聞いて奈子はそれ以上何も言わなかった。絢梨は福幸堂を出て駅へと急いだ。
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