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晶目線
晶の気持ちと家族会議
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10歳までは妄想を膨らますだけで幸せだったが、兄が中学に上がって、一緒にいる時間が減り、いわゆる欲求不満を起こしていた僕は父にお仕置きされる兄を見る度に「僕がお仕置きしたい」とはっきり思うようになった。
僕が兄をお仕置きしたいと思うのはただの欲求だけではない。問題は父の"叱り方"が気に食わなかったからだ。
父はいつも話の中に僕を出す。
しかも最悪な形で...
一生懸命頑張ってる兄に対して、特に努力をしていない僕を見習えとか兄としての恥ずかしくないのかなど、兄のプライドが僕によって傷つく方法で叱っていたのだ。
そのせいで兄との距離も開き、それを埋めるべく、どれだけの苦労をしたか...もう限界だった。
このままでは気持ちを伝える前に兄から完全に嫌われてしまう。
そう思い、焦りと怒りを感じた僕はある日、父と母と3人で家族会議を開いた。
この日は部活動で兄の帰りが遅く、3人で話が出来る絶好の機会だった。
「父さん、単刀直入に言うね。これからの兄さんのお仕置きは僕に任せてくれないかな?」
僕の言葉に2人は驚きを隠せなかった。
「もちろん、ただの好奇心じゃないよ。そんな理由で大事な兄さんを傷つけるわけないじゃないか?」
「じゃあ、なぜだ?理由を言ってみろ」
父は冷や汗をかきながら、おずおずと問う。
「理由は2つ。1つは兄さんの場合、昔から父さんに叱られてるからそろそろ効かなくなってきた頃合だと思ったから、弟の僕がすることによって、兄さんの向上に繋がると思うよ。2つ目は父さんが兄さんを叱る時に僕の名前を出しすぎるから。兄さんは努力家だよ。父さんも知ってるでしょ?兄さんは繊細なんだから叱り方を見直すべきだと思ってる。でも父さんの叱り方は多分治らないし、いきなり父さんの叱り方が変わったらお仕置きされてる兄さんがびっくりして更に神経を削っちゃうかもしれない。それならいっそ、兄さんの心のケアに気を配りながら、しっかり反省させてあげられる弟の僕がするのが良いと思う」
僕の提案に父はしばらく何も返さなかった。
そんな中、以外にも母が頷いた。
「私は良い提案だと思うわ。お父さんの叱り方は私もあまり良いとは思わなかったし、あなたと真央の距離が遠くなっていくのを見るのは母として辛かったわ。それに晶なら真央を大事にしてくれるから安心して任せられる」
母の話に父も僕も驚いた。
元々、母はあまり僕らのことに干渉してこない。
好きにさせてくれる分、躾は父に任せっきりだ。
もちろん母としての役目である家事は全うしている。
僕はそんな母が単に僕達への接し方が分からないからだとわかっているが、兄はなぜ助けてくれないのか、どうして話してくれないのか、分からず、距離が開いていた。
父はそんな母を汲み取るように自分が主に躾を担当し始めたのだ。
「...母さんがそれでいいなら、俺も反対しない。確かに真央は優しすぎて繊細なところがある。俺もそれを理解しているつもりだが、どうもお仕置き中の時は上手く気遣ってあげられなくてな...お前なら真央の気持ちを最優先しながら上手くお仕置きができるかもしれないな」
父も母に続いて頷いた。
僕はさすがにそれに驚いた。
もっと反対されるものだと思ってたからだ。
「...さすがに驚いた顔ね」
母さんは僕が目を瞬かせて驚いているのを見て微笑しながら言った。
「だって一応、僕は兄さんの弟だし...間違ってもそんな権利ないってわかってるでしょ?」
「権利がないなんてことないわ。だってあなたは真央のことが大事だから沢山考えて今、こうして提案してくれたんでしょう?」
母さんの言葉に僕は少し申し訳なく思った。
もちろん兄さんがこのまま父さんにお仕置きされ続けることによって病んでしまうのではないかと不安だったのも事実だけどそれ以上に兄さんが父さんにお仕置きされるのが許せなかったからだ。
僕のこの感情は完全な独占欲だ。
でもここでそれを白状するのはバカがすることだ。
それ以上に僕は兄さんの躾の権利を認められたことに喜んだ。
「...当たり前じゃん。兄さんは僕にとってたった1人の兄弟で大事な兄なんだから。僕は兄さんの為だったらなんでもするよ」
僕はそう言って、にっこりも笑って見せた。
これで兄さんの管理ができる。
やっていい事と悪い事を僕が教えることによって素直な兄さんはすぐに僕の言うことを何でも聞くようになる。
それは実質、兄さんが僕のものになったようなもの。
僕が兄をお仕置きしたいと思うのはただの欲求だけではない。問題は父の"叱り方"が気に食わなかったからだ。
父はいつも話の中に僕を出す。
しかも最悪な形で...
一生懸命頑張ってる兄に対して、特に努力をしていない僕を見習えとか兄としての恥ずかしくないのかなど、兄のプライドが僕によって傷つく方法で叱っていたのだ。
そのせいで兄との距離も開き、それを埋めるべく、どれだけの苦労をしたか...もう限界だった。
このままでは気持ちを伝える前に兄から完全に嫌われてしまう。
そう思い、焦りと怒りを感じた僕はある日、父と母と3人で家族会議を開いた。
この日は部活動で兄の帰りが遅く、3人で話が出来る絶好の機会だった。
「父さん、単刀直入に言うね。これからの兄さんのお仕置きは僕に任せてくれないかな?」
僕の言葉に2人は驚きを隠せなかった。
「もちろん、ただの好奇心じゃないよ。そんな理由で大事な兄さんを傷つけるわけないじゃないか?」
「じゃあ、なぜだ?理由を言ってみろ」
父は冷や汗をかきながら、おずおずと問う。
「理由は2つ。1つは兄さんの場合、昔から父さんに叱られてるからそろそろ効かなくなってきた頃合だと思ったから、弟の僕がすることによって、兄さんの向上に繋がると思うよ。2つ目は父さんが兄さんを叱る時に僕の名前を出しすぎるから。兄さんは努力家だよ。父さんも知ってるでしょ?兄さんは繊細なんだから叱り方を見直すべきだと思ってる。でも父さんの叱り方は多分治らないし、いきなり父さんの叱り方が変わったらお仕置きされてる兄さんがびっくりして更に神経を削っちゃうかもしれない。それならいっそ、兄さんの心のケアに気を配りながら、しっかり反省させてあげられる弟の僕がするのが良いと思う」
僕の提案に父はしばらく何も返さなかった。
そんな中、以外にも母が頷いた。
「私は良い提案だと思うわ。お父さんの叱り方は私もあまり良いとは思わなかったし、あなたと真央の距離が遠くなっていくのを見るのは母として辛かったわ。それに晶なら真央を大事にしてくれるから安心して任せられる」
母の話に父も僕も驚いた。
元々、母はあまり僕らのことに干渉してこない。
好きにさせてくれる分、躾は父に任せっきりだ。
もちろん母としての役目である家事は全うしている。
僕はそんな母が単に僕達への接し方が分からないからだとわかっているが、兄はなぜ助けてくれないのか、どうして話してくれないのか、分からず、距離が開いていた。
父はそんな母を汲み取るように自分が主に躾を担当し始めたのだ。
「...母さんがそれでいいなら、俺も反対しない。確かに真央は優しすぎて繊細なところがある。俺もそれを理解しているつもりだが、どうもお仕置き中の時は上手く気遣ってあげられなくてな...お前なら真央の気持ちを最優先しながら上手くお仕置きができるかもしれないな」
父も母に続いて頷いた。
僕はさすがにそれに驚いた。
もっと反対されるものだと思ってたからだ。
「...さすがに驚いた顔ね」
母さんは僕が目を瞬かせて驚いているのを見て微笑しながら言った。
「だって一応、僕は兄さんの弟だし...間違ってもそんな権利ないってわかってるでしょ?」
「権利がないなんてことないわ。だってあなたは真央のことが大事だから沢山考えて今、こうして提案してくれたんでしょう?」
母さんの言葉に僕は少し申し訳なく思った。
もちろん兄さんがこのまま父さんにお仕置きされ続けることによって病んでしまうのではないかと不安だったのも事実だけどそれ以上に兄さんが父さんにお仕置きされるのが許せなかったからだ。
僕のこの感情は完全な独占欲だ。
でもここでそれを白状するのはバカがすることだ。
それ以上に僕は兄さんの躾の権利を認められたことに喜んだ。
「...当たり前じゃん。兄さんは僕にとってたった1人の兄弟で大事な兄なんだから。僕は兄さんの為だったらなんでもするよ」
僕はそう言って、にっこりも笑って見せた。
これで兄さんの管理ができる。
やっていい事と悪い事を僕が教えることによって素直な兄さんはすぐに僕の言うことを何でも聞くようになる。
それは実質、兄さんが僕のものになったようなもの。
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