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3年生2学期
10月31日(火)晴れ 大倉伴憲との日常その47
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中間テスト最終日のハロウィン。
テストを頑張りつつも休憩時間には花園さんの周りを警戒してみるけど、誰かが露骨に見ている感じはしなかった。
ハロウィンは先祖の霊が帰って来るお祭りらしいので、幽霊の仕業の可能性が高くなって……くるわけないか。
「りょーちゃん、クラさん、テストお疲れ~ そして……トリックオアトリート!」
松永は無邪気な子どものように言う。
たぶん、テストが終わった解放感もあって元気なのだろう。
路ちゃんと先取りしてハロウィンのお約束をやったけど、今日も一応飴だけは持ってきていた。
「はい。果汁飴」
「ちっ。持っていたか」
「いや、僕にいたずらしたくないだろう」
「そんなことない。できるならなんぼやってもいい」
「……ご、ごめん、松永くん。お菓子持ってない」
「おお! つまりはトリックしていいってこと!?」
「こらこら。大倉くんが困ってるじゃないか」
「りょーちゃん、ノリが悪いなぁ。逆に俺に聞いてもいいんだぜ?」
「じゃ、じゃあ、トリックオアトリート」
そう言ったのは意外にも大倉くんだった。
松永にとっても予想外だったようで、やや面食らっている。
「……しまった。自分で言っておきながらお菓子用意してない」
「なんじゃそりゃ……」
「だ、だったらボクのトリックと松永くんのトリックが相殺して、何もなかったということで」
「まるで効果を無効化する効果を無効化したみたいだ」
「良かったぁ……正直、いたずらするネタもないから言った時、どうしようかと思ったよ」
「それを言うなら俺も特にいたずらの内容とか考えてないわ」
そう言いながら松永と大倉くんは笑い合った後……大倉くんに言われる可能性を考慮して飴を取りだしていた僕を見る。
「りょーちゃん、ハロウィンに一番真面目だったんだね」
「み、見習わなきゃ……」
「い、いや、そういうわけじゃない! なんで僕が特別なことをしてる感じになってるの!?」
その後、合流した本田くんにも飴を配ったら、2人と同じようにハロウィンに真剣だと言われてしまった。
確かに準備をしていたのは僕だけだったけど……いや、路ちゃんもあまり気にしてなかったから、案外僕が楽しみにしていたのかもしれない。
テストを頑張りつつも休憩時間には花園さんの周りを警戒してみるけど、誰かが露骨に見ている感じはしなかった。
ハロウィンは先祖の霊が帰って来るお祭りらしいので、幽霊の仕業の可能性が高くなって……くるわけないか。
「りょーちゃん、クラさん、テストお疲れ~ そして……トリックオアトリート!」
松永は無邪気な子どものように言う。
たぶん、テストが終わった解放感もあって元気なのだろう。
路ちゃんと先取りしてハロウィンのお約束をやったけど、今日も一応飴だけは持ってきていた。
「はい。果汁飴」
「ちっ。持っていたか」
「いや、僕にいたずらしたくないだろう」
「そんなことない。できるならなんぼやってもいい」
「……ご、ごめん、松永くん。お菓子持ってない」
「おお! つまりはトリックしていいってこと!?」
「こらこら。大倉くんが困ってるじゃないか」
「りょーちゃん、ノリが悪いなぁ。逆に俺に聞いてもいいんだぜ?」
「じゃ、じゃあ、トリックオアトリート」
そう言ったのは意外にも大倉くんだった。
松永にとっても予想外だったようで、やや面食らっている。
「……しまった。自分で言っておきながらお菓子用意してない」
「なんじゃそりゃ……」
「だ、だったらボクのトリックと松永くんのトリックが相殺して、何もなかったということで」
「まるで効果を無効化する効果を無効化したみたいだ」
「良かったぁ……正直、いたずらするネタもないから言った時、どうしようかと思ったよ」
「それを言うなら俺も特にいたずらの内容とか考えてないわ」
そう言いながら松永と大倉くんは笑い合った後……大倉くんに言われる可能性を考慮して飴を取りだしていた僕を見る。
「りょーちゃん、ハロウィンに一番真面目だったんだね」
「み、見習わなきゃ……」
「い、いや、そういうわけじゃない! なんで僕が特別なことをしてる感じになってるの!?」
その後、合流した本田くんにも飴を配ったら、2人と同じようにハロウィンに真剣だと言われてしまった。
確かに準備をしていたのは僕だけだったけど……いや、路ちゃんもあまり気にしてなかったから、案外僕が楽しみにしていたのかもしれない。
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