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3年生2学期

10月9日(月)曇り 岸本路子と産賀良助Ⅱその2

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 塾の日かつスポーツの日。
 前者の方は日程的にぴったりの曜日で、後者については特に適したことはしなかった。
 そんな塾へ行くまでの日中、久々に路ちゃんと外に出かける。
 お互いの近況は把握しているけど、何気に文化祭当日にどうするかという話はしてなかったから、その話題が中心になった。

「良助くんと付き合ってから回る最初で最後の文化祭になるから……」

「言われてみるとそうか。全然気付いてなかったよ」

「むー……良助くんはどうでもいいと思ってないのかもしれないけれど」

「ご、ごめん! どうでもいいと思ってたわけじゃないんだ!」

「う、うん。わかってる。ちょっと言ってみただけだから……」

 僕が急に勢いよく謝ったせいか、路ちゃんは少し困惑する。
 先日の明莉と桜庭くんの喧嘩を聞いていたので、路ちゃんの反応に焦ってしまったと説明した。

「そんなことがあったんだ……明莉ちゃん、全然怒りそうなタイプだと思ってた」

「まぁ、怒るというよりは不機嫌だったんだと思う。実際にどういう喧嘩かまでは詳しく聞いてないけど」

「でも、わたしたちが言い争うって話も詳しく言ってないんだよね。もしかしたら、わたしがものすごく怒ってると思われたり……?」

「いやいや。たぶんそこまでヤバい喧嘩しているとは思ってないよ。僕と路ちゃんの性格的は明莉もわかってるだろうし」

「それならいいけれど……さっきのわたしは良助くん的に怒ってるように見えた?」

「だ、だから、それはちょっと過敏になってただけで……」

 どちらかといえば今の方がちょっと怒っているように見える、とは言えないので黙っておいた。

「そ、それよりも文化祭当日の話に戻そう。2日とも僕らは自由時間を多めに取ってもらえるみたいだし、全部見て回れるかも」

「見て回るのもいいけれど……わたしは日葵ちゃんの様子が気になるかも」

「ああ……確かにそうか」


「あっ。別に良助くんと見て回るのが嫌なわけじゃないからね。それにあまり首を突っ込み過ぎるのは良くないし……でも、話を聞いてしまったからには結末を見届けたい気持ちも……」

 その後は日葵さんと桐山くんの件に話題がすり替わったので、僕の失態は流してもらえた。
 路ちゃんとは知り合って2年以上経つけど、付き合い始めてからはまだ1年経っていないので、そこはきちんと区別しないといけない。
 1周年はクリスマスだから忘れることはないけど……他の記念日や初めてやることはしっかり覚えておこうと思った。
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