909 / 942
3年生2学期
9月29日(金)後輩との日常・三浦将基の場合その9
しおりを挟む
文化祭の作品提出日となるクリーニングの日。
例年通りこの日だけは部室に複数のノートパソコンが並べられて、その場で提出することもできる。
ただ、今年の準備は2年生に任せて、1年生の質問も基本的には2年生が中心に答えていた。
だから、3年生の僕と路ちゃんは提出を終えるとやや手持ち無沙汰になるけど、一応全員の提出を見届けようとすぐに帰らずに残っていた。
事前に提出を終えていたのは姫宮さんと石渡さんで、残りの面々は部室までデータを持って来てから最終確認をしていた。
その中で少し確認に時間がかかっていたのは、今回が初となる結香さんと三浦くんだ。
三浦くんの質問は桐山くんが答えていたけど、僕も一応様子を窺ってみる。
「……本当にこれでいいんだろうか」
「そういう時はもう思い切って提出しちゃえばいいと思うよ」
「桐山さんみたいな性格ならそれでいいかもしれないですけど、ボクはそうじゃないので……」
「今ちょっと馬鹿にされた……?」
「あっ、産賀さん……文章は読まないでください」
「大丈夫、見えてないから。でも、完成にあと一押し必要な感じ?」
「はい。産賀さんもこういう場合はもう諦めて提出しますか?」
「それは……」
どちらかと言えば何回も確認してしまうタイプだけど、そのまま言ってしまうと、三浦くんはさらに悩んでしまいそうだった。
なので、僕なりの妥協点の考え方を話し始める。
「一回通しで読んでみてから判断するかな。仮に何か物足りなさがあるなら追加も考えるけど……後から足すとかえって違和感があるし、変えても単語とか表現とか短い部分だけだと思う」
「なるほどです」
「へー……俺もなんか不安になってきた」
「いや、桐山くんは自信もって提出したんでしょ?」
「だって、2人ともそんな見直すタイプって言われたら……」
「……そう言われると僕も不安になってきた」
「えぇ……」
その後、僕と桐山くんが自信を失ったのを見て反比例するかのように三浦くんは提出を完了させた。
たぶん、ミスがあっても僕や桐山くんがこんな感じならと安心したのだろう……いや、良くない安心のさせ方だけど。
例年通りこの日だけは部室に複数のノートパソコンが並べられて、その場で提出することもできる。
ただ、今年の準備は2年生に任せて、1年生の質問も基本的には2年生が中心に答えていた。
だから、3年生の僕と路ちゃんは提出を終えるとやや手持ち無沙汰になるけど、一応全員の提出を見届けようとすぐに帰らずに残っていた。
事前に提出を終えていたのは姫宮さんと石渡さんで、残りの面々は部室までデータを持って来てから最終確認をしていた。
その中で少し確認に時間がかかっていたのは、今回が初となる結香さんと三浦くんだ。
三浦くんの質問は桐山くんが答えていたけど、僕も一応様子を窺ってみる。
「……本当にこれでいいんだろうか」
「そういう時はもう思い切って提出しちゃえばいいと思うよ」
「桐山さんみたいな性格ならそれでいいかもしれないですけど、ボクはそうじゃないので……」
「今ちょっと馬鹿にされた……?」
「あっ、産賀さん……文章は読まないでください」
「大丈夫、見えてないから。でも、完成にあと一押し必要な感じ?」
「はい。産賀さんもこういう場合はもう諦めて提出しますか?」
「それは……」
どちらかと言えば何回も確認してしまうタイプだけど、そのまま言ってしまうと、三浦くんはさらに悩んでしまいそうだった。
なので、僕なりの妥協点の考え方を話し始める。
「一回通しで読んでみてから判断するかな。仮に何か物足りなさがあるなら追加も考えるけど……後から足すとかえって違和感があるし、変えても単語とか表現とか短い部分だけだと思う」
「なるほどです」
「へー……俺もなんか不安になってきた」
「いや、桐山くんは自信もって提出したんでしょ?」
「だって、2人ともそんな見直すタイプって言われたら……」
「……そう言われると僕も不安になってきた」
「えぇ……」
その後、僕と桐山くんが自信を失ったのを見て反比例するかのように三浦くんは提出を完了させた。
たぶん、ミスがあっても僕や桐山くんがこんな感じならと安心したのだろう……いや、良くない安心のさせ方だけど。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる