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3年生2学期
9月21日(木)曇り時々雨 伊月茉奈との日常その18
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気付けば週も半分過ぎていたファッションショーの日。
運動部の面々はこの夏に引退した人が多いので、放課後教室に残る人やそのまま帰宅する人がクラス内でも多くなっていた。
松永や本田くんも放課後はフリーになっているようで、部活がまだ続いている僕よりも早く帰ることも珍しくなくなった。
そんな今日は僕も部活がない日で、松永も特に用事がなかったから一緒に帰ることになる。
「産賀さんに浩太くん、お疲れ様です」
「おお。なんか改めて茉奈ちゃんに敬語使われると変な感じ」
「今のは敬語というよりは丁寧語だし、産賀さんに合わせただけだから」
すると、下駄箱で偶然伊月さんと遭遇する。
「伊月さんと一緒に帰れば良かったのに」
「いや、茉奈ちゃんと帰り道違うし、たまにはりょーちゃんも構ってあげないと」
「そんな気遣いはいらん」
「ひどーい! ねぇ、茉奈ちゃん」
「いえ。わたしも3日に1回会えば十分ですので」
「ウソぉ!? もしかしてマンネリ期きちゃった……?」
いつも通り騒がしい松永を押し付け合いながら僕らは暫くその場に留まって話を続ける。
「そういうことじゃないから。でも、産賀さんと路子さんはマンネリとかなさそうですよね」
「そう……かな。僕としてはないとは思ってるけど」
「りょーちゃんも言うようになったじゃない」
「いや、ここでマンネリだって言う方が良くないだろう。ただ、時々同じことしてるなぁって感じることはあるよ」
「同じこと?」
「まぁ、遊びに行く場所だったり、話の内容だったり。新しい話題出した方がいいのかなと思わないこともないんだけど……その辺はどうなの?」
僕は珍しく松永と伊月さんに対して質問する。
この3人で話す機会は時々あるけど、確かに以前の僕はあまり路ちゃんとの話を広げようとしなかった。
でも、今の話題はちょっと引っかかるところがあったので、先輩カップルの2人に聞きたいと思ったのだ。
ただ、2人から返ってきたのは……
「それで言うと、浩太くんはわりと同じ話ばっかりですよ」
「マジで? 俺ほど最新コンテンツを取り入れている奴はいないと思うけど」
「浩太くんは無駄に昔の記憶があるせいか、ウケたネタを何回も言う傾向があるし、最近は何かにつけてハマってる動画チャンネルの話に着地するし」
「だ、だって、安定して面白いかと……」
「つまらなくはないけど、それならわたしが勧めたチャンネルも見て欲しいかな」
「30分で集中できる音楽とか、10分で覚えられる動画とか……?」
松永が言う動画のタイトルに伊月さんは頷く。
どうやら伊月さんは日頃から松永が勉強へ足を向くように仕向けているらしい。
たぶん、松永の性格的には逆効果だろう。
「……りょーちゃんも気を付けな。面白いと思ってる話は全然ウケてない可能性あるぞ」
「き、肝に銘じておく」
「いやいや。産賀さんは大丈夫だと思いますよ」
「ど、どうして?」
「それはまぁ……何となく、勘です」
「まぁ、そもそもりょーちゃんは聞くタイプだからね」
「つまりは話題を振るのは下手と……」
「なんで落ち込んでんの!? 違うって、聞き上手って意味だから」
「そ、そうですよ! 勘じゃなくて、産賀さんからそういう空気を感じたというか……」
何故か最後は僕が勝手に凹んで2人が慰めることになった。
お互いに色々言い合っているけど、僕から見れば松永と伊月さんこそずっと大丈夫そうな2人だと思っている。
運動部の面々はこの夏に引退した人が多いので、放課後教室に残る人やそのまま帰宅する人がクラス内でも多くなっていた。
松永や本田くんも放課後はフリーになっているようで、部活がまだ続いている僕よりも早く帰ることも珍しくなくなった。
そんな今日は僕も部活がない日で、松永も特に用事がなかったから一緒に帰ることになる。
「産賀さんに浩太くん、お疲れ様です」
「おお。なんか改めて茉奈ちゃんに敬語使われると変な感じ」
「今のは敬語というよりは丁寧語だし、産賀さんに合わせただけだから」
すると、下駄箱で偶然伊月さんと遭遇する。
「伊月さんと一緒に帰れば良かったのに」
「いや、茉奈ちゃんと帰り道違うし、たまにはりょーちゃんも構ってあげないと」
「そんな気遣いはいらん」
「ひどーい! ねぇ、茉奈ちゃん」
「いえ。わたしも3日に1回会えば十分ですので」
「ウソぉ!? もしかしてマンネリ期きちゃった……?」
いつも通り騒がしい松永を押し付け合いながら僕らは暫くその場に留まって話を続ける。
「そういうことじゃないから。でも、産賀さんと路子さんはマンネリとかなさそうですよね」
「そう……かな。僕としてはないとは思ってるけど」
「りょーちゃんも言うようになったじゃない」
「いや、ここでマンネリだって言う方が良くないだろう。ただ、時々同じことしてるなぁって感じることはあるよ」
「同じこと?」
「まぁ、遊びに行く場所だったり、話の内容だったり。新しい話題出した方がいいのかなと思わないこともないんだけど……その辺はどうなの?」
僕は珍しく松永と伊月さんに対して質問する。
この3人で話す機会は時々あるけど、確かに以前の僕はあまり路ちゃんとの話を広げようとしなかった。
でも、今の話題はちょっと引っかかるところがあったので、先輩カップルの2人に聞きたいと思ったのだ。
ただ、2人から返ってきたのは……
「それで言うと、浩太くんはわりと同じ話ばっかりですよ」
「マジで? 俺ほど最新コンテンツを取り入れている奴はいないと思うけど」
「浩太くんは無駄に昔の記憶があるせいか、ウケたネタを何回も言う傾向があるし、最近は何かにつけてハマってる動画チャンネルの話に着地するし」
「だ、だって、安定して面白いかと……」
「つまらなくはないけど、それならわたしが勧めたチャンネルも見て欲しいかな」
「30分で集中できる音楽とか、10分で覚えられる動画とか……?」
松永が言う動画のタイトルに伊月さんは頷く。
どうやら伊月さんは日頃から松永が勉強へ足を向くように仕向けているらしい。
たぶん、松永の性格的には逆効果だろう。
「……りょーちゃんも気を付けな。面白いと思ってる話は全然ウケてない可能性あるぞ」
「き、肝に銘じておく」
「いやいや。産賀さんは大丈夫だと思いますよ」
「ど、どうして?」
「それはまぁ……何となく、勘です」
「まぁ、そもそもりょーちゃんは聞くタイプだからね」
「つまりは話題を振るのは下手と……」
「なんで落ち込んでんの!? 違うって、聞き上手って意味だから」
「そ、そうですよ! 勘じゃなくて、産賀さんからそういう空気を感じたというか……」
何故か最後は僕が勝手に凹んで2人が慰めることになった。
お互いに色々言い合っているけど、僕から見れば松永と伊月さんこそずっと大丈夫そうな2人だと思っている。
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