上 下
892 / 942
3年生2学期

9月12日(火)曇り 後輩との日常・石渡沙綾の場合その8

しおりを挟む
 空を見上げるのはやや不向きな宇宙の日。
 体育祭前なので一部の人は部活ではなく体育祭の準備に参加しているけど、文芸部の面々は全員部活動に参加していた。
なので、本日も僕らは文化祭に向けての製作に取り組む。
 作品の提出締め切りは月末に迫っているので、そろそろ形を整えなければ間に合わなくなってしまうだろう。

「はぁ……路子さんと同じチームが良かったなぁ」

 そんな中、石渡さんは唐突にそう呟く。
 石渡さんは明莉と同じ黄色チームだったので、残念ながら路ちゃんとは敵対関係になってしまった。
 ちなみに三浦くんと結香さんは明莉と同じクラスだから1年生は全員黄色チームだ。

「わたしはあんまりチーム分けがどうとかは考えたことはないのだけれど……」

「そうなんですか?」

「うん。というか、体育祭自体が積極的に参加したいわけでもなかったから……」

「わかります。あたしも運動は苦手なので、なるべく早く終わって欲しいと思うばっかりで……でも、高校ではリレーとかに絶対出る必要がなかったから、そこは良かったです」

 石渡さんは高校初めての体育祭について路ちゃんに色々と話していく。
 僕もそういう日常的な会話をしたいところだけど、石渡さんと個人的に話せる時間は部活内でもそれほど多くない。
 このまま文化祭を迎えて、それが終わると石渡さんとはあまり喋らないまま文芸部も実質的に引退する可能性もある。
 部活内の全員と仲良くなる必要はないのかもしれないけど……何だかちょっとだけ寂しい気分だ。

「産賀さん」

 そんなことをぼんやりと考えていると、急に石渡さんの方から話しかけてくる。
 滅多にないことなので驚きそうになったけど、それを見せたらまた何か言われそうなので僕は表情に出さないよう返事をした。

「どうしたの?」

「実はその……路子さんと遊びに行く件なんですか」

「ああ。もしかして行く予定ができたの?」
「一応、9月中のどこかでいう話になったので……今度LINEで色々質問してもいいですか?」

「質問って……何を?」

「路子さんの好きなものとか、そういうやつです。よろしくお願いしますね」

 僕の返答を待たずに石渡さんは自分の作業に戻って行った。
 あくまで路ちゃんと遊ぶための会話だけれど、石渡さんとやり取りできる機会が巡ってきた。
 ただ、質問以外のことを話すと機嫌を損なわれそうなので……慎重に返答していきたいと思った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

通り道のお仕置き

おしり丸
青春
お尻真っ赤

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

坊主女子:友情短編集

S.H.L
青春
短編集です

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

処理中です...