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3年生2学期
9月12日(火)曇り 後輩との日常・石渡沙綾の場合その8
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空を見上げるのはやや不向きな宇宙の日。
体育祭前なので一部の人は部活ではなく体育祭の準備に参加しているけど、文芸部の面々は全員部活動に参加していた。
なので、本日も僕らは文化祭に向けての製作に取り組む。
作品の提出締め切りは月末に迫っているので、そろそろ形を整えなければ間に合わなくなってしまうだろう。
「はぁ……路子さんと同じチームが良かったなぁ」
そんな中、石渡さんは唐突にそう呟く。
石渡さんは明莉と同じ黄色チームだったので、残念ながら路ちゃんとは敵対関係になってしまった。
ちなみに三浦くんと結香さんは明莉と同じクラスだから1年生は全員黄色チームだ。
「わたしはあんまりチーム分けがどうとかは考えたことはないのだけれど……」
「そうなんですか?」
「うん。というか、体育祭自体が積極的に参加したいわけでもなかったから……」
「わかります。あたしも運動は苦手なので、なるべく早く終わって欲しいと思うばっかりで……でも、高校ではリレーとかに絶対出る必要がなかったから、そこは良かったです」
石渡さんは高校初めての体育祭について路ちゃんに色々と話していく。
僕もそういう日常的な会話をしたいところだけど、石渡さんと個人的に話せる時間は部活内でもそれほど多くない。
このまま文化祭を迎えて、それが終わると石渡さんとはあまり喋らないまま文芸部も実質的に引退する可能性もある。
部活内の全員と仲良くなる必要はないのかもしれないけど……何だかちょっとだけ寂しい気分だ。
「産賀さん」
そんなことをぼんやりと考えていると、急に石渡さんの方から話しかけてくる。
滅多にないことなので驚きそうになったけど、それを見せたらまた何か言われそうなので僕は表情に出さないよう返事をした。
「どうしたの?」
「実はその……路子さんと遊びに行く件なんですか」
「ああ。もしかして行く予定ができたの?」
「一応、9月中のどこかでいう話になったので……今度LINEで色々質問してもいいですか?」
「質問って……何を?」
「路子さんの好きなものとか、そういうやつです。よろしくお願いしますね」
僕の返答を待たずに石渡さんは自分の作業に戻って行った。
あくまで路ちゃんと遊ぶための会話だけれど、石渡さんとやり取りできる機会が巡ってきた。
ただ、質問以外のことを話すと機嫌を損なわれそうなので……慎重に返答していきたいと思った。
体育祭前なので一部の人は部活ではなく体育祭の準備に参加しているけど、文芸部の面々は全員部活動に参加していた。
なので、本日も僕らは文化祭に向けての製作に取り組む。
作品の提出締め切りは月末に迫っているので、そろそろ形を整えなければ間に合わなくなってしまうだろう。
「はぁ……路子さんと同じチームが良かったなぁ」
そんな中、石渡さんは唐突にそう呟く。
石渡さんは明莉と同じ黄色チームだったので、残念ながら路ちゃんとは敵対関係になってしまった。
ちなみに三浦くんと結香さんは明莉と同じクラスだから1年生は全員黄色チームだ。
「わたしはあんまりチーム分けがどうとかは考えたことはないのだけれど……」
「そうなんですか?」
「うん。というか、体育祭自体が積極的に参加したいわけでもなかったから……」
「わかります。あたしも運動は苦手なので、なるべく早く終わって欲しいと思うばっかりで……でも、高校ではリレーとかに絶対出る必要がなかったから、そこは良かったです」
石渡さんは高校初めての体育祭について路ちゃんに色々と話していく。
僕もそういう日常的な会話をしたいところだけど、石渡さんと個人的に話せる時間は部活内でもそれほど多くない。
このまま文化祭を迎えて、それが終わると石渡さんとはあまり喋らないまま文芸部も実質的に引退する可能性もある。
部活内の全員と仲良くなる必要はないのかもしれないけど……何だかちょっとだけ寂しい気分だ。
「産賀さん」
そんなことをぼんやりと考えていると、急に石渡さんの方から話しかけてくる。
滅多にないことなので驚きそうになったけど、それを見せたらまた何か言われそうなので僕は表情に出さないよう返事をした。
「どうしたの?」
「実はその……路子さんと遊びに行く件なんですか」
「ああ。もしかして行く予定ができたの?」
「一応、9月中のどこかでいう話になったので……今度LINEで色々質問してもいいですか?」
「質問って……何を?」
「路子さんの好きなものとか、そういうやつです。よろしくお願いしますね」
僕の返答を待たずに石渡さんは自分の作業に戻って行った。
あくまで路ちゃんと遊ぶための会話だけれど、石渡さんとやり取りできる機会が巡ってきた。
ただ、質問以外のことを話すと機嫌を損なわれそうなので……慎重に返答していきたいと思った。
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