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3年生2学期
9月1日(金)曇り時々雨 伊月茉奈との日常その17
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9月が始まるキウイの日。
本日は一日かけて実力テストが行われて、夏休み中の勉強の成果を発揮する日となった。
実際に発揮できたかどうかは……何とも言えないところだけど、結果が出た時にはしっかりと受け止めて進んでいきたいと思う。
そんな今日は児島さんの変化について追及したいところだったけど、路ちゃんも含めてテストの方に集中したかったから、状況は変わらないまま放課後の部活の時間を迎える。
すると、僕と路ちゃんが部室に入るや否や伊月さんは慌てた様子で駆け寄って来た。
「産賀さん、路子さん、お疲れ様です! あの、浩太くんのテストはどんな感じでしたか!?」
「お、お疲れ。松永のテストがどんな感じかと言われても……」
「手応えがあったとか、なかったとかって意味です!」
「うーん……特に何も言ってなかったよ」
「わたしはそもそも今日、松永くんと話してないから……」
「そうですか……」
それを聞いた伊月さんは複雑そうな表情をしていた。
「この前、松永から聞いたよ。夏休み中は伊月さんも勉強に協力してあげてたんだね」
「協力と言う程じゃありませんが、教材を無理やりプレゼントしたり、一緒に図書館で勉強する日を作ったりしたんです。浩太くん、余りにも受験生らしさがないから……」
「まぁ、人によってペースは変わるものだから」
「でも、産賀さんも路子もこの夏休みはがっつり塾に通ってたじゃないですか! それを見ていた分、不安になっちゃって……」
どうやら松永に対する伊月さんの心配は僕と路ちゃんの影響も少なからずあるようだった。
そうだとすると、松永には少し申し訳ないことをしたような……いや、心配させる松永の方が悪いのだろうか?
「大丈夫だよ、茉奈ちゃん。わたし、夏休みにがっつり勉強しても今回のテストの自信は全然ないから……」
「ち、違うんです。わたしは別に勉強してたらできて当たり前と言いたいわけじゃなくて……」
「その点で言うと松永くんはいつも自信満々そうだから、わたしは見習った方がいいのかも……」
「いや、路子さん。あれは何も考えてないだけです」
「そうそう。微塵も根拠がない自信だから」
「ふ、二人とも結構言うんだね」
路ちゃんは謎に松永の評価が高い気がするけど、僕と伊月さんは松永の駄目な部分を色々見ているから、少しきつく言ってしまう時がある。
たぶん、今回の伊月さんもそれが積み重なった上での心配なのだろう。
「でも、お二人がわからないのであれば、直接聞くしかありませんね。すみません、ご迷惑をおかけしました」
「いやいや。でも、松永も全くやってなかったわけじゃないから、ちょっとは容赦してあげてね」
「それは……はい。ちょっと焦り過ぎたとは思ってます」
「ふふっ。松永くんのこと、本当に大切に思ってるんだね」
「べ、別に大切……は大切ですけど、心配が勝るというか……ああ、もう! にやにやしないでくださいよ!?」
最終的にはいつも通りの伊月さんに落ち着いたので、松永への追及も多少は抑え気味になるかもしれない。
ちなみに部活が終わってから松永にそれとなく連絡してみたけど、テストの出来は自分史上では最高の出来だったらしい。
確かにこの自信の半分くらいは路ちゃんも見習った方が、色々気軽に考えられるような気もする。
本日は一日かけて実力テストが行われて、夏休み中の勉強の成果を発揮する日となった。
実際に発揮できたかどうかは……何とも言えないところだけど、結果が出た時にはしっかりと受け止めて進んでいきたいと思う。
そんな今日は児島さんの変化について追及したいところだったけど、路ちゃんも含めてテストの方に集中したかったから、状況は変わらないまま放課後の部活の時間を迎える。
すると、僕と路ちゃんが部室に入るや否や伊月さんは慌てた様子で駆け寄って来た。
「産賀さん、路子さん、お疲れ様です! あの、浩太くんのテストはどんな感じでしたか!?」
「お、お疲れ。松永のテストがどんな感じかと言われても……」
「手応えがあったとか、なかったとかって意味です!」
「うーん……特に何も言ってなかったよ」
「わたしはそもそも今日、松永くんと話してないから……」
「そうですか……」
それを聞いた伊月さんは複雑そうな表情をしていた。
「この前、松永から聞いたよ。夏休み中は伊月さんも勉強に協力してあげてたんだね」
「協力と言う程じゃありませんが、教材を無理やりプレゼントしたり、一緒に図書館で勉強する日を作ったりしたんです。浩太くん、余りにも受験生らしさがないから……」
「まぁ、人によってペースは変わるものだから」
「でも、産賀さんも路子もこの夏休みはがっつり塾に通ってたじゃないですか! それを見ていた分、不安になっちゃって……」
どうやら松永に対する伊月さんの心配は僕と路ちゃんの影響も少なからずあるようだった。
そうだとすると、松永には少し申し訳ないことをしたような……いや、心配させる松永の方が悪いのだろうか?
「大丈夫だよ、茉奈ちゃん。わたし、夏休みにがっつり勉強しても今回のテストの自信は全然ないから……」
「ち、違うんです。わたしは別に勉強してたらできて当たり前と言いたいわけじゃなくて……」
「その点で言うと松永くんはいつも自信満々そうだから、わたしは見習った方がいいのかも……」
「いや、路子さん。あれは何も考えてないだけです」
「そうそう。微塵も根拠がない自信だから」
「ふ、二人とも結構言うんだね」
路ちゃんは謎に松永の評価が高い気がするけど、僕と伊月さんは松永の駄目な部分を色々見ているから、少しきつく言ってしまう時がある。
たぶん、今回の伊月さんもそれが積み重なった上での心配なのだろう。
「でも、お二人がわからないのであれば、直接聞くしかありませんね。すみません、ご迷惑をおかけしました」
「いやいや。でも、松永も全くやってなかったわけじゃないから、ちょっとは容赦してあげてね」
「それは……はい。ちょっと焦り過ぎたとは思ってます」
「ふふっ。松永くんのこと、本当に大切に思ってるんだね」
「べ、別に大切……は大切ですけど、心配が勝るというか……ああ、もう! にやにやしないでくださいよ!?」
最終的にはいつも通りの伊月さんに落ち着いたので、松永への追及も多少は抑え気味になるかもしれない。
ちなみに部活が終わってから松永にそれとなく連絡してみたけど、テストの出来は自分史上では最高の出来だったらしい。
確かにこの自信の半分くらいは路ちゃんも見習った方が、色々気軽に考えられるような気もする。
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