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3年生夏休み

8月22日(火)晴れ 後輩との日常・桐山宗太郎の場合その20

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 夏休み32日目の金シャチの日。
 本日から文芸部の活動が再開されるので、午前中は参加することになった。
 僕としては日曜に続いて創作を進めたかったけど……僕と路ちゃんは久しぶりに1・2年生と会ったから作業よりも雑談が弾んでしまった。

「はぁ……」

 そんな中、桐山くんのテンションが明らかに低いことに気付く。
 今までも何回かこういう状態になっていたような気がするけど、放っておくわけにはいかないので、僕は声をかけた。

「何かあったの、桐山くん?」

「いやぁ、産賀さん。それが……何もなかったんすよ」

「なんかそれも前聞いたような……」

「これだけ姫宮さんと遊ぶ機会があったというのに……」

 どうやら僕と路ちゃんが参加していなかったイベントでも桐山くんと姫宮さんの仲は縮まらなかったようだ。
 まぁ、他の人もいる中では積極的に動けなかったのもあるのだろう。

「まぁまぁ。まだチャンスはあると思うし……」

「それだけじゃないんすよ」

「ほう?」

「実は……日葵についてなんすけど」

 その名前が出てきた途端、僕は聞く姿勢が少しだけ前のめりになる。
 まさか、こちらは僕が知らない間に大きな進展が――

「最近のあいつ……なんかエロいんすよ」

「……は?」

「いや、具体的に何かあったわけじゃないんすけど、この夏の間は妙に艶めかしいというか……決して俺にやましい気持ちがあるわけじゃなく、俺は真っ直ぐ姫宮さんに向かってるはずなんですけど……こういう経験ありません!?」

「ないよ」

「そ、そうっすかぁ……」

 とんでもない単語が出てきたので、思わず冷たい対応をしてしまったけど、これは……もしかして日葵さんが何か仕掛けたのか。
 それとも桐山くんの意識がちょっとだけ日葵さんに向いているのか。

「いや、絶対産賀さんもそういう経験あるでしょ」

「なんでそこを食い下がるんだ」

「だって、あんまり産賀さんと下のトークしたことないから」

「こんなに女子がいる空間で始める方がどうかしてる」

「ちなみに三浦くんとはがっつりやりました」

「マジで……? うーん……」

「……今度男子会でもやりますか」

「か、考えておくよ」

 なぜか変な方向へ話が進んでしまったけど、桐山くんの中で少しずつ変化が起こり始めているようだ。
 とりあえず……僕も今度三浦くんと話す時はグッと距離を縮めたいと思う。
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