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3年生夏休み

8月17日(木)曇り 明莉との夏休みⅢその5

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 夏休み27日目のパイナップルの日。
 塾の集中講義は明日から始まるので、この日は僕にとってお盆休み最後の日となる。
 まぁ、日曜と月末はまた休めるので仕事が始まる人に比べたら絶望は少ないと思う。

 そんな今日は両親の仕事が始まったので、一週間ぶりに昼ご飯を作ることになった。
 前回の反省を活かした僕はこの期間に新しいレパートリーを増やすために料理動画を見ていたので、その成果を発揮する日だ。

「それでりょうちゃんは何を作れるようになったの?」

「作れるかどうかはぶっつけ本番になるけど、レシピ通りすればできるはずだから。ご飯系と麺料理、卵料理の3つがあるよ」

「……いつも通りじゃない?」

「ぜ、全部ちょっとずつ味とか風味とか違うから」

「じゃあ、麺料理で」

「よしきた。今回は袋ラーメンで冷やしラーメンを作るぞ!」

「ほえー 冷やし中華じゃなくて?」

「うん。単に冷やすわけじゃなくて、調味料や薬味を加えて味を変えるんだ」

 僕はそう言いながら料理の準備を始める。
 一方の明莉はスマホを弄りながら話しかけてくる。

「今更だけど、りょうちゃんって料理作るの好きだよね」

「好きな方だとは思う。母さんに比べたら料理とは言えないのかもしれないけど」

「そこまで好きなら路子おねえちゃんにも振る舞ってみたら?」

「えっ。それは……振る舞えるほどの料理ではないというか……」

「あかりには食べさせるのに」

「そこはまぁ家族だし……」

「路子おねえちゃんなら喜んでりょうちゃんのオムライス食べそうだけどなぁ」

 明莉にそう言われるまで路ちゃんに料理を振る舞うという発想は微塵もなかった。
 そういえばお盆前に路ちゃんがお弁当を作ってくれると言っていたけど……逆に僕が作って行くのありなのだろうか。
 でも、今のところ僕が作れるのはお弁当に向かないものばかりだし……いや、それならお弁当向けの動画を見て……

「りょうちゃん、結構作る気になってるでしょ」

「そ、そう見える?」

「うん。まぁ、あかりも初めて食べた時は美味しかったからありだと思う」

「いや、僕はお弁当を作ってみようかと」

「えっ。いきなりお弁当は重くない? 色んな意味で?」

「た、駄目かぁ……」

 僕が露骨に残念そうにすると、さすがに可哀想だと思ったのフォローを入れてくれた。
 
 ちなみに冷やしラーメンは美味しくできたけど、明莉的には新しいレパートリーというよりは、ラーメンの食べ方の一つに数えられてしまった。
 やっぱりメニューを増やすならご飯や麺からは離れるべきなのだろうか……また合間を見つけて動画を見ておこう。
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