866 / 942
3年生夏休み
8月17日(木)曇り 明莉との夏休みⅢその5
しおりを挟む
夏休み27日目のパイナップルの日。
塾の集中講義は明日から始まるので、この日は僕にとってお盆休み最後の日となる。
まぁ、日曜と月末はまた休めるので仕事が始まる人に比べたら絶望は少ないと思う。
そんな今日は両親の仕事が始まったので、一週間ぶりに昼ご飯を作ることになった。
前回の反省を活かした僕はこの期間に新しいレパートリーを増やすために料理動画を見ていたので、その成果を発揮する日だ。
「それでりょうちゃんは何を作れるようになったの?」
「作れるかどうかはぶっつけ本番になるけど、レシピ通りすればできるはずだから。ご飯系と麺料理、卵料理の3つがあるよ」
「……いつも通りじゃない?」
「ぜ、全部ちょっとずつ味とか風味とか違うから」
「じゃあ、麺料理で」
「よしきた。今回は袋ラーメンで冷やしラーメンを作るぞ!」
「ほえー 冷やし中華じゃなくて?」
「うん。単に冷やすわけじゃなくて、調味料や薬味を加えて味を変えるんだ」
僕はそう言いながら料理の準備を始める。
一方の明莉はスマホを弄りながら話しかけてくる。
「今更だけど、りょうちゃんって料理作るの好きだよね」
「好きな方だとは思う。母さんに比べたら料理とは言えないのかもしれないけど」
「そこまで好きなら路子おねえちゃんにも振る舞ってみたら?」
「えっ。それは……振る舞えるほどの料理ではないというか……」
「あかりには食べさせるのに」
「そこはまぁ家族だし……」
「路子おねえちゃんなら喜んでりょうちゃんのオムライス食べそうだけどなぁ」
明莉にそう言われるまで路ちゃんに料理を振る舞うという発想は微塵もなかった。
そういえばお盆前に路ちゃんがお弁当を作ってくれると言っていたけど……逆に僕が作って行くのありなのだろうか。
でも、今のところ僕が作れるのはお弁当に向かないものばかりだし……いや、それならお弁当向けの動画を見て……
「りょうちゃん、結構作る気になってるでしょ」
「そ、そう見える?」
「うん。まぁ、あかりも初めて食べた時は美味しかったからありだと思う」
「いや、僕はお弁当を作ってみようかと」
「えっ。いきなりお弁当は重くない? 色んな意味で?」
「た、駄目かぁ……」
僕が露骨に残念そうにすると、さすがに可哀想だと思ったのフォローを入れてくれた。
ちなみに冷やしラーメンは美味しくできたけど、明莉的には新しいレパートリーというよりは、ラーメンの食べ方の一つに数えられてしまった。
やっぱりメニューを増やすならご飯や麺からは離れるべきなのだろうか……また合間を見つけて動画を見ておこう。
塾の集中講義は明日から始まるので、この日は僕にとってお盆休み最後の日となる。
まぁ、日曜と月末はまた休めるので仕事が始まる人に比べたら絶望は少ないと思う。
そんな今日は両親の仕事が始まったので、一週間ぶりに昼ご飯を作ることになった。
前回の反省を活かした僕はこの期間に新しいレパートリーを増やすために料理動画を見ていたので、その成果を発揮する日だ。
「それでりょうちゃんは何を作れるようになったの?」
「作れるかどうかはぶっつけ本番になるけど、レシピ通りすればできるはずだから。ご飯系と麺料理、卵料理の3つがあるよ」
「……いつも通りじゃない?」
「ぜ、全部ちょっとずつ味とか風味とか違うから」
「じゃあ、麺料理で」
「よしきた。今回は袋ラーメンで冷やしラーメンを作るぞ!」
「ほえー 冷やし中華じゃなくて?」
「うん。単に冷やすわけじゃなくて、調味料や薬味を加えて味を変えるんだ」
僕はそう言いながら料理の準備を始める。
一方の明莉はスマホを弄りながら話しかけてくる。
「今更だけど、りょうちゃんって料理作るの好きだよね」
「好きな方だとは思う。母さんに比べたら料理とは言えないのかもしれないけど」
「そこまで好きなら路子おねえちゃんにも振る舞ってみたら?」
「えっ。それは……振る舞えるほどの料理ではないというか……」
「あかりには食べさせるのに」
「そこはまぁ家族だし……」
「路子おねえちゃんなら喜んでりょうちゃんのオムライス食べそうだけどなぁ」
明莉にそう言われるまで路ちゃんに料理を振る舞うという発想は微塵もなかった。
そういえばお盆前に路ちゃんがお弁当を作ってくれると言っていたけど……逆に僕が作って行くのありなのだろうか。
でも、今のところ僕が作れるのはお弁当に向かないものばかりだし……いや、それならお弁当向けの動画を見て……
「りょうちゃん、結構作る気になってるでしょ」
「そ、そう見える?」
「うん。まぁ、あかりも初めて食べた時は美味しかったからありだと思う」
「いや、僕はお弁当を作ってみようかと」
「えっ。いきなりお弁当は重くない? 色んな意味で?」
「た、駄目かぁ……」
僕が露骨に残念そうにすると、さすがに可哀想だと思ったのフォローを入れてくれた。
ちなみに冷やしラーメンは美味しくできたけど、明莉的には新しいレパートリーというよりは、ラーメンの食べ方の一つに数えられてしまった。
やっぱりメニューを増やすならご飯や麺からは離れるべきなのだろうか……また合間を見つけて動画を見ておこう。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる