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3年生夏休み
8月12日(土)晴れ 祖父母宅での夏休みⅢ
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夏休み22日目の配布の日。
今日から1泊2日で京都の祖父母の家にお世話になる。
いつも通り朝から父さんの運転で向かっている間は二度寝をさせてもらって、起きてから30分ほどすると到着した。
「よく来たねぇ、良助、明莉」
「おお、早う家に入って涼みんさい」
祖父母はそう言って迎え入れてくれたけど、僕は何だか違和感を覚える。
ばあちゃんが大きくなったと言わなくなった……のは別として、気になったのはじいちゃんの方だ。
その違和感は父さんも感じていたようで、部屋に案内された後、本人ではなくばあちゃんの方に話しかける。
「あの……お義父さん、少しやせられました?」
「ああ……ちょっと最近の暑さに滅入ってるみたいでねぇ。特に熱中症とかじゃないんだけど、今年はまだお墓の掃除もできてないんだよ」
「そうだったんですか……じゃあ、僕がやってきますよ」
「いやいや。運転で疲れてるんだから少し休んだ方が……」
「だったら、僕と明莉が行くよ。たっぷり寝てたから疲れてないし」
僕がそう言うと明莉は一瞬「えっ」という表情になったけど、すぐに笑顔に切り替える。
「まかせといて! でも、戻ったらアイス食べたいな」
「それじゃあ、お願いしようかねぇ」
そうして、僕と明莉は掃除道具を持って祖父母宅から少し歩いたところにあるお墓へ向かう。
「うー……強制的に巻き込まれた」
「さすがに僕一人だと時間かかりそうだから……ごめん」
「素直に謝られると罪悪感がある」
「まぁ、これで僕らが熱中症になったら元も子もないから、ちゃちゃっと終わらせよう」
「うん……おじいちゃん、大丈夫かな」
明莉はそうぽつりと呟いた後、周りの雑草抜きを始めたので、僕はバケツに水を汲んでから墓石を掃除する。
夏休みに京都で会うじいちゃんの姿はいつもの元気な姿だったから、今日のじいちゃんが弱々しく見えたのは間違えじゃなかった。
日々の暑さに滅入るのは僕達も同じだけど、じいちゃんがそうなるのは少しワケが違う。
この夏の間に家でエアコンを付けずに亡くなるお年寄りも多いと聞くから、今日は僕達のために付けてくれていたとしても、普段はどうなのだろうか。
「おうおう。すまんな良助、明莉。代わりにしてもろうて」
「じ、じいちゃん。外に出て大丈夫なの?」
「ちょっとくらいは大丈夫じゃ。うん、十分綺麗になっとる」
「だったら、もう家に戻ろう! おじいちゃんもアイス食べて涼まなきゃ」
「はは。実は毎日のように食べてばあさんからちょっと怖い目で見られとるんじゃ」
「この暑さなら全然いいとあかりは思うけどなー」
「いや、たぶんアイスしか食べんせいじゃ」
「それは……あかりもちょっとダメだと思う。しっかり食べて体力付けないと。ね、りょうちゃん?」
「うん。今日は僕らも一緒に食べるから」
「そうじゃのう。今日はたくさん食べようか」
そんな会話を終えた後、僕ら3人は家に戻ってばあちゃんが用意してくれたアイスを食べた。
そして、夕飯の時には豪勢な料理が並んでいたけど……じいちゃんの食欲はかなり落ちているようだった。
心配をかけないように僕らが来るまで何も言ってなかったようだけど、反対に心配してしまった。
今日から1泊2日で京都の祖父母の家にお世話になる。
いつも通り朝から父さんの運転で向かっている間は二度寝をさせてもらって、起きてから30分ほどすると到着した。
「よく来たねぇ、良助、明莉」
「おお、早う家に入って涼みんさい」
祖父母はそう言って迎え入れてくれたけど、僕は何だか違和感を覚える。
ばあちゃんが大きくなったと言わなくなった……のは別として、気になったのはじいちゃんの方だ。
その違和感は父さんも感じていたようで、部屋に案内された後、本人ではなくばあちゃんの方に話しかける。
「あの……お義父さん、少しやせられました?」
「ああ……ちょっと最近の暑さに滅入ってるみたいでねぇ。特に熱中症とかじゃないんだけど、今年はまだお墓の掃除もできてないんだよ」
「そうだったんですか……じゃあ、僕がやってきますよ」
「いやいや。運転で疲れてるんだから少し休んだ方が……」
「だったら、僕と明莉が行くよ。たっぷり寝てたから疲れてないし」
僕がそう言うと明莉は一瞬「えっ」という表情になったけど、すぐに笑顔に切り替える。
「まかせといて! でも、戻ったらアイス食べたいな」
「それじゃあ、お願いしようかねぇ」
そうして、僕と明莉は掃除道具を持って祖父母宅から少し歩いたところにあるお墓へ向かう。
「うー……強制的に巻き込まれた」
「さすがに僕一人だと時間かかりそうだから……ごめん」
「素直に謝られると罪悪感がある」
「まぁ、これで僕らが熱中症になったら元も子もないから、ちゃちゃっと終わらせよう」
「うん……おじいちゃん、大丈夫かな」
明莉はそうぽつりと呟いた後、周りの雑草抜きを始めたので、僕はバケツに水を汲んでから墓石を掃除する。
夏休みに京都で会うじいちゃんの姿はいつもの元気な姿だったから、今日のじいちゃんが弱々しく見えたのは間違えじゃなかった。
日々の暑さに滅入るのは僕達も同じだけど、じいちゃんがそうなるのは少しワケが違う。
この夏の間に家でエアコンを付けずに亡くなるお年寄りも多いと聞くから、今日は僕達のために付けてくれていたとしても、普段はどうなのだろうか。
「おうおう。すまんな良助、明莉。代わりにしてもろうて」
「じ、じいちゃん。外に出て大丈夫なの?」
「ちょっとくらいは大丈夫じゃ。うん、十分綺麗になっとる」
「だったら、もう家に戻ろう! おじいちゃんもアイス食べて涼まなきゃ」
「はは。実は毎日のように食べてばあさんからちょっと怖い目で見られとるんじゃ」
「この暑さなら全然いいとあかりは思うけどなー」
「いや、たぶんアイスしか食べんせいじゃ」
「それは……あかりもちょっとダメだと思う。しっかり食べて体力付けないと。ね、りょうちゃん?」
「うん。今日は僕らも一緒に食べるから」
「そうじゃのう。今日はたくさん食べようか」
そんな会話を終えた後、僕ら3人は家に戻ってばあちゃんが用意してくれたアイスを食べた。
そして、夕飯の時には豪勢な料理が並んでいたけど……じいちゃんの食欲はかなり落ちているようだった。
心配をかけないように僕らが来るまで何も言ってなかったようだけど、反対に心配してしまった。
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