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3年生夏休み
8月11日(金)晴れ 後輩との日常・三浦将基の場合その7
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夏休み21日目の山の日。
世間では今日から里帰りが始まっているようだけど、我が家は明日から出かけるので今日はフリーだった。
なので、文芸部の集まりとしてカラオケに参加することになった。
他の部員もこの日は都合が良かったのか全員参加だったので、計9人の大人数でカラオケ屋さんに入っていく。
当然ながら普段使う部屋では入りきらないので、少し大きめの部屋に通された。
「飲み物は以上で良かった? それじゃあ、産賀センパイ達は先に行っててください」
ただ、日葵さんがこういう大人数に慣れているのか先導してスムーズに進めてくれる。
僕もカラオケは久しぶりかつこんな人数で来たことがないので、非常にありがたい。
「産賀さん……」
そんな中、部屋に向かう途中で三浦くんがやや低いテンションで話しかけてくる。
「どうしたの? まさか体調が……」
「カラオケって何歌えばいいんですか!?」
「あー……」
「ボク、普段から来ないし、何なら女子が混ざってる中で歌うの初めてなんですよ!」
不安のせいかいつになく声が出ているけれど、口にしているのは声を出したくない悩みだった。
「あんまり歌う曲は気にしなくていいと思うよ。知らない曲でもなんとなくで盛り上がれるだろうし」
「そう言われても……その盛り上がるような曲を知らないんです」
「三浦くん、普段はあんまり音楽聞かない感じ?」
「聞かないことはないですけど……どっちかというとゲームBGMとか」
「なるほど。でも、小さい頃に見てたアニメとか、学校で習った曲とかは歌えるでしょ?」
「まぁ、たぶん……」
「だったら、それを歌えばいいよ。三浦くんとは2歳差だけど特撮の曲とか、僕や三浦くんも共通して見てる作品はあるだろうし、学校で習った曲ならみんなで歌える」
「そ、そういうもんですか……」
「うん。本当に無理そうなら僕らを巻き込んでいいから」
「わ、わかりました……」
三浦くんは少し不安そうだったけど、周りの盛り上がりを気にするなら今言ったような選曲で何とかなると思う。
それに日葵さんなら本当に知らない曲でも腐すようなことは言わないはずだ。
せっかく来たんだから三浦くんも楽しめるような会に……
「りょ、良助くん」
「うん? どうしたの、路ちゃん?」
「わ、わたし……こんなに大人数の前で歌うのは初めてなのだけれど、何を歌ったらいいと思う」
「あー……」
「ご、ごめんなさい。カラオケに行くのはわかっていたのに……」
まさか同じような質問をこの短時間で2回も受けるとは思わなかった。
その後、それぞれ持ち歌やら流行りの歌やらを披露していたけど、三浦くんと路ちゃんも楽しそうに参加できていた。
緊張しているので曲数はそれほど歌えていなかったけど、実際に歌ったら盛り下がるようなことは一回もなかった。
一方、他の部員は思ったよりも歌が上手い人ばかりで、特に印象的だったのは……
「ヴォォォォイ!」
「……姫宮さん、あんな声出るんだ」
「驚きました? 青蘭のかくし芸なんですよ~」
姫宮さんのデスメタルを歌った時だった。
「力強い姫宮さんも素敵だ……」
「良助先輩。私の美声に聞き惚れましたか」
「う、うん。凄かった」
そう言うと姫宮さんとなぜか日葵さんも満足そうな表情になったので、もしかしたらこれを披露したかったがためのカラオケ会だったのかもしれない。
世間では今日から里帰りが始まっているようだけど、我が家は明日から出かけるので今日はフリーだった。
なので、文芸部の集まりとしてカラオケに参加することになった。
他の部員もこの日は都合が良かったのか全員参加だったので、計9人の大人数でカラオケ屋さんに入っていく。
当然ながら普段使う部屋では入りきらないので、少し大きめの部屋に通された。
「飲み物は以上で良かった? それじゃあ、産賀センパイ達は先に行っててください」
ただ、日葵さんがこういう大人数に慣れているのか先導してスムーズに進めてくれる。
僕もカラオケは久しぶりかつこんな人数で来たことがないので、非常にありがたい。
「産賀さん……」
そんな中、部屋に向かう途中で三浦くんがやや低いテンションで話しかけてくる。
「どうしたの? まさか体調が……」
「カラオケって何歌えばいいんですか!?」
「あー……」
「ボク、普段から来ないし、何なら女子が混ざってる中で歌うの初めてなんですよ!」
不安のせいかいつになく声が出ているけれど、口にしているのは声を出したくない悩みだった。
「あんまり歌う曲は気にしなくていいと思うよ。知らない曲でもなんとなくで盛り上がれるだろうし」
「そう言われても……その盛り上がるような曲を知らないんです」
「三浦くん、普段はあんまり音楽聞かない感じ?」
「聞かないことはないですけど……どっちかというとゲームBGMとか」
「なるほど。でも、小さい頃に見てたアニメとか、学校で習った曲とかは歌えるでしょ?」
「まぁ、たぶん……」
「だったら、それを歌えばいいよ。三浦くんとは2歳差だけど特撮の曲とか、僕や三浦くんも共通して見てる作品はあるだろうし、学校で習った曲ならみんなで歌える」
「そ、そういうもんですか……」
「うん。本当に無理そうなら僕らを巻き込んでいいから」
「わ、わかりました……」
三浦くんは少し不安そうだったけど、周りの盛り上がりを気にするなら今言ったような選曲で何とかなると思う。
それに日葵さんなら本当に知らない曲でも腐すようなことは言わないはずだ。
せっかく来たんだから三浦くんも楽しめるような会に……
「りょ、良助くん」
「うん? どうしたの、路ちゃん?」
「わ、わたし……こんなに大人数の前で歌うのは初めてなのだけれど、何を歌ったらいいと思う」
「あー……」
「ご、ごめんなさい。カラオケに行くのはわかっていたのに……」
まさか同じような質問をこの短時間で2回も受けるとは思わなかった。
その後、それぞれ持ち歌やら流行りの歌やらを披露していたけど、三浦くんと路ちゃんも楽しそうに参加できていた。
緊張しているので曲数はそれほど歌えていなかったけど、実際に歌ったら盛り下がるようなことは一回もなかった。
一方、他の部員は思ったよりも歌が上手い人ばかりで、特に印象的だったのは……
「ヴォォォォイ!」
「……姫宮さん、あんな声出るんだ」
「驚きました? 青蘭のかくし芸なんですよ~」
姫宮さんのデスメタルを歌った時だった。
「力強い姫宮さんも素敵だ……」
「良助先輩。私の美声に聞き惚れましたか」
「う、うん。凄かった」
そう言うと姫宮さんとなぜか日葵さんも満足そうな表情になったので、もしかしたらこれを披露したかったがためのカラオケ会だったのかもしれない。
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