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3年生夏休み
8月9日(水)曇り コンビニ飯とのお別れ
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夏休み19日目のハグの日。
本日は塾の集中講義前半の最終日で、来週の金曜から後半が始まるまでは休息の時間となる。
それに伴って半月以上お世話になったコンビニのお昼とも暫くはお別れになるから……今日のお昼は少しだけ悩んでしまった。
相変わらずカレーフェスタは継続しているけど、前半戦の終わりだからといってカレーを持っていくのはやはり許されない。
となると、別のコンビニの増量キャンペーンに乗っかってみるのもありか……と思ったけど、食べ過ぎると午後から勉強に影響が出る可能性がある。
どうせ来週からまた再開するんだし、いつも通りでもいいような気もするけど、そのいつも通りも結構選択肢はバラバラなので、迷うことに変わりはない。
余裕を持って出ているとはいえ、あまり時間をかけるわけにはいかないから……
「何を食べるか迷っておられますか?」
すると、そんな僕に少し年上の女性コンビニ店員が急に話しかけてくる。
利用する回数はこのコンビニが一番多かったから、僕も名前までは把握してないけど、顔はよく見ていた。
「えっ、あっ……はい」
「でしたら、こちらの商品はいかかでしょうか。本日発売の新商品になっています」
そう言って店員さんが手で示したのはニンニク入りのオイルパスタだった。
新発売というわりには何度も見たことがある気がするけど、恐らく改良されて新発売になったのだろう。
ただ、ニンニク系を人が集まる場所で食べるのは……
「いかかでしょうか?」
「……じゃあ、これにします」
「ありがとうございます!」
店員さんの純粋な親切心……かどうかはわからないけど、こういう場面で何か勧められたら断れるタイプではなかった。
まぁ、ニンニクとはいってもそこまでキツイ臭いにはならない、と信じるしかない。
「いっぱい食べて元気にがんばってくださいね」
「は、はい。あの……ありがとうございます」
会計の時に僕のことを覚えているのかと聞いてみたかったけど、そんな暇はなさそうなので僕はそのままコンビニを後にした。
「……というわけで今日のお昼はこれになりました」
「そうなんだ。でも、わたしは別にニンニク食べても気にしないよ?」
「そ、そうなの?」
「うん。むしろ毎回そんなに気にしてたんだって思っちゃった」
路ちゃんはそう言いながらクスリと笑った。
そんなわけで半月くらい僕が考えていたことは、他人からしたらどうでもいいことだったらしい。
いや、今日の本題はそっちじゃなくて素敵な店員さんの応援を受けた話をしたかったんだけど……あれも営業の一部だった可能性もある。
本日は塾の集中講義前半の最終日で、来週の金曜から後半が始まるまでは休息の時間となる。
それに伴って半月以上お世話になったコンビニのお昼とも暫くはお別れになるから……今日のお昼は少しだけ悩んでしまった。
相変わらずカレーフェスタは継続しているけど、前半戦の終わりだからといってカレーを持っていくのはやはり許されない。
となると、別のコンビニの増量キャンペーンに乗っかってみるのもありか……と思ったけど、食べ過ぎると午後から勉強に影響が出る可能性がある。
どうせ来週からまた再開するんだし、いつも通りでもいいような気もするけど、そのいつも通りも結構選択肢はバラバラなので、迷うことに変わりはない。
余裕を持って出ているとはいえ、あまり時間をかけるわけにはいかないから……
「何を食べるか迷っておられますか?」
すると、そんな僕に少し年上の女性コンビニ店員が急に話しかけてくる。
利用する回数はこのコンビニが一番多かったから、僕も名前までは把握してないけど、顔はよく見ていた。
「えっ、あっ……はい」
「でしたら、こちらの商品はいかかでしょうか。本日発売の新商品になっています」
そう言って店員さんが手で示したのはニンニク入りのオイルパスタだった。
新発売というわりには何度も見たことがある気がするけど、恐らく改良されて新発売になったのだろう。
ただ、ニンニク系を人が集まる場所で食べるのは……
「いかかでしょうか?」
「……じゃあ、これにします」
「ありがとうございます!」
店員さんの純粋な親切心……かどうかはわからないけど、こういう場面で何か勧められたら断れるタイプではなかった。
まぁ、ニンニクとはいってもそこまでキツイ臭いにはならない、と信じるしかない。
「いっぱい食べて元気にがんばってくださいね」
「は、はい。あの……ありがとうございます」
会計の時に僕のことを覚えているのかと聞いてみたかったけど、そんな暇はなさそうなので僕はそのままコンビニを後にした。
「……というわけで今日のお昼はこれになりました」
「そうなんだ。でも、わたしは別にニンニク食べても気にしないよ?」
「そ、そうなの?」
「うん。むしろ毎回そんなに気にしてたんだって思っちゃった」
路ちゃんはそう言いながらクスリと笑った。
そんなわけで半月くらい僕が考えていたことは、他人からしたらどうでもいいことだったらしい。
いや、今日の本題はそっちじゃなくて素敵な店員さんの応援を受けた話をしたかったんだけど……あれも営業の一部だった可能性もある。
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