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3年生1学期

7月21日(金)晴れ 変わらぬ友人との日常

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 1学期最後の自然公園の日。
 終業式は滞りなく行われて、教室で担当からの話を聞いた後、いつメンの4人で昼食を食べることになった。

「そうかー りょうちゃんとクラさんはがっつり勉強する感じかー ぽんちゃんは通信講座的なやつやってるんだっけ?」

「ああ。あとは模試とかも受ける予定」

「ふーん。まぁ、そんなことより夏休み中どこへ遊びに行くかだけど」

「いやいや、そこは自分も何かやるって流れじゃないのか!?」

 自然な流れで話が変わりそうだったので、僕は思わずツッコんでしまう。
 すると、松永は網にかかったと言わんばかりの表情になる。

「俺は我流で勉強するタイプだから。それに四六時中勉強してるわけじゃないでしょ?」

「別に遊びに行くのは悪いとは言ってないよ。そのあたりは伊月さんに任せるか……」

「そうそう。せっかく3年最後の夏だし、どこか遠くへ行きたいけど……」

「そ、そういうのは春休みまで取っておいていいんじゃないかな……」

「おお、クラさんもすっかり受験勉強モードか。でも、春休み前までにみんな上手いこと進路決まってないと卒業旅行しづらくない」

「た、確かに」

「なんで上手くいってない前提なんだ。それにそうなるくらいなら余計に夏休みは勉強しておくべきだろう」

「まさかぽんちゃんまで受験勉強モードなのか……」

「モードも何も意識してない方が駄目だ」

 さすがに3人から言われたせいか松永のテンションは少し下がってしまう。

「松永。さっきも言ったけど、別に遊びに行くのが悪いわけじゃ……」

「慰めなんていらないよ。俺が何も考えてないのは事実だし」

「それは少し考えて欲しいけど……実際、遊びの予定を立ててくれるのはいつも助かってるから。僕はどうしても自分のことで手一杯になるし」

「ぼ、ボクも誘われなかったら引きこもってばかりだから……」

「そ、そう? ぽんちゃんもそう思ってる?」

「……まぁ、結局男友達と遊ぶ時は松永がいないと重い腰を上げないのは確かだ」

「……そうかそうか~ みんな俺のこと頼りにしてるんだなー!」

 何とか松永のテンションが持ち直したので僕たちは安心する。
 実際に助かっているのは本当のことだけど、他3人が真面目寄りだから今年は少し意識を高くし過ぎていた。
 
「それじゃあ、遠出の範囲内で遊びに行くってことで……いつも通りカラオケとかゲーセンになるか……全然夏休み感ないけど」

「そ、それでも十分だと思う。なんやかんやで最近はあんまり行けてないし……」

「そうだっけ? まぁ、土日は基本部活か茉奈ちゃんと会うかで……あっ」

「ま、松永!」

「お前……!」

 松永はまったくの無意識だったのだろうけど、気付いた時には既に遅かった。

「……そうだよねー……みんな彼女いて遊びに行ってるんだよねー……カラオケ久しく言ってないのはボクだけかぁ……」

「ち、違うぞ、倉さん。オレはあんまりカラオケには行って――」

「には!? 他ならいっぱい行ってるってこと!?」

「そ、そうじゃなくて……なんでオレだけヘイトもらってる感じになってる!? 2人とも何とか言ってくれ!」

「何とかと言われても……」

「産賀くんも最近は時間取れないってそういう……」

 その後、今度は大倉くんのテンションを元に戻すために暫く時間を使った。

 結局、夏休みの話は全く進まなかったけど……仮に遊びに行くとするなら今日みたいなくだらない話をするためだけに集まるのもいいかもしれないと思った。
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