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3年生1学期
7月18日(火)晴れのち曇り 後輩との日常・三浦将基の場合その6
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夏休み前最後の週が始まった防犯の日。
金曜に終業式が行われるため、夏休み前の文芸部の活動も今日がひとまず区切りとなる。
「――ってなわけで、夏休み明けからは我々にとって一番のイベントの文化祭があるので、この休みを使って作品を考えといてください。あっ、あと短歌についても例年通りやる予定で!」
文化祭が初めての1年生は日葵部長の説明を真剣に聞いていた。
去年は副部長をしていたから説明の方に気を取られていたけど、現2年生もこんな感じだったのだろうか。
「それと、文芸部で部活以外でも何回か集まりやろうと思いまーす!」
「あの……」
「うん? どうしたの三浦くん?」
「その集まりとやらは強制参加ですか?」
「もちろん、自由参加だけど……なるべくみんなの予定は合わせるようにするから!」
日葵さんは部長として見ると100点の回答をするけど、三浦くんが欲しかったのはその言葉ではないと思う。
合わせられると言われてしまったら、理由を付けて行かない選択ができなくなってしまうから。
「3年生のお二人は大変な時期だとは思いますが、みんなそれぞれ楽しい夏休みにしましょー!」
最後に日葵さんの気遣いを受けながら今日の活動は終了した。
すると、先ほど逃げ道を塞がれた三浦くんが僕と桐山くんのところへやって来る。
「あの……産賀さんと桐山さんは集まりに参加予定なんですか?」
「僕は予定があれば行くつもりだけど……」
「俺も基本的には参加予定。でも、何やるか全く知らないんだよな……」
「副部長なのに知らないんですか?」
「これは文芸部の業務外で、日葵が独断で進めてるから」
「な、なるほど……」
「三浦くんの都合が悪そうだったら、全然休んでもいいと思うよ。僕も塾の予定とか入ったらそっち優先するだろうし」
日葵さんには少し悪いと思いつつも、僕は三浦くんの逃げ道を少し確保できるように仕向ける。
今でこそ僕もそういうイベントごとに参加する方になったけど、たとえ暇であってもなんとなく行きたくない気持ちはわからなくはない。
「いやまぁ、お二人が行くなら大丈夫だとは思いますけど……基本はボクに男らしい役割を頼られても困るので」
「あー体力的な自信ってこと? だったら、俺に任せて……って、そんな役割任されることあるのか?」
「ほら、バーベキューとかキャンプとか」
「あっ、そうか。そういうパターンもあるか」
「あと、海やプールに行くことになったら水着は恥ずかしいし……」
「別に気にしないって。俺も肉体的な自信はそんなにないから」
「夏祭りも人混みはあんまり得意では……」
「……意外と想像してるじゃん。桐山」
「ち、違います。全部嫌な状況を想定した上での話で……」
「でも、案外行ってみたら楽しかったりするから。海……水着……姫宮さんの水着……!」
「いや、水着とか……そんなに興味ないです」
「なんか間があったけどなぁ?」
「き、気のせいです」
三浦くんはそう否定していたけど……三浦くんが言うように行ってみたら案外楽しいことはあるものだ。
でも、僕はその集まりを楽しむ前に勉強と作品制作を頑張っていかなければ。
金曜に終業式が行われるため、夏休み前の文芸部の活動も今日がひとまず区切りとなる。
「――ってなわけで、夏休み明けからは我々にとって一番のイベントの文化祭があるので、この休みを使って作品を考えといてください。あっ、あと短歌についても例年通りやる予定で!」
文化祭が初めての1年生は日葵部長の説明を真剣に聞いていた。
去年は副部長をしていたから説明の方に気を取られていたけど、現2年生もこんな感じだったのだろうか。
「それと、文芸部で部活以外でも何回か集まりやろうと思いまーす!」
「あの……」
「うん? どうしたの三浦くん?」
「その集まりとやらは強制参加ですか?」
「もちろん、自由参加だけど……なるべくみんなの予定は合わせるようにするから!」
日葵さんは部長として見ると100点の回答をするけど、三浦くんが欲しかったのはその言葉ではないと思う。
合わせられると言われてしまったら、理由を付けて行かない選択ができなくなってしまうから。
「3年生のお二人は大変な時期だとは思いますが、みんなそれぞれ楽しい夏休みにしましょー!」
最後に日葵さんの気遣いを受けながら今日の活動は終了した。
すると、先ほど逃げ道を塞がれた三浦くんが僕と桐山くんのところへやって来る。
「あの……産賀さんと桐山さんは集まりに参加予定なんですか?」
「僕は予定があれば行くつもりだけど……」
「俺も基本的には参加予定。でも、何やるか全く知らないんだよな……」
「副部長なのに知らないんですか?」
「これは文芸部の業務外で、日葵が独断で進めてるから」
「な、なるほど……」
「三浦くんの都合が悪そうだったら、全然休んでもいいと思うよ。僕も塾の予定とか入ったらそっち優先するだろうし」
日葵さんには少し悪いと思いつつも、僕は三浦くんの逃げ道を少し確保できるように仕向ける。
今でこそ僕もそういうイベントごとに参加する方になったけど、たとえ暇であってもなんとなく行きたくない気持ちはわからなくはない。
「いやまぁ、お二人が行くなら大丈夫だとは思いますけど……基本はボクに男らしい役割を頼られても困るので」
「あー体力的な自信ってこと? だったら、俺に任せて……って、そんな役割任されることあるのか?」
「ほら、バーベキューとかキャンプとか」
「あっ、そうか。そういうパターンもあるか」
「あと、海やプールに行くことになったら水着は恥ずかしいし……」
「別に気にしないって。俺も肉体的な自信はそんなにないから」
「夏祭りも人混みはあんまり得意では……」
「……意外と想像してるじゃん。桐山」
「ち、違います。全部嫌な状況を想定した上での話で……」
「でも、案外行ってみたら楽しかったりするから。海……水着……姫宮さんの水着……!」
「いや、水着とか……そんなに興味ないです」
「なんか間があったけどなぁ?」
「き、気のせいです」
三浦くんはそう否定していたけど……三浦くんが言うように行ってみたら案外楽しいことはあるものだ。
でも、僕はその集まりを楽しむ前に勉強と作品制作を頑張っていかなければ。
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