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3年生1学期

7月12日(水)曇り時々雨 塾での日常その8

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 不安定な天気だった洋食器の日。
 今日の塾では夏休み中の集中講義の詳細が伝えられる。
さすがに世間一般のお盆の期間は講師の方も休まないといけないけど、夏休み中に入る7月後半と終わり際の8月後半に講義が入っていた。
 もちろん、全期間参加する必要はないけど、基本的には全参加する人が多いと今日の講師は伝える。

「ねぇ、3人は夏休み中にどこか遊びに行く予定あるの?」

 しかし、その日の休み時間に重森さんから振られた話は真逆の内容だった。

「だって、勉強する話はさっきずっと聞いてたし。テストの結果出た後のお出かけは除いて」

「アタシは今のところ予定なし」

「えっ? 彼氏いるのに?」

「……それはお出かけとは別項目だから」

 重森さんの質問に大山さんは少し目を逸らして答える。
 別に重森さんは探るつもりはないだろうけど、彼氏がいると聞かされているせいでそういうところは引っかかってしまうようだ。
 恐らく大山さんはこの夏休み中も他の友人に会う度にこんな状況になってしまうのだろう。

「私はどこか夏祭り行きたいなー 高校最後の夏ってなんかエモい感じするし」

「美里、去年も言ってなかった?」

「いや、去年は最後じゃなかったし。みーちゃんは夏祭り行くの?」

「えっと……」

 そう言いながら路ちゃんは僕の反応を窺う。
 この前の通話でも夏休み中に出かける話は出たけど、具体的にどこへ行くまでは言っていなかった。
 高校に入ってからの夏祭りは何かと印象的なことが多いけど……そういえば路ちゃんと一緒に行ったことは一度もない。

「こら、うぶクン。こういう時はビシッと言わなきゃダメだぞ」

「そ、その……良かったら行きたい、と僕は思ってる」

「う、うん。わたしも……」

「しまった……産賀くんに塩を送る結果になったか」

「な、なにその言い方」

「だって、なんやかんやでこの中で独り身なのは私だけだし。それが全てじゃないとは思うけど、最後の夏にちょっと寂しい気持ちになる」

「別に夏祭りは一緒に行くから。あっ、彼氏とは別にね」

「亜里沙~」

「わ、わたしも美里ちゃんとも一緒に行きたいよ。女子だけのお祭りもいいと思う」

「みーちゃん~」

「…………」

「あれ? 産賀くんは何も言ってくれないの?」

「この流れで僕が混ざるのは違うと思って」

「空気読めるねー みんなズッともだよ~」

 重森さんはそのまま路ちゃんや大山さんと肩を組んで友情を確かめ合った。

 よくわからない流れになったけど……ひとまず僕はこの夏もどこかしらの夏休みに向かうことになった。
 別に悪い思い出ばかりじゃないけど、今年はこの3年間で一番いい思い出にできればいいと思った。
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