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3年生1学期
6月30日(金)雨 岸本路子と産賀良助その7
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気付けば6月が終わるアインシュタイン記念日。
今年も半分が終わると思うと、1年は早いものだといつも通りの感想を抱いてしまう。
でも、受験生のこの年に限って言えば、体感時間が長い方が色々心構え出来そうだと思った。
そんな今日は路ちゃんが我が家に来て勉強することになっていて、テストが終わった後にコンビニで昼食を買ってから僕の家に向かう。
ただ、2人きりというわけではなく……
「おかえり、路おねえちゃん!」
「た、ただいま!」
当然ながら同じ学校で同じテスト期間の明莉も家にいた。
いや、2人きりになりたかったわけじゃないけど、なんやかんや路ちゃんと明莉が対面するのが久しぶりだったので、昨日伝えた時点で明莉のテンションはやや上がっていた。
「とりあえずまずはお茶でも飲んでね? ほら、りょうちゃん」
「僕が淹れるのか……」
「同じ学校にいても全然会わないから、すごく久しぶりな感じ! もっとうちに遊びに来てもいいんですよ?」
「あ、ありがとう。わたしも明莉ちゃんに久々に会えて嬉しい」
「えへへー 今日は路おねえちゃんにいっぱい質問しちゃおうかなー」
それが勉強の話とは限らないように聞こえたのは僕だけだろうか。
ただ、言われている方の路ちゃんは相変わらずまんざらでもない感じなので困る。
このまま明莉が雑談モードに突入したら勉強が始まらないかもしれない。
「それで路おねえちゃん、最近はりょうちゃんとどうなんです?」
「おい。そのためにお茶淹れたわけじゃないぞ」
「いいじゃん。学校から帰ったばかりなんだし、本格的に勉強するのはお昼食べた後でも」
「いやしかし……」
「わたしは全然いいよ?」
「そ、そう……」
路ちゃんがにやつきながらそう言うので、僕はそれ以上止められなかった。
おねえちゃんとして接してくるのがそんなに嬉しいものなんだろうかと考えるけど、元々妹がいる僕がその気持ちを理解するのは難しい。
「最近の良助くんは……ちょっと甘えてくれることが増えたような気がする」
「へぇ~~~」
「せ、席外してていいか?」
「いいじゃん別に。今のは褒めてる話なんだし」
「うんうん」
そう言われても妹の前で僕が路ちゃんの前でしか見せていないものを報告されるのはかなりの羞恥プレイだ。
「ただ、これはわたしも悪いところがあるのだけれど……ちょっと怒ってしまうことも増えてて」
「えっ。りょうちゃんサイテー」
「ち、違うの。良助くんだけが悪いわけじゃなくて、わたしの心が狭いのもあるというか……」
「でも、原因を作ってるのはりょうちゃんなんだから、りょうちゃんが悪いよ」
「す、すみません……」
「そ、そんな謝らなくても……」
路ちゃんは申し訳なさそうに言うけど、そんな素直に相談したら明莉は路ちゃんの味方に付くに決まっている。
いや、僕が悪いのは重々承知しているけど。
「だから……明莉ちゃんに聞きたかったの。明莉ちゃんは怒りっぽくなったりしないかって」
「うーん……明莉はちゃんと調教してるから大丈夫かな」
「ちょ、調教!?」
「あっ、間違えた。教育? とにかくあかりが嫌だと思うことはやらせないようにしてるの」
「す、すごい……」
「……あっ。相応しい言葉を思い出した。私色に染め上げてる、的な」
「おお……」
明莉と桜庭くんの普段の関係性について詳しく知らないけど、路ちゃんにとんでもないことを吹き込んでいる気がする。
「明莉先生、もっと色々教えてください!」
「おまかせあれ」
その後、お昼を食べる区切りまでは謎の関係性で話が進んでいた。
全部聞いていると、何とも言えない気持ちになりそうだったので、僕は半分くらい意識を飛ばしていた。
まぁ……2人が楽しそうだったからよしとするしかない。
今年も半分が終わると思うと、1年は早いものだといつも通りの感想を抱いてしまう。
でも、受験生のこの年に限って言えば、体感時間が長い方が色々心構え出来そうだと思った。
そんな今日は路ちゃんが我が家に来て勉強することになっていて、テストが終わった後にコンビニで昼食を買ってから僕の家に向かう。
ただ、2人きりというわけではなく……
「おかえり、路おねえちゃん!」
「た、ただいま!」
当然ながら同じ学校で同じテスト期間の明莉も家にいた。
いや、2人きりになりたかったわけじゃないけど、なんやかんや路ちゃんと明莉が対面するのが久しぶりだったので、昨日伝えた時点で明莉のテンションはやや上がっていた。
「とりあえずまずはお茶でも飲んでね? ほら、りょうちゃん」
「僕が淹れるのか……」
「同じ学校にいても全然会わないから、すごく久しぶりな感じ! もっとうちに遊びに来てもいいんですよ?」
「あ、ありがとう。わたしも明莉ちゃんに久々に会えて嬉しい」
「えへへー 今日は路おねえちゃんにいっぱい質問しちゃおうかなー」
それが勉強の話とは限らないように聞こえたのは僕だけだろうか。
ただ、言われている方の路ちゃんは相変わらずまんざらでもない感じなので困る。
このまま明莉が雑談モードに突入したら勉強が始まらないかもしれない。
「それで路おねえちゃん、最近はりょうちゃんとどうなんです?」
「おい。そのためにお茶淹れたわけじゃないぞ」
「いいじゃん。学校から帰ったばかりなんだし、本格的に勉強するのはお昼食べた後でも」
「いやしかし……」
「わたしは全然いいよ?」
「そ、そう……」
路ちゃんがにやつきながらそう言うので、僕はそれ以上止められなかった。
おねえちゃんとして接してくるのがそんなに嬉しいものなんだろうかと考えるけど、元々妹がいる僕がその気持ちを理解するのは難しい。
「最近の良助くんは……ちょっと甘えてくれることが増えたような気がする」
「へぇ~~~」
「せ、席外してていいか?」
「いいじゃん別に。今のは褒めてる話なんだし」
「うんうん」
そう言われても妹の前で僕が路ちゃんの前でしか見せていないものを報告されるのはかなりの羞恥プレイだ。
「ただ、これはわたしも悪いところがあるのだけれど……ちょっと怒ってしまうことも増えてて」
「えっ。りょうちゃんサイテー」
「ち、違うの。良助くんだけが悪いわけじゃなくて、わたしの心が狭いのもあるというか……」
「でも、原因を作ってるのはりょうちゃんなんだから、りょうちゃんが悪いよ」
「す、すみません……」
「そ、そんな謝らなくても……」
路ちゃんは申し訳なさそうに言うけど、そんな素直に相談したら明莉は路ちゃんの味方に付くに決まっている。
いや、僕が悪いのは重々承知しているけど。
「だから……明莉ちゃんに聞きたかったの。明莉ちゃんは怒りっぽくなったりしないかって」
「うーん……明莉はちゃんと調教してるから大丈夫かな」
「ちょ、調教!?」
「あっ、間違えた。教育? とにかくあかりが嫌だと思うことはやらせないようにしてるの」
「す、すごい……」
「……あっ。相応しい言葉を思い出した。私色に染め上げてる、的な」
「おお……」
明莉と桜庭くんの普段の関係性について詳しく知らないけど、路ちゃんにとんでもないことを吹き込んでいる気がする。
「明莉先生、もっと色々教えてください!」
「おまかせあれ」
その後、お昼を食べる区切りまでは謎の関係性で話が進んでいた。
全部聞いていると、何とも言えない気持ちになりそうだったので、僕は半分くらい意識を飛ばしていた。
まぁ……2人が楽しそうだったからよしとするしかない。
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