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3年生1学期
6月24日(土)曇り フランクなオープンキャンパス
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晴れ間にはならなかったけど、出かけやすい空だったドレミの日。
本日は大倉くんと一緒に清水先輩が通う大学のオープンキャンパスへ行く日だ。
うちの地元では一番敷地面積が広い大学だけど、各施設の移動に関しては徒歩でも十分間に合う距離であるらしい。
ただ、実際に来てみると高校よりもかなり広く、施設は圧倒的に多い。
「え、えー。本日は私たちの大学のオープンキャンパスに来てくれてありがとうございます。これから主要な施設を回っていきますので、ついて来てください」
午前中は施設紹介から始まり、高校生5・6人に対して在学生2人が説明しながら案内してくれた。
僕も大倉くんも少し緊張していたけど、同じくらい在学生も緊張しているように見えたので、ちょっとだけ安心する。
「……や、やっぱり私服お洒落な人多いね」
「言われてみれば……そうかも」
「ぼ、ボク、学生服の方が服選ばないで済むから助かるんだけどなぁ」
「わかるわかる」
大倉くんと同じ班になれたので、時折感想を共有しながら大学内を見ていく。
私服の学生というのも高校との違いだし、どことなく敷地内全体がお洒落な印象を受ける。
大学内は一般の人が入ることも多いらしいので、来客する人を意識する雰囲気になっているんだろうか。
「こ、ここがE館の講義室です。学部に関係なく受けられる講義を行うことが多いので、最大で200人まで入れます」
「端っこの方で寝てたら全くバレないこともあって……」
「ちょ、ちょっとぉ! そういう話はしちゃダメでしょ!?」
「だって、みんな緊張してるから。少しくらいユーモアは入れないとね。あっ。そこに学生をかざすと出席が取れるんだけど、講師によっては使わせないこともあって」
「だから! そういう話がダメなんだって!」
在学生の真面目そうな女子と明るめの男子のやり取りをみると……案外高校生と変わらない気もする。
いや、これは男子の方が言ってくれたように緊張をほぐすためなのかもしれない。
実際、マニュアルに沿った案内も参考にはなるけど、それ以上に普段の雰囲気を感じられるのは貴重な体験だ。
「それじゃ、次はB館2階の教室でゼミの様子を一緒に受けながら見てもらいます。それが終わったら……お待ちかねの学食だから、みんな期待してなー」
「ゼミの方も大事だから!」
ゼミについては事前に見学したい学科を選択していて、大倉くんは僕の希望に合わせてくれた。
ゼミの生徒は土曜だから普通に休みだけど、オープンキャンパスのために来てくれたらしい。
「いやぁ、ゼミの講義でこんなに人いっぱいいるのは緊張しちゃうなぁ」
「先生ー いつも通りダジャレ交えてやってもいいですよー」
「いやいや、いつもそんなには言ってへんから。実際皆さんが入学した際、本格的にゼミを選ぶのは3年になりますけど、講師によってはゼミの人数の定員が少ない場合があります。まぁ、いっぺんに見るのが難しい分野もあるからね」
ただ、学科が同じであれば近い分野のゼミで希望する研究などができる場合もある、とその先生は付け加える。
随分先の話にはなってしまうけど、大学の最終的な目標は希望する分野に関する卒業露文を作ることだ。
そんな一番重要な部分を見てくれる先生や一緒に過ごしていく学友はゼミによって決まるので、慎重に選ばなければならない。
「なんて、言いつつも結局はイケメンな先生や好きな子がおるゼミに入ってまう子もいるんやけどなー まぁ、不純な動機でも何らかのモチベーションになることはあるから、一概には否定できんけどね」
「……う、産賀くん。なんか思っていた以上にラフな感じだね」
僕と大倉くんがいる班がたまたまそうだったのか、この大学全体の雰囲気なのかわかわないけど、先生も生徒もぶっちゃけたことを言う。
まぁ、変に隠されるよりはいいと思うけど……清水先輩はこの雰囲気の中で普段どう過ごしているのだろう。
それから12時前には学食がある食事スペースに案内される。
今日は土曜なのでその場所しか開いていないけど、もう1カ所食事ができるスペースがあったり、学内のコンビニやパン屋さんなんかもあったりするらしい。
スペース的には広く見えるけど、昼時に全学生が来たらさすがに入りきれないから、分散させる目的もあるのだろう。
「迷った時は、からあげ定食は常にあるからおすすめ。お金がピンチだったら……素うどんに天かすをかけよう!」
「それは……間違いないから否定できないわ」
どうやら本田くんの言っていたことは本当だったようだ。
ただ、食券機を見るとかなりメニューは多くて、料金を気にしなければ1ヶ月利用しても飽き無さそうだった。
その後、在学生の話を聞ける質問時間が設けられて、オープンキャンパスは終了した。
とりあえず参加する目的だったので、質問は用意できていなかったけど、色々な話が聞けたのは良かったと思う。
本命の大学が定まって時間があれば、また参加してみたい。
本日は大倉くんと一緒に清水先輩が通う大学のオープンキャンパスへ行く日だ。
うちの地元では一番敷地面積が広い大学だけど、各施設の移動に関しては徒歩でも十分間に合う距離であるらしい。
ただ、実際に来てみると高校よりもかなり広く、施設は圧倒的に多い。
「え、えー。本日は私たちの大学のオープンキャンパスに来てくれてありがとうございます。これから主要な施設を回っていきますので、ついて来てください」
午前中は施設紹介から始まり、高校生5・6人に対して在学生2人が説明しながら案内してくれた。
僕も大倉くんも少し緊張していたけど、同じくらい在学生も緊張しているように見えたので、ちょっとだけ安心する。
「……や、やっぱり私服お洒落な人多いね」
「言われてみれば……そうかも」
「ぼ、ボク、学生服の方が服選ばないで済むから助かるんだけどなぁ」
「わかるわかる」
大倉くんと同じ班になれたので、時折感想を共有しながら大学内を見ていく。
私服の学生というのも高校との違いだし、どことなく敷地内全体がお洒落な印象を受ける。
大学内は一般の人が入ることも多いらしいので、来客する人を意識する雰囲気になっているんだろうか。
「こ、ここがE館の講義室です。学部に関係なく受けられる講義を行うことが多いので、最大で200人まで入れます」
「端っこの方で寝てたら全くバレないこともあって……」
「ちょ、ちょっとぉ! そういう話はしちゃダメでしょ!?」
「だって、みんな緊張してるから。少しくらいユーモアは入れないとね。あっ。そこに学生をかざすと出席が取れるんだけど、講師によっては使わせないこともあって」
「だから! そういう話がダメなんだって!」
在学生の真面目そうな女子と明るめの男子のやり取りをみると……案外高校生と変わらない気もする。
いや、これは男子の方が言ってくれたように緊張をほぐすためなのかもしれない。
実際、マニュアルに沿った案内も参考にはなるけど、それ以上に普段の雰囲気を感じられるのは貴重な体験だ。
「それじゃ、次はB館2階の教室でゼミの様子を一緒に受けながら見てもらいます。それが終わったら……お待ちかねの学食だから、みんな期待してなー」
「ゼミの方も大事だから!」
ゼミについては事前に見学したい学科を選択していて、大倉くんは僕の希望に合わせてくれた。
ゼミの生徒は土曜だから普通に休みだけど、オープンキャンパスのために来てくれたらしい。
「いやぁ、ゼミの講義でこんなに人いっぱいいるのは緊張しちゃうなぁ」
「先生ー いつも通りダジャレ交えてやってもいいですよー」
「いやいや、いつもそんなには言ってへんから。実際皆さんが入学した際、本格的にゼミを選ぶのは3年になりますけど、講師によってはゼミの人数の定員が少ない場合があります。まぁ、いっぺんに見るのが難しい分野もあるからね」
ただ、学科が同じであれば近い分野のゼミで希望する研究などができる場合もある、とその先生は付け加える。
随分先の話にはなってしまうけど、大学の最終的な目標は希望する分野に関する卒業露文を作ることだ。
そんな一番重要な部分を見てくれる先生や一緒に過ごしていく学友はゼミによって決まるので、慎重に選ばなければならない。
「なんて、言いつつも結局はイケメンな先生や好きな子がおるゼミに入ってまう子もいるんやけどなー まぁ、不純な動機でも何らかのモチベーションになることはあるから、一概には否定できんけどね」
「……う、産賀くん。なんか思っていた以上にラフな感じだね」
僕と大倉くんがいる班がたまたまそうだったのか、この大学全体の雰囲気なのかわかわないけど、先生も生徒もぶっちゃけたことを言う。
まぁ、変に隠されるよりはいいと思うけど……清水先輩はこの雰囲気の中で普段どう過ごしているのだろう。
それから12時前には学食がある食事スペースに案内される。
今日は土曜なのでその場所しか開いていないけど、もう1カ所食事ができるスペースがあったり、学内のコンビニやパン屋さんなんかもあったりするらしい。
スペース的には広く見えるけど、昼時に全学生が来たらさすがに入りきれないから、分散させる目的もあるのだろう。
「迷った時は、からあげ定食は常にあるからおすすめ。お金がピンチだったら……素うどんに天かすをかけよう!」
「それは……間違いないから否定できないわ」
どうやら本田くんの言っていたことは本当だったようだ。
ただ、食券機を見るとかなりメニューは多くて、料金を気にしなければ1ヶ月利用しても飽き無さそうだった。
その後、在学生の話を聞ける質問時間が設けられて、オープンキャンパスは終了した。
とりあえず参加する目的だったので、質問は用意できていなかったけど、色々な話が聞けたのは良かったと思う。
本命の大学が定まって時間があれば、また参加してみたい。
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