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3年生1学期
6月23日(金)曇り 後輩との日常・石渡沙綾の場合その5
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温度の高低が激しいオリンピック・デー。
本日も文芸部の部室が自習室として開かれる。
火曜は色々衝撃があったからあまり勉強が捗らなかったけど、一応は勉強するつもりの人しか集まっていないので、勉強する環境としては非常に良い。
「良助くん、ちょっといい?」
「うん? どうしたの?」
「石渡さんがわからないところがあるのだけれど……わたしじゃ上手く説明できなくて」
「な、なるほど……」
路ちゃんにそう言われたら協力したいところだけど、目線の先に見える石渡さんはかなり不満そうな表情をしていた。
路ちゃんを介さなければ僕を頼ることなんてなかった、とでも言いたげな感じだ。
「お願い……できる?」
「も、もちろん。どの教科?」
「……数Aです。ここの問題がわからなくて」
「あー……ちょっと待ってね」
意外にも素直に話してくれたので、内心ほっとしつつ、僕は石渡さんに説明を始める。
もしかしなくても今までで一番石渡さんと長く会話したかもしれない。
「……理解できました。ありがとうございます」
「いやいや。それじゃあ、僕はこれで……」
「わざわざ離れなくてもいいんじゃない? またわからないところがあるかもしれないし」
「えっ……」
「ね?」
これは……恐らく路ちゃんなりに石渡さんと僕の距離を詰めようとしてくれているのか。
確かに今のこの感じなら石渡さんと馴染めそうな……いやしかし、テスト勉強中なので喋るわけにもいかないし……
「……あたし、邪魔でしょうか?」
「そ、そんなことないよ。わ、わたしも質問したいところ出てくるだろうし……」
「ま、まぁ、そんな遠い距離じゃないし、僕はあっちで勉強しとくよ。また何かあったら呼んでくれたら」
「う、うん……わかった」
石渡さんの言葉に圧を感じてしまった僕は、逃げの一手を選んでしまった。
せっかく路ちゃんがチャンスを作ってくれたというのに……
「産賀センパイ。やっぱり部活内の恋愛は推奨する流れにした方が良くないですか? 石渡さんに納得してもらうためにも」
「いや、制度とかの問題じゃないから……」
ただ、今回の件で石渡さんとの距離を詰められない原因は、僕自身が壁を作っているところもあるのだとわかった。
元々コミュ力強者ではないけれど、ここに来てまたこの問題に悩まされるなんて……まるで成長していない。
本日も文芸部の部室が自習室として開かれる。
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「石渡さんがわからないところがあるのだけれど……わたしじゃ上手く説明できなくて」
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「あー……ちょっと待ってね」
意外にも素直に話してくれたので、内心ほっとしつつ、僕は石渡さんに説明を始める。
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「……理解できました。ありがとうございます」
「いやいや。それじゃあ、僕はこれで……」
「わざわざ離れなくてもいいんじゃない? またわからないところがあるかもしれないし」
「えっ……」
「ね?」
これは……恐らく路ちゃんなりに石渡さんと僕の距離を詰めようとしてくれているのか。
確かに今のこの感じなら石渡さんと馴染めそうな……いやしかし、テスト勉強中なので喋るわけにもいかないし……
「……あたし、邪魔でしょうか?」
「そ、そんなことないよ。わ、わたしも質問したいところ出てくるだろうし……」
「ま、まぁ、そんな遠い距離じゃないし、僕はあっちで勉強しとくよ。また何かあったら呼んでくれたら」
「う、うん……わかった」
石渡さんの言葉に圧を感じてしまった僕は、逃げの一手を選んでしまった。
せっかく路ちゃんがチャンスを作ってくれたというのに……
「産賀センパイ。やっぱり部活内の恋愛は推奨する流れにした方が良くないですか? 石渡さんに納得してもらうためにも」
「いや、制度とかの問題じゃないから……」
ただ、今回の件で石渡さんとの距離を詰められない原因は、僕自身が壁を作っているところもあるのだとわかった。
元々コミュ力強者ではないけれど、ここに来てまたこの問題に悩まされるなんて……まるで成長していない。
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