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3年生1学期
6月16日(金)晴れ 後輩との日常・石渡沙綾の場合その4
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カラっと晴れた和菓子の日。
また暫く花園さんのところの和菓子屋さんに行けていないので、折を見て行きたいところだ。
そんな今日は文芸部の部活を始める前に、路ちゃんから相談があると言われる。
「そろそろ……言ってもいいかなと思ってるの。わたしと……良助くんが付き合っている件」
「そっか……うん、僕は構わないよ」
「でも、全体にカミングアウトというわけにもいかないから……今日、石渡さんから話そうと思う」
「い、石渡さんから!?」
「だ、ダメかな……?」
路ちゃんはそう聞いてくるけど、決して駄目わけではない。
事実を知ってくれたら案外受け入れてくれる可能性もある。
ただ……これまでの傾向から考えると、良くない反応が返ってきそうな気がする。
「大丈夫。ちゃんとわたしも言うべきタイミングだと考えてのことだから」
路ちゃんがそこまで言うなら僕から止めることはできなかった。
実際に路ちゃんと石渡さんの間でどのような会話がかわされていたかわからないけど、僕は結果を待つしかない。
いや、桐山くんには僕から話すべきか。
実は彼女がいて、その相手はなんと……って、どんな風に話題を振ればいいんだ?
いきなり言い出したら自慢っぽくなってしまう。
路ちゃんはいったいどういう流れで言うつもり――
「ええっ!?」
雑談タイムに入って数分経った頃、石渡さんの驚きの声が響く。
「な、なんで……産賀さんなんですか?」
「良助くんは……わたしを助けてくれたから」
全部は聞こえないけど、石渡さんは何やら質問を続けている。
それから少し話が続いた後、石渡さんは僕の方に向かって来た。
「産賀さん……ごめんなさい」
「えっ? ど、どうしたの急に?」
「今でとても失礼なことを言っていたから……です。あたしとしてはその……産賀さんが路子さんを狙う悪い虫とばかり思っていて……」
「そんな風に見られてたんだ……」
「でも、何で隠してたんですか。堂々と言ってくれたら勘違いもしなかったのに」
「それはその……部活内であんまり話すことでもないと思って……」
「……すみません。別に責めるつもりはなかったんです。ただ……路子さんの前でも産賀さんのことを悪く言ってしまったのは悔やんでも悔やみきれません」
「あっ……」
その話を聞いて路ちゃんが話すべきタイミングだと言った理由がわかった。
僕が足踏みしているうちに、路ちゃんの方が不快な気持ちになっていたのは大きな失敗だ。
「だから……やっぱり産賀さんのことは少しダメな男として見させてもらいます」
「ま、マジで?」
「路子さんのことを不幸にするようなことがあったら、許しませんから!」
石渡さんの激しめの宣言に、奥の方にいる路ちゃんは苦笑いを浮かべているように見えた。
いったい路ちゃんが石渡さんにどんな影響を与えたのかわからないけど、引き続き僕に対しては厳しい目が向けられそうだ。
「……ってなわけで、実は僕と路ちゃんは付き合っていました」
「やっぱり!」
「そうだと思ってました」
「う、嘘……! 察してなかったのあたしだけ……?」
ちなみに流れで結香さんと桐山くんに話したら、こちらはすんなりと受け入れられた。
石渡さんに本当の意味で認められるように頑張らなければ。
また暫く花園さんのところの和菓子屋さんに行けていないので、折を見て行きたいところだ。
そんな今日は文芸部の部活を始める前に、路ちゃんから相談があると言われる。
「そろそろ……言ってもいいかなと思ってるの。わたしと……良助くんが付き合っている件」
「そっか……うん、僕は構わないよ」
「でも、全体にカミングアウトというわけにもいかないから……今日、石渡さんから話そうと思う」
「い、石渡さんから!?」
「だ、ダメかな……?」
路ちゃんはそう聞いてくるけど、決して駄目わけではない。
事実を知ってくれたら案外受け入れてくれる可能性もある。
ただ……これまでの傾向から考えると、良くない反応が返ってきそうな気がする。
「大丈夫。ちゃんとわたしも言うべきタイミングだと考えてのことだから」
路ちゃんがそこまで言うなら僕から止めることはできなかった。
実際に路ちゃんと石渡さんの間でどのような会話がかわされていたかわからないけど、僕は結果を待つしかない。
いや、桐山くんには僕から話すべきか。
実は彼女がいて、その相手はなんと……って、どんな風に話題を振ればいいんだ?
いきなり言い出したら自慢っぽくなってしまう。
路ちゃんはいったいどういう流れで言うつもり――
「ええっ!?」
雑談タイムに入って数分経った頃、石渡さんの驚きの声が響く。
「な、なんで……産賀さんなんですか?」
「良助くんは……わたしを助けてくれたから」
全部は聞こえないけど、石渡さんは何やら質問を続けている。
それから少し話が続いた後、石渡さんは僕の方に向かって来た。
「産賀さん……ごめんなさい」
「えっ? ど、どうしたの急に?」
「今でとても失礼なことを言っていたから……です。あたしとしてはその……産賀さんが路子さんを狙う悪い虫とばかり思っていて……」
「そんな風に見られてたんだ……」
「でも、何で隠してたんですか。堂々と言ってくれたら勘違いもしなかったのに」
「それはその……部活内であんまり話すことでもないと思って……」
「……すみません。別に責めるつもりはなかったんです。ただ……路子さんの前でも産賀さんのことを悪く言ってしまったのは悔やんでも悔やみきれません」
「あっ……」
その話を聞いて路ちゃんが話すべきタイミングだと言った理由がわかった。
僕が足踏みしているうちに、路ちゃんの方が不快な気持ちになっていたのは大きな失敗だ。
「だから……やっぱり産賀さんのことは少しダメな男として見させてもらいます」
「ま、マジで?」
「路子さんのことを不幸にするようなことがあったら、許しませんから!」
石渡さんの激しめの宣言に、奥の方にいる路ちゃんは苦笑いを浮かべているように見えた。
いったい路ちゃんが石渡さんにどんな影響を与えたのかわからないけど、引き続き僕に対しては厳しい目が向けられそうだ。
「……ってなわけで、実は僕と路ちゃんは付き合っていました」
「やっぱり!」
「そうだと思ってました」
「う、嘘……! 察してなかったのあたしだけ……?」
ちなみに流れで結香さんと桐山くんに話したら、こちらはすんなりと受け入れられた。
石渡さんに本当の意味で認められるように頑張らなければ。
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