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3年生1学期
5月18日(木)曇り 塾での日常その4
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曇ったおかげで過ごしやすい日になったことばの日。
塾では中間テスト対策の講義が始まっているけど、今年は授業を受ける側の空気が何となく違うように感じた。
やっぱり3年生のテストはみんな気合が入るものなんだろうか。
「いやー……もうテストなんて早いなー」
しかし、重森さんはどことなく気だるそうな感じになっていた。
「美里ちゃん、もしかして……五月病に?」
「うーん、そうなのかなぁ。私としては、五月病ってテレビ番組やネット記事とかがしつこく取り上げるから、そう思っちゃう気がするんだよね」
「あっ……ごめんなさい。わたし、勝手に決め付けて」
「いやいや、みーちゃんは悪くないよ。悪いのは世間」
随分大きく出たなと思いつつも、重森さんの意見も少しわかるような気がする。
五月になれば色々と慣れてくる時期と言われるけど、実際に慣れるペースは人それぞれだし、目に付くところで言われたから変に意識することもあると思う。
「亜里沙は五月病についてどう思う?」
「まぁ、休み明けはちょっとダルいと思うことはあるケド、五月病っていうほどじゃないかも。でも、実際に症状としてはあるとか、なんかの記事で見たような?」
「そうらしいけど、名前付けちゃったらそういう風に感じやすくなっちゃわない?」
「いや、何かの症状ってわかってた方が安心するくない?」
「……なるほど。これは多数決を取るしかない。偶数だけど」
そう言って重森さんと大山さんは僕と路ちゃんに決着を委ねてくる。
ふわっとした会話のようで結構難しい話題だから、なかなか回答に困ってしまうけど……
(良助くん……!)
すると、路ちゃんは急に僕へ目線で訴えかけてくる。
いきなりのことだったので僕は「うん?」と首を傾げてしまう。
(わたしは……こっち! するから! 良助くんは、こっち!)
実際に何と言ったかはわからないけど、恐らく路ちゃんの意図は票数ばらけさせて引き分けにしようということだろう。
僕としては別に白黒つけても大山さんと重森さんに亀裂が入らないとは思うけど、路ちゃんが望むなら仕方がない。
「じゃあ、ミチはどう思う?」
「わたしは……亜里沙ちゃんの方の意見かな」
「みーちゃん……」
「も、もちろん、美里ちゃんの意見もわかるのだけれど」
「ふむふむ。じゃあ、うぶクンはどう?」
「僕は……重森さんの意見で」
「おお。産賀くんと初めて気が合った」
「そんなことは……ないよね?」
重森さんの言ったことはともかく、自分にも票が入ったことに安心していたようなので、路ちゃんの気遣いは成功だった……かのように見えた。
「ふーん……うぶクンはそっち派なんだ」
「えっ?」
「ミチはこっちに入れてるのになぁ。ふ~ん……」
なぜか大山さんが不機嫌になってしまった。
その後、この日の大山さんから少し冷たい目線を向けられたので……全員を気遣うのは難しいものだと改めて思った。
塾では中間テスト対策の講義が始まっているけど、今年は授業を受ける側の空気が何となく違うように感じた。
やっぱり3年生のテストはみんな気合が入るものなんだろうか。
「いやー……もうテストなんて早いなー」
しかし、重森さんはどことなく気だるそうな感じになっていた。
「美里ちゃん、もしかして……五月病に?」
「うーん、そうなのかなぁ。私としては、五月病ってテレビ番組やネット記事とかがしつこく取り上げるから、そう思っちゃう気がするんだよね」
「あっ……ごめんなさい。わたし、勝手に決め付けて」
「いやいや、みーちゃんは悪くないよ。悪いのは世間」
随分大きく出たなと思いつつも、重森さんの意見も少しわかるような気がする。
五月になれば色々と慣れてくる時期と言われるけど、実際に慣れるペースは人それぞれだし、目に付くところで言われたから変に意識することもあると思う。
「亜里沙は五月病についてどう思う?」
「まぁ、休み明けはちょっとダルいと思うことはあるケド、五月病っていうほどじゃないかも。でも、実際に症状としてはあるとか、なんかの記事で見たような?」
「そうらしいけど、名前付けちゃったらそういう風に感じやすくなっちゃわない?」
「いや、何かの症状ってわかってた方が安心するくない?」
「……なるほど。これは多数決を取るしかない。偶数だけど」
そう言って重森さんと大山さんは僕と路ちゃんに決着を委ねてくる。
ふわっとした会話のようで結構難しい話題だから、なかなか回答に困ってしまうけど……
(良助くん……!)
すると、路ちゃんは急に僕へ目線で訴えかけてくる。
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実際に何と言ったかはわからないけど、恐らく路ちゃんの意図は票数ばらけさせて引き分けにしようということだろう。
僕としては別に白黒つけても大山さんと重森さんに亀裂が入らないとは思うけど、路ちゃんが望むなら仕方がない。
「じゃあ、ミチはどう思う?」
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「も、もちろん、美里ちゃんの意見もわかるのだけれど」
「ふむふむ。じゃあ、うぶクンはどう?」
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重森さんの言ったことはともかく、自分にも票が入ったことに安心していたようなので、路ちゃんの気遣いは成功だった……かのように見えた。
「ふーん……うぶクンはそっち派なんだ」
「えっ?」
「ミチはこっちに入れてるのになぁ。ふ~ん……」
なぜか大山さんが不機嫌になってしまった。
その後、この日の大山さんから少し冷たい目線を向けられたので……全員を気遣うのは難しいものだと改めて思った。
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