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3年生1学期
4月27日(木)晴れ 忘却の児島さんその2
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再び暖かく……ちょっと暑くなった哲学の日。
塾の集中講義に出るのが決まったとはいえ、半日は休みの日もあるから、普通にGWが迫っている嬉しさはあった。
そんな中、僕と大倉くんの中で話題にしたけど、また忘れていた児島さんと今日は少し絡みがあった。
それは昼休みにトイレを出た時だった。
ちょうど目の前を女子が横切った際、ポケットから何かが落ちる。
それに気付かないまま女子が進んでしまうので、僕は物を拾って慌てて声をかけた。
「あ、あの!」
「?」
その振り向いた女子が児島さんだったのだ。
恐らく2年ぶり……いや、研修旅行の時にはまともに話していない可能性が高いから、ほとんど初めて話す状態なので、少し緊張してしまう。
「これ、落としました」
「……ああ。ありがとうございます」
渡した時にようやく確認した落とした物はキーホルダーのようだけど、キャラクターとかではなく、抽象的な形をした金属のような物体だった。
そういう小物について詳しくないので、もしかしたら流行っているのかもしれないけど、珍しさを感じる。
「産賀良助くん?」
「えっ?」
一方、児島さんは落とし物を渡し終えた後にようやく僕の顔を認識したようだった。
全く絡みがない男子だから仕方ないとは思うけど、ワンテンポ遅れた反応に僕はきょとんとしてしまう。
「人違いでしたか……」
「ち、違う! そうです!」
「良かった。顔を知っている人なら言いやすいから」
「な、なにを?」
「このことは内密にお願いするわ」
「うん? どのこと?」
「この一連の流れの全てを」
児島さんは笑みを見せることなくそう言ってくる。
落とし物をしたことか、僕に拾われたことか、それとも落とし物についてか……いや、一連の流れだからその全てになるか。
それを……内密に?
「わ、わかった」
でも、理由を聞けない圧があったので、僕は頷くしかなかった。
そのまま児島さんは教室に戻って行くので、僕も続けて教室に戻る。
「う、産賀くん、何かあったの……?」
戻って来た僕の顔に出ていたのか、大倉くんにそう聞かれてしまう。
本当ならこの児島さんとの絡みを話したいところだけど、内密と言われたばかりで言うわけにはいかない。
児島さんの言動の意図はわからないけど……もしかしたら本当に児島さんは何か秘密を抱える存在かもしれない。
スパイか忍者かはたまた……いや、あくまで日記だからふざけて書いているだけだ。さすがに。
塾の集中講義に出るのが決まったとはいえ、半日は休みの日もあるから、普通にGWが迫っている嬉しさはあった。
そんな中、僕と大倉くんの中で話題にしたけど、また忘れていた児島さんと今日は少し絡みがあった。
それは昼休みにトイレを出た時だった。
ちょうど目の前を女子が横切った際、ポケットから何かが落ちる。
それに気付かないまま女子が進んでしまうので、僕は物を拾って慌てて声をかけた。
「あ、あの!」
「?」
その振り向いた女子が児島さんだったのだ。
恐らく2年ぶり……いや、研修旅行の時にはまともに話していない可能性が高いから、ほとんど初めて話す状態なので、少し緊張してしまう。
「これ、落としました」
「……ああ。ありがとうございます」
渡した時にようやく確認した落とした物はキーホルダーのようだけど、キャラクターとかではなく、抽象的な形をした金属のような物体だった。
そういう小物について詳しくないので、もしかしたら流行っているのかもしれないけど、珍しさを感じる。
「産賀良助くん?」
「えっ?」
一方、児島さんは落とし物を渡し終えた後にようやく僕の顔を認識したようだった。
全く絡みがない男子だから仕方ないとは思うけど、ワンテンポ遅れた反応に僕はきょとんとしてしまう。
「人違いでしたか……」
「ち、違う! そうです!」
「良かった。顔を知っている人なら言いやすいから」
「な、なにを?」
「このことは内密にお願いするわ」
「うん? どのこと?」
「この一連の流れの全てを」
児島さんは笑みを見せることなくそう言ってくる。
落とし物をしたことか、僕に拾われたことか、それとも落とし物についてか……いや、一連の流れだからその全てになるか。
それを……内密に?
「わ、わかった」
でも、理由を聞けない圧があったので、僕は頷くしかなかった。
そのまま児島さんは教室に戻って行くので、僕も続けて教室に戻る。
「う、産賀くん、何かあったの……?」
戻って来た僕の顔に出ていたのか、大倉くんにそう聞かれてしまう。
本当ならこの児島さんとの絡みを話したいところだけど、内密と言われたばかりで言うわけにはいかない。
児島さんの言動の意図はわからないけど……もしかしたら本当に児島さんは何か秘密を抱える存在かもしれない。
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