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3年生1学期

4月18日(火)曇り 後輩との日常・桐山宗太郎の場合その16

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 ずっともやがかかったような空だった発明の日。
 本日は文芸部の活動日だけど、研修旅行明けなのでまだ説明会を行うつもりで部員達は待ち構えていた。
 新入生が入部するタイミング的にゴールデンウイーク前が一区切りになるので、そろそろ入部者が出て欲しいところだけど……

「なかなかいないっすねー」

 今日の外回り担当である桐山くんはそう呟く。
 これは今日の勧誘に関しての発言だけど、現時点で1年生の入部希望者は現れていなかった。

「まぁ、入学式直後と比べると少なくはなるよね……」

「あんまり覚えてないっすけど、去年の今頃はもう俺ら入部してましたっけ?」

「そうだった気がする。ゴールデンウイーク中には歓迎会もやったし」

「あー……そうなると……」

 桐山くんは何か言いかけたけど、自分で口を塞いで申し訳なさそうな顔をする。
 でも、僕も今年は入部者が現れない可能性も少しだけ考え始めていた。
 宣伝のやり方は去年と大きく変わってないから、単純に今年は本や文章作成に興味がある子がいない、あるいは他の事に興味が移ったのだろう。

「まぁ、花園さんみたいに入部はいつでもできるし、新入生がいないからって活動できないわけじゃないから」

 そう考えて僕は思わず新入部員がいない前提でそう言ってしまう。
 すると、桐山くんは予想外の反応を見せる。

「そうだとは思うんすけど……日葵のことを考えると、1人くらいは入部して欲しいとは思うっす」

「日葵さんの?」

「一応、部長と副部長として色々話し合ってたんすけど、あいつ結構張り切ってて。今年は同じクラスになってるんすけど、クラスにいる時もどこか気にしてる感じがあって……」

「そうだったのか……」

「あっ、そこまで深刻な状態じゃないっすよ!? クラスでも普段はテンション高めでうるさい奴っすから。ただ……まぁ、ここ最近はちょっと違うかもって感じっす」

「そっか……うん。ちょっとネガティブに考えちゃったよ。ゴールデンウイークまで2週間近くあるんだから、こっちも来て貰うつもりでいなくちゃ」

「……そうっすね! もうちょい勧誘やってきましょう!」

 その話をした後、僕と桐山くんは入学式ばりに声を出して勧誘してみたけど……こちらでの収穫はなかった。
 一方、説明会の方には数名来てくれたようなので、僕の考えはかなり早まっていたようだ。
 桐山くんは日葵さんのためのように言っていたけど、桐山くんも少し責任を感じていそうだから、不安にさせないよう僕も希望を持っていこうと思う。
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