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3年生1学期

4月15日(土)雨 明莉との日常その87

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 4月も折り返しのヘリコプターの日。
 本日は一日中雨だったので、天気が崩れないうちに明莉達の研修旅行が終わったのは良かったと思う。

 そんな明莉もさすがに疲れていたようで、今日は家でゆっくりとしていた。

「りょうちゃーん。飲み物取ってきてー」

「えっ。なぜ僕が……」

「あかり、高校が始まったばかりで、研修旅行もあって色々疲れてるから……ダメ?」

「まったく……今回だけだぞ」

 明莉におねだりされた時点で僕は十中八九断れないけれど、一応そう言っておいた。
 でも、これから暫くはこの言い訳で色々やらされそうな気もする。

「ありがと。そういえば、りょうちゃんも1年生の頃はカレー食べたんだよね?」

「うん。ああいう場所だとだいたいカレーなんじゃ……あっ! 明莉、料理して大丈夫だったの……?」

「大丈夫って言い方なに。あかりは単に外で食べるカレーは美味しいって話をしようと思っただけなんだけど」

「いや、だって明莉が料理に加わったら何か起こる可能性もあるし」

「そんなことないよ。昨日は……同じ班の男子と火加減と水加減を見たから」

「あー……」

 つまるところ食材を切ったり、味付けをしたりしたわけではないようだ。
 明莉の調理センスを知らない人もいただろうに、よくその役割を与えてくれた。

「なんか引っかかるなぁ」

「いやいや、美味しくできたのなら良かった。外のカレーは中学の研修旅行以来だったよ」

「あかりもそうだった。うちはキャンプとか行かないもんね」

「最近はキャンプ飯が流行ってるけど、キャンプ自体はあんまり行く気にはならないな」

「りょうちゃんはキャンプを準備する段階で体力なくなりそうだもんね」

「それは……そうかもしれない」

「まぁ、路おねえちゃんもインドア派だろうし、行く機会ないからいいだろうけど」

「で、デートで行くとかあるのか……うーん……」

「りょうちゃんは受験シーズン突入するんだから、今のうちに色んなとこ行っておくのもアリだとは思うけどね。もしくは受験終わった後」

「なるほど……って、なんでこんな話になってるんだ」

「別によくあることじゃーん。あ、それでキャンプといえばさ。この前芸人の……」

 その後も明莉は雑談しつつも時々僕を顎で使いながらゆったりとしていた。
 これが高校が始まって疲れた人間の姿かと思いつつも、新学期が始まってもいつも通りなのは安心した。
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