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3年生1学期
4月14日(金)晴れのち曇り 真治と瑞姫の日常
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オレンジデーと呼ばれる第3愛の記念日。
何でもバレンタインやホワイトデーに続く愛を伝える日らしく、こちらは恋人に限らず家族や親しい人に対して愛を伝える日らしい。
記念日を調べるようにしていなければ絶対に気付かなった日だ。
そんな今日は研修旅行が終わる日だけど、在校生側は普通の日だったので、特別何かあったわけではなかった。
強いて言えば……本田くんと栗原さんの関係性のことが書けるだろうか。
「真ちゃーん。今日はお昼一緒にどう?」
「えっ。オレは別にいいが……」
そう言いながら本田くんはいつメン3人を見てきたので、僕を含めて全員が行っていいように頷く。
それに対して「すまん」と言った本田くんは栗原さんと一緒に教室から出て行った。
「本田くん、2年生の時も定期的にこういうことあったの?」
「時々はあったかな。その時は俺も別の人と食べたから」
「別に松永の心配はしていない」
「うわっ、りょーちゃんひどい! 俺のことなんてどうでも良かったのね!?」
「はいはい。だったら、申し訳なさそうにしなくてもいいのに」
「そこはまぁ、まっちゃんの性格上仕方ないでしょ。それにああ見えて……」
松永は何か言いかけて急に動きを止める。
「なんだよ。気になる止め方だな」
「あっ、いや。他人の恋愛事情をとやかく言うのは良くないと思って」
「ま、松永くんが空気を読んだ……!」
「クラさんもひどいな!?」
「で、でも、あの2人って堂々と付き合ってる感じだよね……」
「そうだけど、クラさん的には何か問題が?」
「い、いや、問題ってわけじゃなくて……ボクが慣れてないだけかもしれないんだけど……わりと教室でもイチャイチャしてる気がして」
大倉くんの発言に僕と松永は思わず顔を見合わせる。
そして、ほぼ同時に同じ言葉を発した。
「「やっぱりそう思う!?」」
「う、うん」
「俺が踏みとどまったのもその件でさ。いや、わかるよ。傍にいたら絡みたくなる気持ちは。でも、俺でも大丈夫かって思うくらいには引っ付いてるよ」
「僕はちょっと意外だった。本田くんはみんながいる前であんまり引っ付かれたりするの嫌がるタイプだと思ってたから」
「それがさー 付き合い始めてから少し経ったらそうでもなくなって、最初は付き合いたてだからそうなってるのかと思ってたけど、ここまで続いてるなら違うってことになる。無自覚ノロケだよ、あれは」
「よ、良かった……ボクだけ気にし過ぎてるのかと思ってた」
本人がいないのをいいことに、僕らは本田くんの欠席裁判を行ってしまった。
ここまで仲良く付き合い続けているのはいいことなんだろうけど、見せられる側の気持ちもちょっとくらいは考えて欲しい瞬間がある。
「友人としてはそれとなく注意すべきなのかなぁ。俺らはまぁわかってあげられるけど……」
「どうした? 3人とも」
「ほ、本田くん……!」
そうしているうちにいつの間にか本田くんが帰って来ていたので、僕と大倉くんは松永に対して期待の目を向ける。
こういう時に丸投げするのは申し訳ないけど、松永から言って貰えるのが一番波風が立たない気がする。
「あ、あのさ。ぽんちゃん」
「なんだ?」
「その……栗原さんとの話なんだけど……」
「ああ。それか。実は……今日、お弁当を作ってくれたんだ。前々から作りたいとは言っていたが、なかなかタイミングが取らなかったらしくて。オレは別にいいって言っていたが……でも、嬉しかったよ。なんていうか……いいものだな、こういうの」
「…………」
「…………」
「…………」
「うん? オレ、何か変なこと言ったか……?」
まったく自覚が無さそうな本田くんに対して、僕ら3人は首を大きく横に振った。
2年生の時点で松永が気付いていたのに言わなかったのは、こんな風に包み隠さず言ってしまう本田くんを見たせいだったのかもしれない。
これからは……温かい目で見守っていこうと思う。
何でもバレンタインやホワイトデーに続く愛を伝える日らしく、こちらは恋人に限らず家族や親しい人に対して愛を伝える日らしい。
記念日を調べるようにしていなければ絶対に気付かなった日だ。
そんな今日は研修旅行が終わる日だけど、在校生側は普通の日だったので、特別何かあったわけではなかった。
強いて言えば……本田くんと栗原さんの関係性のことが書けるだろうか。
「真ちゃーん。今日はお昼一緒にどう?」
「えっ。オレは別にいいが……」
そう言いながら本田くんはいつメン3人を見てきたので、僕を含めて全員が行っていいように頷く。
それに対して「すまん」と言った本田くんは栗原さんと一緒に教室から出て行った。
「本田くん、2年生の時も定期的にこういうことあったの?」
「時々はあったかな。その時は俺も別の人と食べたから」
「別に松永の心配はしていない」
「うわっ、りょーちゃんひどい! 俺のことなんてどうでも良かったのね!?」
「はいはい。だったら、申し訳なさそうにしなくてもいいのに」
「そこはまぁ、まっちゃんの性格上仕方ないでしょ。それにああ見えて……」
松永は何か言いかけて急に動きを止める。
「なんだよ。気になる止め方だな」
「あっ、いや。他人の恋愛事情をとやかく言うのは良くないと思って」
「ま、松永くんが空気を読んだ……!」
「クラさんもひどいな!?」
「で、でも、あの2人って堂々と付き合ってる感じだよね……」
「そうだけど、クラさん的には何か問題が?」
「い、いや、問題ってわけじゃなくて……ボクが慣れてないだけかもしれないんだけど……わりと教室でもイチャイチャしてる気がして」
大倉くんの発言に僕と松永は思わず顔を見合わせる。
そして、ほぼ同時に同じ言葉を発した。
「「やっぱりそう思う!?」」
「う、うん」
「俺が踏みとどまったのもその件でさ。いや、わかるよ。傍にいたら絡みたくなる気持ちは。でも、俺でも大丈夫かって思うくらいには引っ付いてるよ」
「僕はちょっと意外だった。本田くんはみんながいる前であんまり引っ付かれたりするの嫌がるタイプだと思ってたから」
「それがさー 付き合い始めてから少し経ったらそうでもなくなって、最初は付き合いたてだからそうなってるのかと思ってたけど、ここまで続いてるなら違うってことになる。無自覚ノロケだよ、あれは」
「よ、良かった……ボクだけ気にし過ぎてるのかと思ってた」
本人がいないのをいいことに、僕らは本田くんの欠席裁判を行ってしまった。
ここまで仲良く付き合い続けているのはいいことなんだろうけど、見せられる側の気持ちもちょっとくらいは考えて欲しい瞬間がある。
「友人としてはそれとなく注意すべきなのかなぁ。俺らはまぁわかってあげられるけど……」
「どうした? 3人とも」
「ほ、本田くん……!」
そうしているうちにいつの間にか本田くんが帰って来ていたので、僕と大倉くんは松永に対して期待の目を向ける。
こういう時に丸投げするのは申し訳ないけど、松永から言って貰えるのが一番波風が立たない気がする。
「あ、あのさ。ぽんちゃん」
「なんだ?」
「その……栗原さんとの話なんだけど……」
「ああ。それか。実は……今日、お弁当を作ってくれたんだ。前々から作りたいとは言っていたが、なかなかタイミングが取らなかったらしくて。オレは別にいいって言っていたが……でも、嬉しかったよ。なんていうか……いいものだな、こういうの」
「…………」
「…………」
「…………」
「うん? オレ、何か変なこと言ったか……?」
まったく自覚が無さそうな本田くんに対して、僕ら3人は首を大きく横に振った。
2年生の時点で松永が気付いていたのに言わなかったのは、こんな風に包み隠さず言ってしまう本田くんを見たせいだったのかもしれない。
これからは……温かい目で見守っていこうと思う。
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