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3年生1学期

4月12日(水)晴れ 伊月茉奈との日常その15

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 折り返しのパンの記念日。
 明日から新入生が宿泊研修へ行ってしまうので、今日の放課後で一旦勧誘は休憩となる。
 そんな今日の僕の役割は昨日と違って外回りで勧誘する方だ。
 下駄箱前で帰ろうとする新入生に対してチラシを配りつつ、説明会が行われることをお知らせしていく。
 しかし、明日が宿泊研修であるせいか、チラシを受け取ってくれる人はいても、説明会まではなかなか行って貰えそうになかった。

「今日はタイミング的に難しいかもしれませんね。説明会に直接行ってくれる人がいたらいいですけど……」

 同じく外回り組の伊月さんはそう言う。

「そうだね。ところで、伊月さんは昨日から引き続き勧誘の方だけど……」

「あっ、それは……青蘭が外に出す向きではないのでわたしが代わりに」

「な、なるほど」

「まぁ、わたしも勧誘向きかと言われると違うとは思いますけど……」

「いや、それで言ったら僕の方が……」

 2人にいるのに誰も説明会に招けていないせいで、僕と伊月さんは若干ネガティブになる。
 昨日の桐山くんが連れて来られたのは本当に大手柄だったようだ。

「こうなったら知ってる後輩をあたってみようかな……」

「伊月さんの後輩……ってことは同じ南中の子か」

「はい。もしかしたら産賀さんの妹さんと知り合いの可能性もありますね」

「あー 妹なら結構知り合い多いからあり得るな」

「そうなんですね。そういえば妹さんとは文化祭以来会ってないから、ちょっと会ってみたいです」

「全然言ってくれたら会わせるよ。何なら今呼べるかも」

「いえ、そこまでは……妹さんは文芸部に入部する予定は?」

「たぶんバドミントン部に入部するからなぁ……というか、さすがに部活が一緒なのは……」

「ダメなんですか?」

「う、うん。なんとなく……」

「へー……あっ、すみません。産賀さん、結構妹さんとは仲良しだと思っていたので、同じ部活だと喜ぶのかと思ってました」

「家族が来る授業参観じゃないけど、そういう空気感になりそうな気がするんだ」

「そういうことですか。わたしは兄弟姉妹がいないから……って、普通に雑談しちゃいましたね」

「……まぁ、今日はもう無理そうだからいいんじゃないかな」

 僕がそう言うと伊月さんは少し考えた後、「そうですね」と返してくれた。
 意外に伊月さんとがっつり話すのは久々だったので、僕としては有意義な時間だった。
 ちなみに説明会の方は……直接2人来てくれたので助かった。
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