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2年生春休み
4月3日(月)晴れ 明莉との日常その85
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春休み11日目の月曜日。
今週の金曜に入学式が行われるので、僕が遊んでいたここ数日で明莉の入学前の準備が進んでいた。
「りょうちゃん。女子ってやっぱり学校指定の鞄が多い感じ?」
「まじまじと見たことはないけど、印象的にはそうかな。全然別の鞄も使っていいけど」
「わかった。じゃあ、普通に学校指定のやつ使う」
そう聞いた後、明莉は自分の部屋に戻って行った……と思ったらまた僕がいる居間に戻って来る。
「りょうちゃん。女子のソックスの長さってどれくらい?」
「そ、ソックス!? それこそまじまじと見るもんじゃないからわからないよ」
「えー 路子おねえちゃんのとか見てないの?」
「いや、いくら路ちゃんでも靴下までは気にしてないし……というか、結局おねえちゃん呼びしてるのか」
「ううん。今気まぐれに言ってみただけ」
そんな風にややふざけながらも明莉は校内における女子の服装や装備について、僕に確認を取ってくる。
しかし、残念ながら僕は男子かつファッション系に疎い奴なので、あまり答えられなかった。
「じゃあ、スカートの長さは? さすがにこれは見てるでしょ」
「どういう意味で見てる確信があるのかわからないけど……そこは校則通りで良くないか?」
「良くないよ。校則と着こなしは別だから」
「本当なら校則を優先すべきなんだけどなぁ。正直、路ちゃんや大山さんに直接聞いた方が早い気がする」
「あっ、そっか。その手があった」
「気付いてなかったのかい!」
「だって、りょうちゃんに聞くのが一番早いと思ってたから……全然早くなかったけど」
「ぼ、僕は悪くない……」
「そうかなぁ? りょうちゃんはこの2年間、女子の制服の違いやオシャレポイントを総スルーしてきた可能性があるのに」
「べ、別にそれで困ったことはないから」
そう言いつつも仮に路ちゃんが制服でも何かしらそういった変化を付けていた場合は……僕は全く気付いていないことになる。
いや、路ちゃんと大山さんを見た時に、明らかに大山さんの方が肌を出している部分が多いのはわかるけど、それ以外で制服に違いを出せるものなんだろうか。
……今のはたとえが悪かったかもしれない。心の中で路ちゃんに謝っておこう。
「りょうちゃんが困らなくてもあかりはその辺はしっかりしておきたいの」
「そ、そうか。でも、どうせ入学式ではみんな校則に沿った格好してるんだし、その後にある部活勧誘とかで先輩方の姿を確認したらいいんじゃないか?」
「……りょうちゃん、天才じゃん」
「あ、ありがとう」
「まぁ、それはそれとして、路おねえちゃんと亜里沙先輩には色々聞いとく!」
そう言い残して明莉は自分の部屋に戻って行った。
考えれば気付きそうなものだけど、それに気付かないくらいには浮足立っているのかもしれない。
まぁ、3年ぶりに違う環境へ入っていくなら、色々気になってしまう気持ちもわかる。
ちなみに、路ちゃんと大山さんにそれぞれ聞いた結果は――
「……2人とも全然違うこと言ってきた」
要するにあまり気にし過ぎない方がいいということだろう。
今週の金曜に入学式が行われるので、僕が遊んでいたここ数日で明莉の入学前の準備が進んでいた。
「りょうちゃん。女子ってやっぱり学校指定の鞄が多い感じ?」
「まじまじと見たことはないけど、印象的にはそうかな。全然別の鞄も使っていいけど」
「わかった。じゃあ、普通に学校指定のやつ使う」
そう聞いた後、明莉は自分の部屋に戻って行った……と思ったらまた僕がいる居間に戻って来る。
「りょうちゃん。女子のソックスの長さってどれくらい?」
「そ、ソックス!? それこそまじまじと見るもんじゃないからわからないよ」
「えー 路子おねえちゃんのとか見てないの?」
「いや、いくら路ちゃんでも靴下までは気にしてないし……というか、結局おねえちゃん呼びしてるのか」
「ううん。今気まぐれに言ってみただけ」
そんな風にややふざけながらも明莉は校内における女子の服装や装備について、僕に確認を取ってくる。
しかし、残念ながら僕は男子かつファッション系に疎い奴なので、あまり答えられなかった。
「じゃあ、スカートの長さは? さすがにこれは見てるでしょ」
「どういう意味で見てる確信があるのかわからないけど……そこは校則通りで良くないか?」
「良くないよ。校則と着こなしは別だから」
「本当なら校則を優先すべきなんだけどなぁ。正直、路ちゃんや大山さんに直接聞いた方が早い気がする」
「あっ、そっか。その手があった」
「気付いてなかったのかい!」
「だって、りょうちゃんに聞くのが一番早いと思ってたから……全然早くなかったけど」
「ぼ、僕は悪くない……」
「そうかなぁ? りょうちゃんはこの2年間、女子の制服の違いやオシャレポイントを総スルーしてきた可能性があるのに」
「べ、別にそれで困ったことはないから」
そう言いつつも仮に路ちゃんが制服でも何かしらそういった変化を付けていた場合は……僕は全く気付いていないことになる。
いや、路ちゃんと大山さんを見た時に、明らかに大山さんの方が肌を出している部分が多いのはわかるけど、それ以外で制服に違いを出せるものなんだろうか。
……今のはたとえが悪かったかもしれない。心の中で路ちゃんに謝っておこう。
「りょうちゃんが困らなくてもあかりはその辺はしっかりしておきたいの」
「そ、そうか。でも、どうせ入学式ではみんな校則に沿った格好してるんだし、その後にある部活勧誘とかで先輩方の姿を確認したらいいんじゃないか?」
「……りょうちゃん、天才じゃん」
「あ、ありがとう」
「まぁ、それはそれとして、路おねえちゃんと亜里沙先輩には色々聞いとく!」
そう言い残して明莉は自分の部屋に戻って行った。
考えれば気付きそうなものだけど、それに気付かないくらいには浮足立っているのかもしれない。
まぁ、3年ぶりに違う環境へ入っていくなら、色々気になってしまう気持ちもわかる。
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