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2年生3学期
3月21日(火)曇り時々雨 原田千由美との日常
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春分の日の火曜日。
間に挟まれた休日なので、僕はゆっくり過ごすと決めていたけど、受験から解放された明莉は遊ぶ気満々だった。
そうして、家に呼ばれたのは……
「あか兄さんお久しぶりです!」
明莉の友達の原田さんだった。
相変わらず元気な雰囲気が伝わってくるけど、前回会った時以上に日焼けしていたはずの肌が少し落ち着いているように見える。
やっぱり受験前はよく外に出て遊んでいたのだろうか。
「いや、これからあか兄さん先輩と呼ぶべきか……」
「そう呼ぶならあかりの要素いらないでしょ……」
「確かに!」
そんな原田さんも4月からは同じ学校の後輩だ。
いや、中学時代も後輩だったけれど、あまり校内で会った記憶がないので後輩よりも明莉の友達として認識していた。
「じゃあ……良先輩にしようかな」
「助はどこに消えたの?」
「あかちもりょうちゃんって呼んでるし……なんか名前呼びはちょっと恥ずかしいというか」
「そう? りょうちゃん程度なら恥ずかしがる必要ないと思うけど」
「僕程度ってどういう意味だよ」
「確かに!」
「納得された!?」
「でも、実際学校で会う時はなんて呼べばいいんですかね?」
「まぁ、常識的な範囲で好きに呼んでくれたらいいよ」
「じゃあ、あか兄さんにします!」
「なんだったんだこの話!?」
そう言いつつも今まであか兄さん呼びだったのが、いきなり名前の先輩呼びされるのは、僕もちょっと照れくさかった。
誰かといる時に呼ばれると逐一解説が必要そうだけど、その時になってから考えよう。
「それで、これがバド部の資料だよ」
「へー 入学前から貰えるものなんだー」
今日の訪問の目的は、先日大山さんから預かったバド部の資料を共有するだめだったようだ。
この時点でバド部は新入生も2人も確保できる可能性があると考えると、大山さんは上手い勧誘をしている。
まさかここまで考えて……
「原田さんは高校でもバド部に入る予定なの?」
「今のところはそうですね。一応は色んなところ見て回るつもりですけど」
「まぁ、ちゆりんが入るとしたらバド部じゃないにしても運動部だろうけどね」
「あっ、言ったなー 高校からおしとやかに茶道部デビューするかもしれないのに」
「……茶道部ならお菓子食べ放題だったりする?」
明莉は急に思いついて僕に聞いてくる。
「そんなことはないはずだけど、同じ考えを持った知り合いはいる」
「マジか……茶道部ありかも」
「えっ、いいの? あかちはただでさえ太ることを気にしてるのに」
「ぐっ……痛いところを付かれた」
「その点、あたしは全然太らないタイプだから」
「ちゆりんはどうしてそう敵を作る発言をするの。今なら2対1でちゆりんを倒せるよ」
いつの間にか僕が頭数に入れられていたけど……まぁ、怒るかどうかは別としてなかなか鋭い発言ではある。
太らなさそうなのはイメージ通りだけど。
「ひどいなー あか兄さんはそんなことしませんよね?」
「もちろん」
「りょうちゃんの裏切り者ー!」
「いやぁ、高校でも困ったらあか兄さんに助けて貰わないとなぁ」
「まぁ、困ってたらできる限り助けるよ」
「なんでちゆりんにはそんなに甘いの!?」
明莉のそのツッコミは適当に流しておいたけど、理由は非常に簡単だ。
高校でも明莉が友達としてお世話になることがわかっているから。
まぁ、実際は明莉の方が原田さんをお世話するタイプなんだろうけど、新しい環境で1人でも知り合いがいるのはお互いに心強いはずだ。
同じクラスになったり、一緒の部活に入ったりするかはわからないけど、今の関係が程よく続いてくれたらいいなと勝手に思った。
間に挟まれた休日なので、僕はゆっくり過ごすと決めていたけど、受験から解放された明莉は遊ぶ気満々だった。
そうして、家に呼ばれたのは……
「あか兄さんお久しぶりです!」
明莉の友達の原田さんだった。
相変わらず元気な雰囲気が伝わってくるけど、前回会った時以上に日焼けしていたはずの肌が少し落ち着いているように見える。
やっぱり受験前はよく外に出て遊んでいたのだろうか。
「いや、これからあか兄さん先輩と呼ぶべきか……」
「そう呼ぶならあかりの要素いらないでしょ……」
「確かに!」
そんな原田さんも4月からは同じ学校の後輩だ。
いや、中学時代も後輩だったけれど、あまり校内で会った記憶がないので後輩よりも明莉の友達として認識していた。
「じゃあ……良先輩にしようかな」
「助はどこに消えたの?」
「あかちもりょうちゃんって呼んでるし……なんか名前呼びはちょっと恥ずかしいというか」
「そう? りょうちゃん程度なら恥ずかしがる必要ないと思うけど」
「僕程度ってどういう意味だよ」
「確かに!」
「納得された!?」
「でも、実際学校で会う時はなんて呼べばいいんですかね?」
「まぁ、常識的な範囲で好きに呼んでくれたらいいよ」
「じゃあ、あか兄さんにします!」
「なんだったんだこの話!?」
そう言いつつも今まであか兄さん呼びだったのが、いきなり名前の先輩呼びされるのは、僕もちょっと照れくさかった。
誰かといる時に呼ばれると逐一解説が必要そうだけど、その時になってから考えよう。
「それで、これがバド部の資料だよ」
「へー 入学前から貰えるものなんだー」
今日の訪問の目的は、先日大山さんから預かったバド部の資料を共有するだめだったようだ。
この時点でバド部は新入生も2人も確保できる可能性があると考えると、大山さんは上手い勧誘をしている。
まさかここまで考えて……
「原田さんは高校でもバド部に入る予定なの?」
「今のところはそうですね。一応は色んなところ見て回るつもりですけど」
「まぁ、ちゆりんが入るとしたらバド部じゃないにしても運動部だろうけどね」
「あっ、言ったなー 高校からおしとやかに茶道部デビューするかもしれないのに」
「……茶道部ならお菓子食べ放題だったりする?」
明莉は急に思いついて僕に聞いてくる。
「そんなことはないはずだけど、同じ考えを持った知り合いはいる」
「マジか……茶道部ありかも」
「えっ、いいの? あかちはただでさえ太ることを気にしてるのに」
「ぐっ……痛いところを付かれた」
「その点、あたしは全然太らないタイプだから」
「ちゆりんはどうしてそう敵を作る発言をするの。今なら2対1でちゆりんを倒せるよ」
いつの間にか僕が頭数に入れられていたけど……まぁ、怒るかどうかは別としてなかなか鋭い発言ではある。
太らなさそうなのはイメージ通りだけど。
「ひどいなー あか兄さんはそんなことしませんよね?」
「もちろん」
「りょうちゃんの裏切り者ー!」
「いやぁ、高校でも困ったらあか兄さんに助けて貰わないとなぁ」
「まぁ、困ってたらできる限り助けるよ」
「なんでちゆりんにはそんなに甘いの!?」
明莉のそのツッコミは適当に流しておいたけど、理由は非常に簡単だ。
高校でも明莉が友達としてお世話になることがわかっているから。
まぁ、実際は明莉の方が原田さんをお世話するタイプなんだろうけど、新しい環境で1人でも知り合いがいるのはお互いに心強いはずだ。
同じクラスになったり、一緒の部活に入ったりするかはわからないけど、今の関係が程よく続いてくれたらいいなと勝手に思った。
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