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2年生3学期
3月15日(水)晴れ 明莉との日常その83
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3月も折り返しの水曜日。
この日は夕方から通常通り塾があるけど、今日の本題はそちらではない。
「良助くん……」
「明莉ちゃんは……どうだったの?」
塾へ行くや否や路ちゃんと大山さんはそう聞いてくる。
「結果は…………合格だった!」
「よ、良かったぁ……」
「おめでとー! ていうか、うぶクンちょっと貯めるとか趣味悪いんですケド~」
「ごめんごめん。明莉にやられたもんだから……」
遡ること数時間前。
合格発表自体は朝早くに出ていたらしいけど、僕が学校にいる間は明莉から連絡が来ていなかった。
まさか……という気持ちがありつつも直接聞くのも忍びないので、僕は放課後になると一目散に家へ帰る。
すると、玄関を開けて明莉が待っていた。
「りょうちゃん……」
「あ、明莉! その……」
「…………」
「いや……この度は……」
「合格してた!」
「な、なんだよ!」
「えへへ~ そのリアクションを待ってたんだよ。ちなみにちゆりんと正弥くんも合格してた」
「おお。本当に良かったなぁ……」
「これでいつでも彼女さん呼べるね!」
「真っ先に言うのはそれなのか……」
「もちろん、それ以外にも色々あるけど、今日は塾あるんでしょ? すぐに伝えられるじゃん。あっ、あと大山先輩にも」
「いや、それなら今からでも連絡を……」
「えー せっかくならもったいぶりたくない?」
「何がせっかくだよ。僕はそんなことは……」
などと言いながらもLINEで伝えるのは味気ないと思って、直接会って言うことにした。
まぁ、結果的には何となく貯めてしまったんだけど。
「へー 産賀くんの妹さんが後輩として来るんだ。いやでも、入学前からそんなに応援されてるなんて珍しい」
明莉のことをほとんど知らない重森さんはそう言う。
さすがに塾では無意識に話していなかったらしい。
「もしかしたらバド部に入るかもしれないから、めっちゃ近い後輩になるかもしれないよ?」
「えっ、そうなんだ。産賀くんの妹さん……産賀妹と呼ぼうか」
「妹には変な呼び方はやめてあげて。それにバド部に入るかどうかはまだ……」
「えっ、明莉ちゃん来てくれないの!? なんで!?」
「いや、話を聞いてないだけで、どうなるかはわからないけど……」
「産賀妹ちゃんは――」
「ちゃん付けだからいいわけじゃない!」
その後は発表を貯めた仕返しなのか、妙にいじられる日になった。
でも、今日はその弄りも何だか心地よかったので……明莉の合格に対する嬉しさの方が大きかったのだろう。
改めて合格おめでとう、とここにも記しておく。
この日は夕方から通常通り塾があるけど、今日の本題はそちらではない。
「良助くん……」
「明莉ちゃんは……どうだったの?」
塾へ行くや否や路ちゃんと大山さんはそう聞いてくる。
「結果は…………合格だった!」
「よ、良かったぁ……」
「おめでとー! ていうか、うぶクンちょっと貯めるとか趣味悪いんですケド~」
「ごめんごめん。明莉にやられたもんだから……」
遡ること数時間前。
合格発表自体は朝早くに出ていたらしいけど、僕が学校にいる間は明莉から連絡が来ていなかった。
まさか……という気持ちがありつつも直接聞くのも忍びないので、僕は放課後になると一目散に家へ帰る。
すると、玄関を開けて明莉が待っていた。
「りょうちゃん……」
「あ、明莉! その……」
「…………」
「いや……この度は……」
「合格してた!」
「な、なんだよ!」
「えへへ~ そのリアクションを待ってたんだよ。ちなみにちゆりんと正弥くんも合格してた」
「おお。本当に良かったなぁ……」
「これでいつでも彼女さん呼べるね!」
「真っ先に言うのはそれなのか……」
「もちろん、それ以外にも色々あるけど、今日は塾あるんでしょ? すぐに伝えられるじゃん。あっ、あと大山先輩にも」
「いや、それなら今からでも連絡を……」
「えー せっかくならもったいぶりたくない?」
「何がせっかくだよ。僕はそんなことは……」
などと言いながらもLINEで伝えるのは味気ないと思って、直接会って言うことにした。
まぁ、結果的には何となく貯めてしまったんだけど。
「へー 産賀くんの妹さんが後輩として来るんだ。いやでも、入学前からそんなに応援されてるなんて珍しい」
明莉のことをほとんど知らない重森さんはそう言う。
さすがに塾では無意識に話していなかったらしい。
「もしかしたらバド部に入るかもしれないから、めっちゃ近い後輩になるかもしれないよ?」
「えっ、そうなんだ。産賀くんの妹さん……産賀妹と呼ぼうか」
「妹には変な呼び方はやめてあげて。それにバド部に入るかどうかはまだ……」
「えっ、明莉ちゃん来てくれないの!? なんで!?」
「いや、話を聞いてないだけで、どうなるかはわからないけど……」
「産賀妹ちゃんは――」
「ちゃん付けだからいいわけじゃない!」
その後は発表を貯めた仕返しなのか、妙にいじられる日になった。
でも、今日はその弄りも何だか心地よかったので……明莉の合格に対する嬉しさの方が大きかったのだろう。
改めて合格おめでとう、とここにも記しておく。
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