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2年生3学期

3月6日(月)晴れ 急接近する岸本路子その5

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 学期末テスト3日目の月曜日。
 この日の3時間目のテストが終わった頃、約束通り清水先輩からメッセージが送られて来る。
 結果は――

――合格だ!

 という単語から始まったので、少々びっくりしたけどすぐに安心できた。
 恐らく他の先輩方も今日から卒業式の手前までの期間で、大学の合否が判明するのだろう。
 その結果次第では2次試験に挑むことに……

――それで良助
――岸本さんに許可は取れたのか?

……お祝いムードだったところに、清水先輩は遠慮なく指摘してくる。
清水先輩にとってはそれほど難しい話ではないのかもしれないけど、僕にとっては少々言うまでに勇気がいる話だ。
しかし、後回しにして清水先輩の予定待ちさせるわけにはいかない。
それにLINEで話すよりも直接言った方がいいと思って、昨日すぐに聞かなかったのだ。

「お疲れ、路ちゃん。ちょっと相談事……というか、聞きたいことがあるんだけどいい?」

「お疲れ様……うん。大丈夫だよ」

「その……清水先輩と――」

「清水さんと?」

 僕が名前を言った時点で路ちゃんはすぐに復唱する。
 それに何となく圧を感じてしまったので、一度止まってしまったけど、僕は続けて喋る。

「ちょっと会おうと言われて。入試で休みになるどちらかの日に」

「うん」

「卒業前のいい機会だし、会おうと思っているんですけど」

「うん」

「……行ってもいいですか?」

「良助くん……逆に何で駄目だと思ったの?」

「えっ?」

「だって、清水さんは産賀くんがお世話になってるんだから」

 そう言われると……そうなんだけど、まさか言うのが間違ってる感じで言われるとは思わなかった。
 これだと僕が変に意識し過ぎた感じに……いやでも、言わずに行くのはなんか違う気がしたし、路ちゃんはそういう経緯を知っていたわけだし……

「良助くん」

「は、はい!」

「……ちゃんと言ってくれたのは嬉しかったかも」

「そ、そうですか」

「でも、丁寧語になっているのは何か怪しい気が……」

「そ、そうだね!……なんかごめん」

「ふふっ。良助くんはそういう感じでいいと思う」

 それは褒められているのかわからないけど、誠実な気持ちは伝わったのだと思う。
 だから……一応許可を取っておいて良かったと思っておこう。
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