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2年生3学期

2月28日(火)晴れ 花園華凛との日常その22

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 2月最終日の火曜日。
 僕らからすると、2月末日と言えば……

「お誕生日おめでとう、華凛ちゃん」

「ありがとうございます、ミチちゃん」

 花園さんの誕生日である。
今年はテスト前だったからプレゼントを用意できていないけれど、僕もお祝いの言葉は直接言っておくことにした。

「誕生日おめでとう、花園さん」

「リョウスケもありがとうございます。物はないようですが」

「うっ……テスト明けには何か用意するよ」

「冗談です。華凛にプレゼントするくらいならミチちゃんに何か買ってあげてください」

「それはまた別の話だから」

「そ、そうだよ、華凛ちゃん」

「いえ。恋人同士は毎日が記念日と聞きますから、その分何か購入する機会も多いのでしょう」

 花園さんは自分で納得しながら頷く。
 じゃあ、昨日は2人で耳を触り合った記念日……って、それはあくまでたとえ話だ。

 それはそれとして、僕がプレゼントを用意できていなかったもう一つ理由は、テスト明けに文芸部で花園さんの誕生会をする予定があるからだった。
 日葵さんが提案した時はテスト前だと知らなかったけど、その後も日葵さんは計画を覚えていて、別のLINEグループで密かに準備は進んでいる。
 もちろん、路ちゃんも事情は知っているので、花園さんにバレないように動いていた。

「ミチちゃんは本のプレゼント、ありがとうございます。文芸部としてしっかり読ませて貰います」

「う、うん。文芸部としてね」

「うん……? 何かおかしなことを言いましたか?」

「ぜ、全然! 本当におすすめだからぜひ読んで欲しい!」

 ……こんな調子で本当に隠し通せているのだろうか。
 個人的な見解だけど、花園さんはするどいところがあるので、路ちゃんの下手な嘘は見抜いてしまいそうな気がする。
 まぁ、そういう僕もわかりやすい性格だと周りから言われるので、路ちゃんにアドバイスしようもない。

「リョウスケ……最近、ミチちゃんの言動に不自然なところがあるのですが、何か聞いてたりしますか?」

「何も聞いていないよ。路ちゃん、結構そういう感じあるでしょ」

「そういう感じがどういう感じかわかりませんが……確かにあるような……ないような」

「まぁまぁ。久々の誕生日だから張り切ってるだけだって」

「久々も何も華凛の誕生日は年一しかないのですが……まぁ。気のせいですが」


 花園さんは少し疑っていたけど、何とかその場しのぎはできた。
 こうなるなら早めにやっておいた方が良かったかもしれないけど……バレるかバレないかとドキドキしている時間も楽しいので、路ちゃんにはもう少し頑張って貰おう。
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