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2年生3学期
2月24日(金)雨のち晴れ 伊月茉奈との日常その13
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祝日明けの金曜日。
テスト前週間に入り、部活動が停止されているので、今日は松永と一緒に帰ろうと思っていた。
「お疲れ、りょーちゃん。帰ろう……と言いたいところだけど、ちょっと茉奈ちゃんから呼ばれてるんだ」
「おお、そうか。だったら僕は一人で帰っとくよ」
「いや、りょーちゃんも呼ばれてるんだよ、これが」
しかし、合流した松永から予想外のことを言われる。
松永に帰ろうと言っていた時点では知らされなかったから、急遽連絡が来たのだろう。
でも、個別に呼ばれるのではなく、一緒に呼ばれるのはどんな用なんだろうと思っていた。
そして、1回で伊月さんとも合流すると、いつになくニコニコしていた。
「お疲れ様です、産賀さん。ついでに呼び出したみたいになってすみません」
「全然いいよ。それで僕にも用事があるの?」
「はい。急で申し訳ないんですけど、この後は予定あったりしますか?」
「ううん。家に帰ってテスト勉強する予定」
「それならちょうど良かった。これから浩太くんと一緒に学校で勉強しませんか?」
「えっ!?」
……と言ったのは松永だった。
どうやら本当に何も聞かされてなかったみたいだ。
「ま、茉奈ちゃん、どういうこと!?」
「浩太くんもそろそろ頑張らなきゃいけない時期だと思って。でも、わたしか産賀さんが一人ずつ誘ってもあれこれ言ってかわそうとするでしょ?」
「そんな……ことはないと思うけどなぁ」
「ううん。そんなことある。だから、今日は産賀さんを巻き込んで勉強して貰おうと思って」
そう言いながら伊月さんは僕に目配せしてきた。
もちろん、そんな打ち合わせをしていないので、ちょっと驚いてしまう。
「ま、マジか。裏切ったな、りょうちゃん……!」
「それは……まぁ、もう3年になるんだし、そろそろ意識変えた方がいいかと思って」
「ぐぬぬ」
「そういうことだから今日くらいは勉強しましょう」
「俺も一応自分なりにやってるんだけどなぁ……」
「それでも成績が少し落ちてるんだから。ね?」
「わ、わかった。2人とも俺のことを考えた故のことだもんな……」
まるで親のような説得の仕方で松永は丸め込まれる。
いや、わざわざ僕を引っ張り出したのだから、それまでは言うことを聞いていなかったのだろう。
「……すみません。産賀さんまで騙すような感じになって。でも、合わせてくれてありがたかったです」
「ちょっとびっくりしたけどね。事前に教えてくれても良かったのに」
「それは……産賀さんは騙すのがあまり得意そうじゃないと思ったので……」
「ああ……」
「す、すみません! 浩太くんを説得するには悟られないようにした方がいいと思って……」
「い、いや。むしろ、僕のことわかってくれてるようで良かったよ。特に松永だと見抜かれそうだし」
「2人とも何の話してるんだー? 俺は結構やる気になってきてるんだぞー!」
「この件のお礼はまたしますので、今日はよろしくお願いします」
その後、僕ら3人は自習室へ行き、しっかりとテスト勉強をした。
時折、伊月さんが松永を見張るような目で見ていたけど、僕からすると真面目に取り組んでいたように見える。
これをきっかけに松永も意識が変われば……と押し付けるのは良くないか。
その辺りはひとまず伊月さんに任せよう。
テスト前週間に入り、部活動が停止されているので、今日は松永と一緒に帰ろうと思っていた。
「お疲れ、りょーちゃん。帰ろう……と言いたいところだけど、ちょっと茉奈ちゃんから呼ばれてるんだ」
「おお、そうか。だったら僕は一人で帰っとくよ」
「いや、りょーちゃんも呼ばれてるんだよ、これが」
しかし、合流した松永から予想外のことを言われる。
松永に帰ろうと言っていた時点では知らされなかったから、急遽連絡が来たのだろう。
でも、個別に呼ばれるのではなく、一緒に呼ばれるのはどんな用なんだろうと思っていた。
そして、1回で伊月さんとも合流すると、いつになくニコニコしていた。
「お疲れ様です、産賀さん。ついでに呼び出したみたいになってすみません」
「全然いいよ。それで僕にも用事があるの?」
「はい。急で申し訳ないんですけど、この後は予定あったりしますか?」
「ううん。家に帰ってテスト勉強する予定」
「それならちょうど良かった。これから浩太くんと一緒に学校で勉強しませんか?」
「えっ!?」
……と言ったのは松永だった。
どうやら本当に何も聞かされてなかったみたいだ。
「ま、茉奈ちゃん、どういうこと!?」
「浩太くんもそろそろ頑張らなきゃいけない時期だと思って。でも、わたしか産賀さんが一人ずつ誘ってもあれこれ言ってかわそうとするでしょ?」
「そんな……ことはないと思うけどなぁ」
「ううん。そんなことある。だから、今日は産賀さんを巻き込んで勉強して貰おうと思って」
そう言いながら伊月さんは僕に目配せしてきた。
もちろん、そんな打ち合わせをしていないので、ちょっと驚いてしまう。
「ま、マジか。裏切ったな、りょうちゃん……!」
「それは……まぁ、もう3年になるんだし、そろそろ意識変えた方がいいかと思って」
「ぐぬぬ」
「そういうことだから今日くらいは勉強しましょう」
「俺も一応自分なりにやってるんだけどなぁ……」
「それでも成績が少し落ちてるんだから。ね?」
「わ、わかった。2人とも俺のことを考えた故のことだもんな……」
まるで親のような説得の仕方で松永は丸め込まれる。
いや、わざわざ僕を引っ張り出したのだから、それまでは言うことを聞いていなかったのだろう。
「……すみません。産賀さんまで騙すような感じになって。でも、合わせてくれてありがたかったです」
「ちょっとびっくりしたけどね。事前に教えてくれても良かったのに」
「それは……産賀さんは騙すのがあまり得意そうじゃないと思ったので……」
「ああ……」
「す、すみません! 浩太くんを説得するには悟られないようにした方がいいと思って……」
「い、いや。むしろ、僕のことわかってくれてるようで良かったよ。特に松永だと見抜かれそうだし」
「2人とも何の話してるんだー? 俺は結構やる気になってきてるんだぞー!」
「この件のお礼はまたしますので、今日はよろしくお願いします」
その後、僕ら3人は自習室へ行き、しっかりとテスト勉強をした。
時折、伊月さんが松永を見張るような目で見ていたけど、僕からすると真面目に取り組んでいたように見える。
これをきっかけに松永も意識が変われば……と押し付けるのは良くないか。
その辺りはひとまず伊月さんに任せよう。
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