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2年生3学期
2月22日(水)晴れ 奮起する大山亜里沙その6
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猫の日の水曜日。
産賀家は祖父母も含めて動物を飼ったことがないけれど、別に苦手とかアレルギーとかがあるわけではなく、普通に猫の動画は見ているらしい(僕は進んで見ていない)。
でも、しっかり責任を持てないなら、動画で見るくらいがちょうどいいのだろう。
そんな日付に合わせた話は置いといて、本日も塾でテストに向けた講義を受けていく。
「アタシ、今回のテストは平均85点以上取る!」
その講義の休み時間、大山さんは僕らに向けて急にそう宣言する。
あまりに唐突だったので、僕らはぽかんとしてしまった。
「えっ……みんなノーリアクション」
「いや、亜里沙。全くそういう話の流れじゃなかったらこうなる」
「そ、それもそっか。でも、せっかく塾に入って最初のテストだから気合を入れておこうかと思って」
「うん。そういう言霊的な考え方は大事だと思う」
「そういうこと」
「ふーん。亜里沙ってそんなに成績悪かった印象ないけどなぁ。少なくとも私よりはいいだろうし」
「そう言う美里も悪くはないから……今はアタシの方ができてないカモ」
そういえば、大山さんが塾に入ったのは新しい目標を立てるためだったと思い出す。
最近は学校だと席が離れて、ノートを写させて欲しいと言われることもなくなったし、塾で勉強する様子は、非常に頑張っているように見えた。
それでも今の大山さんは少し自信が無さそうなのは……かなり偏差値が上の大学を目指しているとか、そういうことなのだろうか。
「亜里沙って普段の様子と比べると結構真面目だよね」
「あっ、普段は真面目じゃないってコト?」
「そこまでは言ってないけど……実際、みーちゃんも最初はやんちゃ寄りの女子に見えたでしょ?」
「え、えっと……」
「ミチ。全然怒らないから正直に言ってみて」
「……わたしとは全く違うタイプだと思ってた」
「そっかぁ……いやまぁ、そうだよね」
「じゃあ、産賀くんは?」
重森さんは完全に会話から外れていると油断していた僕に聞いてくる。
すると、大山さんと路ちゃんの目線が一気に集まってきた。
「僕は……積極的に話してくれて助かったって印象があるかな。1年生の研修の時ね」
「うぶクン、意外とその話掘り返すよね」
「えっ? 最初に会った時だから覚えてるものじゃない?」
「そうだケド……よっぽどその時のアタシが印象的だったのかなぁって」
「ちなみに私は――」
その後、休み時間が終わるまで大山さんの最初の印象について、あれこれと言っていた。
指僕にとっての大山さんは研修旅行の時の印象が真っ先に出るのは……恐らくそれから大きく印象が変わらないからだと思う。
間に色々あったのは確かだけど、それを経て今の大山さんと僕は普通の友達の枠に収まっている……はずだ。
自分で書いておいてなぜか不安になったのは……今はよくわからならい。
産賀家は祖父母も含めて動物を飼ったことがないけれど、別に苦手とかアレルギーとかがあるわけではなく、普通に猫の動画は見ているらしい(僕は進んで見ていない)。
でも、しっかり責任を持てないなら、動画で見るくらいがちょうどいいのだろう。
そんな日付に合わせた話は置いといて、本日も塾でテストに向けた講義を受けていく。
「アタシ、今回のテストは平均85点以上取る!」
その講義の休み時間、大山さんは僕らに向けて急にそう宣言する。
あまりに唐突だったので、僕らはぽかんとしてしまった。
「えっ……みんなノーリアクション」
「いや、亜里沙。全くそういう話の流れじゃなかったらこうなる」
「そ、それもそっか。でも、せっかく塾に入って最初のテストだから気合を入れておこうかと思って」
「うん。そういう言霊的な考え方は大事だと思う」
「そういうこと」
「ふーん。亜里沙ってそんなに成績悪かった印象ないけどなぁ。少なくとも私よりはいいだろうし」
「そう言う美里も悪くはないから……今はアタシの方ができてないカモ」
そういえば、大山さんが塾に入ったのは新しい目標を立てるためだったと思い出す。
最近は学校だと席が離れて、ノートを写させて欲しいと言われることもなくなったし、塾で勉強する様子は、非常に頑張っているように見えた。
それでも今の大山さんは少し自信が無さそうなのは……かなり偏差値が上の大学を目指しているとか、そういうことなのだろうか。
「亜里沙って普段の様子と比べると結構真面目だよね」
「あっ、普段は真面目じゃないってコト?」
「そこまでは言ってないけど……実際、みーちゃんも最初はやんちゃ寄りの女子に見えたでしょ?」
「え、えっと……」
「ミチ。全然怒らないから正直に言ってみて」
「……わたしとは全く違うタイプだと思ってた」
「そっかぁ……いやまぁ、そうだよね」
「じゃあ、産賀くんは?」
重森さんは完全に会話から外れていると油断していた僕に聞いてくる。
すると、大山さんと路ちゃんの目線が一気に集まってきた。
「僕は……積極的に話してくれて助かったって印象があるかな。1年生の研修の時ね」
「うぶクン、意外とその話掘り返すよね」
「えっ? 最初に会った時だから覚えてるものじゃない?」
「そうだケド……よっぽどその時のアタシが印象的だったのかなぁって」
「ちなみに私は――」
その後、休み時間が終わるまで大山さんの最初の印象について、あれこれと言っていた。
指僕にとっての大山さんは研修旅行の時の印象が真っ先に出るのは……恐らくそれから大きく印象が変わらないからだと思う。
間に色々あったのは確かだけど、それを経て今の大山さんと僕は普通の友達の枠に収まっている……はずだ。
自分で書いておいてなぜか不安になったのは……今はよくわからならい。
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