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2年生3学期

2月2日(木)曇り 合格発表 明莉との日常その75

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 連日曇り空が続く木曜日。
 本日は明莉の私立入試の結果が出る日だった。
 結論から言うと……見事合格を掴み取れたので、ひとまず高校進学する道は確保できた。

「もう、そんなに心配しなくても良かったのに。LINEで既読つくのめっちゃ早かったよ?」

 学校から帰って来ると、明莉は少しからかうような感じで言ってくる。
 実際、今日は明莉の連絡が来るまで少しそわそわしていたので、LINEが来た時はすぐに確認してしまった。

「べ、別にたまたまスマホ見てただけだから。それよりも改めておめでとう」

「ありがとー 約束通り何かスイーツおごってくれるんでしょ?」

「もちろん。でも、公立は1ヶ月後なんだし、今回は軽めにしといて」

「それは公立合格なら何でおごってくれるってこと?

「ま、まぁ、考えとくよ」

 私立合格で勢いが付いたのか、今日の明莉はかなり上機嫌だった。
 僕が私立に合格した時は……どうだったろう。安心したのは確かだけど、その後にどんなテンションになったか、もう忘れてしまった。

「それと、僕以外もお祝いの言葉をくれたのを伝えとく」

「うん。大山先輩はLINEくれたよ。いやぁ、いつの間にかみんなの妹になっちゃったなぁ」

「みんなは言い過ぎじゃないか?」

「でも、りょうちゃんが言いふらしてるのは本当のことでしょ?」

「そ、そうっすね……」

「別に悪いことじゃないから申し訳なさそうにしなくてもいいのに」

 明莉はそう言ってくれるけど、自分でもちょっと言いふらし過ぎた自覚があった。

「まぁ、これであかりもようやく本腰を入れられるよ」

「そうか。あんまり無理はしないようにな」

「今年のバレンタイン」

「えっ!? そっち!?」

「いや、実際重要でしょ。付き合ってから初めてのバレンタインだし、来週はりょうちゃん修学旅行に行っちゃうから、色々するならこのタイミングしかないし」

「……それって、今年も僕が手伝うってこと?」

「だって、今年の明莉は勉強に手一杯だったから料理の腕は一ミリを上がってないよ?」

「それなら既製品でいいんじゃ……」

「やだやだー! 味見でいっぱいチョコ食べてストレス減らしたいー」

「そっちが目的か」

「何ならスイーツのおごりは後回しでいいから! お願いね、りょうちゃん」

 明莉は露骨に媚びるようなお願いをしてくる。
 でも、そう言われてしまったら……僕は聞くしかなった。

 今日の本題は私立合格のはずだったけど、印象に残ったのはバレンタインのお願いの方だった。
 この時期は忙しかったからしょうがないけど……約1週間で何とかなるだろうか。
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