上 下
664 / 942
2年生3学期

1月27日(金)曇り 伊月茉奈との日常その11

しおりを挟む
 冷え込みが続く金曜日。
 まだ雪は残っているけど、学校的には平時運行に戻るようで、今日は部活が行われた。
 文芸部内でもここ数日の雪や寒さで話が盛り上がっていた。

「聞いてくださいよ、産賀さん」

 そんな中、伊月さんの話は愚痴っぽい始まり方だった。

「浩太くん、雪の中歩いて帰ったせいでちょっと風邪っぽくなっちゃったんですよ。わたしは送って貰ってたからついでに乗っても良かったのに……」

「…………」

「そもそも雪が降るのはわかりきっていたんだからそのつもりで……」

「ごめん、伊月さん。その日、僕も松永と一緒に歩いて帰ってた……」

「……ええっ!? 産賀さんも!?」

 伊月さんは如何にも予想外だったという反応を見せる。
 伊月さんが言っていることは全部正しいので、変な意地で歩いて帰った僕と松永が悪い。

「申し訳ありませんでした……」

「あ、謝らないでください。わたしはあくまで浩太くんに文句があっただけで……」

「でも、一緒に帰ろうと言われた時に僕も普通に乗り気だったから」

「それは……ちょっと意外です。産賀さんは止めそうなタイプだと思ってました」

「いや、降るのはわかってたんだけど、帰る分には問題ないだろうと思ってたんだ」

「その言い訳、浩太くんからも聞きました」

 そう指摘されて僕は少し恥ずかしくなる。
 変なところで小学生のような思考になってしまうのは、男がいつまでも子どもと言われる所以なのかもしれない。

「でも、産賀さんも気を付けないと駄目ですよ。仮に風邪でも引いたら妹さんの受験に影響があったかもしれないのに」

「お、おっしゃる通りです……」

「……って、すみません! 浩太くんの時と同じ感じで言っちゃいました」

「いやいや。そうやってビシッと言ってくれるのはありがたいよ。きっと松永も同じこと思ってる」

「そうですか? じゃあ、路子先輩に厳しく言うように教えておきますね」

「えっ!?」

「実際どうなんですか? 路子先輩は結構甘やかしてそうな気もしますけど」

「な、何の探り……?」

「純粋に興味があるんです。ここだけの話、路子先輩が産賀さんのこと話す時って……」

「ま、茉奈ちゃん!」

 いつの間にか僕と伊月さんの間に路ちゃんが生えてきていた。

「あっ、路子先輩。話聞いてたのならちょうど良かったです。」

「よ、良くないからぁ!」

 その後、伊月さんは路ちゃんとの会話に移っていったので、詳しいことは聞けなかった。
 2人が普段どんな会話をしているのかは、知りたいような……知らない方がいいような……微妙なところだ。
 とりあえず、僕と松永は伊月さんに怒られそうなことは控えるようにしよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

通り道のお仕置き

おしり丸
青春
お尻真っ赤

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

バッサリ〜由紀子の決意

S.H.L
青春
バレー部に入部した由紀子が自慢のロングヘアをバッサリ刈り上げる物語

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

処理中です...