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2年生3学期
1月27日(金)曇り 伊月茉奈との日常その11
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冷え込みが続く金曜日。
まだ雪は残っているけど、学校的には平時運行に戻るようで、今日は部活が行われた。
文芸部内でもここ数日の雪や寒さで話が盛り上がっていた。
「聞いてくださいよ、産賀さん」
そんな中、伊月さんの話は愚痴っぽい始まり方だった。
「浩太くん、雪の中歩いて帰ったせいでちょっと風邪っぽくなっちゃったんですよ。わたしは送って貰ってたからついでに乗っても良かったのに……」
「…………」
「そもそも雪が降るのはわかりきっていたんだからそのつもりで……」
「ごめん、伊月さん。その日、僕も松永と一緒に歩いて帰ってた……」
「……ええっ!? 産賀さんも!?」
伊月さんは如何にも予想外だったという反応を見せる。
伊月さんが言っていることは全部正しいので、変な意地で歩いて帰った僕と松永が悪い。
「申し訳ありませんでした……」
「あ、謝らないでください。わたしはあくまで浩太くんに文句があっただけで……」
「でも、一緒に帰ろうと言われた時に僕も普通に乗り気だったから」
「それは……ちょっと意外です。産賀さんは止めそうなタイプだと思ってました」
「いや、降るのはわかってたんだけど、帰る分には問題ないだろうと思ってたんだ」
「その言い訳、浩太くんからも聞きました」
そう指摘されて僕は少し恥ずかしくなる。
変なところで小学生のような思考になってしまうのは、男がいつまでも子どもと言われる所以なのかもしれない。
「でも、産賀さんも気を付けないと駄目ですよ。仮に風邪でも引いたら妹さんの受験に影響があったかもしれないのに」
「お、おっしゃる通りです……」
「……って、すみません! 浩太くんの時と同じ感じで言っちゃいました」
「いやいや。そうやってビシッと言ってくれるのはありがたいよ。きっと松永も同じこと思ってる」
「そうですか? じゃあ、路子先輩に厳しく言うように教えておきますね」
「えっ!?」
「実際どうなんですか? 路子先輩は結構甘やかしてそうな気もしますけど」
「な、何の探り……?」
「純粋に興味があるんです。ここだけの話、路子先輩が産賀さんのこと話す時って……」
「ま、茉奈ちゃん!」
いつの間にか僕と伊月さんの間に路ちゃんが生えてきていた。
「あっ、路子先輩。話聞いてたのならちょうど良かったです。」
「よ、良くないからぁ!」
その後、伊月さんは路ちゃんとの会話に移っていったので、詳しいことは聞けなかった。
2人が普段どんな会話をしているのかは、知りたいような……知らない方がいいような……微妙なところだ。
とりあえず、僕と松永は伊月さんに怒られそうなことは控えるようにしよう。
まだ雪は残っているけど、学校的には平時運行に戻るようで、今日は部活が行われた。
文芸部内でもここ数日の雪や寒さで話が盛り上がっていた。
「聞いてくださいよ、産賀さん」
そんな中、伊月さんの話は愚痴っぽい始まり方だった。
「浩太くん、雪の中歩いて帰ったせいでちょっと風邪っぽくなっちゃったんですよ。わたしは送って貰ってたからついでに乗っても良かったのに……」
「…………」
「そもそも雪が降るのはわかりきっていたんだからそのつもりで……」
「ごめん、伊月さん。その日、僕も松永と一緒に歩いて帰ってた……」
「……ええっ!? 産賀さんも!?」
伊月さんは如何にも予想外だったという反応を見せる。
伊月さんが言っていることは全部正しいので、変な意地で歩いて帰った僕と松永が悪い。
「申し訳ありませんでした……」
「あ、謝らないでください。わたしはあくまで浩太くんに文句があっただけで……」
「でも、一緒に帰ろうと言われた時に僕も普通に乗り気だったから」
「それは……ちょっと意外です。産賀さんは止めそうなタイプだと思ってました」
「いや、降るのはわかってたんだけど、帰る分には問題ないだろうと思ってたんだ」
「その言い訳、浩太くんからも聞きました」
そう指摘されて僕は少し恥ずかしくなる。
変なところで小学生のような思考になってしまうのは、男がいつまでも子どもと言われる所以なのかもしれない。
「でも、産賀さんも気を付けないと駄目ですよ。仮に風邪でも引いたら妹さんの受験に影響があったかもしれないのに」
「お、おっしゃる通りです……」
「……って、すみません! 浩太くんの時と同じ感じで言っちゃいました」
「いやいや。そうやってビシッと言ってくれるのはありがたいよ。きっと松永も同じこと思ってる」
「そうですか? じゃあ、路子先輩に厳しく言うように教えておきますね」
「えっ!?」
「実際どうなんですか? 路子先輩は結構甘やかしてそうな気もしますけど」
「な、何の探り……?」
「純粋に興味があるんです。ここだけの話、路子先輩が産賀さんのこと話す時って……」
「ま、茉奈ちゃん!」
いつの間にか僕と伊月さんの間に路ちゃんが生えてきていた。
「あっ、路子先輩。話聞いてたのならちょうど良かったです。」
「よ、良くないからぁ!」
その後、伊月さんは路ちゃんとの会話に移っていったので、詳しいことは聞けなかった。
2人が普段どんな会話をしているのかは、知りたいような……知らない方がいいような……微妙なところだ。
とりあえず、僕と松永は伊月さんに怒られそうなことは控えるようにしよう。
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