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2年生3学期

1月21日(土)晴れ 明莉との日常その73

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 昨日から引き続き寒さが戻ってきた土曜日。
 来週はいよいよ明莉の私立入試だ。
 一応、本命はうちの高校だから保険で受けるようにはなっているけど、こちらも簡単な試験ではないので、油断してはいけない。
 去年……じゃなくて、一昨年の自分を思い出してみると、結果がわかるまで全然安心できていなかった。

「ふぃー……ちょっと休憩~」

 そんなわけで先日の共通テストに続いて、また僕は他人のテストで少し緊張していた。
 しかも身内中の身内だからこの前以上の緊張が生じしていた。

「……どしたの良ちゃん。硬い表情して」

「いや、その……」

 こういう時、安易に「勉強の調子はどう?」と聞くのは良くないことだ。
 明莉は根っこが僕と同じだから、心配の言葉もプレッシャーになってしまう可能性がある。
 だけど、清水先輩の件から考えると、身内に遠慮するくらいなら素直に応援した方がいい気もする。

「……ゆっくり休んで英気を養って」

「ゲームの宿屋みたいな台詞。もう良ちゃんは心配性なんだから。どうせ入試についてあんまり言わない方がいいとか思ってるんでしょ」

「ば、バレてたか……」

「まぁ、良ちゃんわかりやすいからね。ちなみに正解は……あんまり言わないで欲しい。なんかここに来てめっちゃ不安になってきた……」

 明莉は珍しく暗い表情を見せる。
 しまった。気を遣ってしまった時点で明莉に意識させることになるのか。

「だ、大丈夫だって。いつもの明莉を出せばそんなに難しいわけじゃないから」

「いつものあかりってなんだっけ……」

「そこまで自信なくなってるの!?」

「だ、だって、あかりは中学受験とかしていないから初めてのことだし、なんか来週は天気悪いからそもそも試験会場に行けるか危ういし、こんな時に限って試験の解答欄が一個ずつズレてたりしたら……」

「いや、うちから試験会場行けなかったらさすがに特別な措置を取られるし、試験の時間も普通にやってれば間違うことはないから」

「初めての受験についてのフォローがない」

「それは……僕もそうだったからやるしかない」

「良ちゃんがそうだったから……確かにあかりよりメンタル弱そうな良ちゃんが行けたなら大丈夫か」

「おいおい」

「でも、実施あかりのメンタルが豆腐なら、良ちゃんのメンタルはメレンゲだと思う」

「メレンゲって脆いというよりは柔らかいような……?」

「もう、とにかくあかりの方が強いの!」

 急に会話の内容が小学生の強さ比べのようになってしまった。
 でも、明莉は少しばかり元気を取り戻したようだ。

「……まぁ、話したおかげでちょっとは落ち着いたかも」

「それなら良かった。明莉なら本当に大丈夫だと思ってるから、本番までできる限りがんばって」

「りょーかい。あー、本番も良ちゃんが隣で常に励ましてくれたらいいんだけどなぁ」

「そりゃあ、許されるならやってあげたいけど」

「えっ。さすがに許される世界でも実際にやられたら恥ずかしんだけど」

「そっちが言ったのに!?」

 最後はいつも通りのやり取りになってしまったけど、変に緊張し過ぎずいつも通りにしていた方がお互いにとっていいのだと思った。
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