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2年生冬休み
1月4日(水)晴れ 友人との冬休み
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冬休み12日目。
社会人の方々は仕事初めの人もいる日であり、テレビ番組も朝の編成は通常通りに戻っていた。
そんな中、僕を含めたいつもの3人は松永に呼び出されて集まることになる。
集合場所はいつもならカラオケになるけど、松永はファミレスを指定してきた。
「……今日、皆さんに集まって貰ったのは他でもない」
「新年の挨拶か?」
「そうそう、あけおめことよろー……って、違う! 会って言うのも大事だけど、1日に済ませたでしょうが!」
「だったら、なぜわざわざファミレスなんだ。男子会でも開きたかったのか」
いつもと違う感じだったせいか、本田くんは松永に色々言っている。
でも、僕はこの会が何のために開かれたかわかっていた。
「ある意味そうかもしれない。りょうちゃん、1日に会った件だけど、茉奈ちゃんから話を聞かせて貰ったよ。だけど、りょうちゃんの口からも改めて聞かせて貰おうか」
「お、おう……えっと、この度僕は岸本路子さんとお付き合いすることになりました。同じ部活動で、今は同じクラスです」
「りょーちゃん、おめでとう! でも、なんでもっと早く言ってくれなかったんだよぉ! ……あれ?」
松永のテンションは最高潮になったけど、それに対して本田くんと大倉くんは冷静だった。
「おお、それは良かった。新年からめでたい話が聞けたな」
「ありがとう、本田くん。色々助言してくれたのが助かったよ」
「えっ!? ポンちゃん助言とかしてたの!? 聞いてないんですけど!?」
「言ってないからな」
「じゃ、じゃあ、クラさんは……」
「ぼ、ボクはアドバイスできることはなかったけど……告白が成功したのは当日に聞いたよ」
「なんで!? 俺だけハブられてるじゃん! どういうことなんだ、りょーちゃん!?」
「いや、それで言ったら松永だって伊月さんと付き合い始めたって報告するの遅かったじゃないか」
「うちはうち、よそはよそだから」
「理由になってない。なんかごめんね、2人とも。わざわざこんなことで呼び出して」
僕が松永の代わりにそう言うと、本田くんと大倉くんはにこやかに笑い返す。
しかし、松永の熱はまだ収まっていなかった。
「こんなことじゃないわ! あのりょーちゃんが彼女を作ったというのに、2人ともリアクション薄すぎるぞ」
「どのりょーちゃんだよ。ともかく松永の本題は済んだなら、別のところへ遊びに……」
「いーや、まだ終わってないね。茉奈ちゃんもざっくりした情報しか教えてくれなかったし、根掘り葉掘り聞かせて貰う」
「そう言われてもまだ話せるようなネタはないよ。まぁ、一つあるとすれば……誰かさんが路ちゃんを遠回しに後押ししてたって聞いたことくらいか」
僕がわざとらしくそう言うと、松永は急に目線を逸らした。
「な、なんのことかな?」
「なんで隠すんだよ。さっきから全然知らなかった風に驚かれるから、僕はちょっと困惑してるぞ」
「べ、別に俺と岸本ちゃんの会話の中では産賀良助という特定個人を指すような会話はしてないから……」
「まぁ、そういうことにしておくか。とりあえず祝ってくれてありがとう、松永」
「……どういたしまして」
僕の素直にお礼を言うと、松永は少し照れているように見えた。
なんだかんだ言いながらも僕を心配してくれていたのはわかっているので、報告する場を作ってくれたのは感謝しておこう。
「じゃあ、メインディッシュは終わったから……次はポンちゃんの近況でも聞いとく?」
「なんかついでのように言われている気がするが……」
「全然そんなことない。ポンちゃんもさぞ楽しい冬を……あっ」
松永が急停止したのは……大倉くんから発せられる謎の気を感じ取ったからだった。
「……い、いいよね。みんなはリア充になっちゃってさ……フフフ。たくさん楽しい話聞かされるんだろうなぁ……」
「ち、違うよ、クラさん! 別にそういうつもりじゃなくて、本題はりょうちゃんを祝うことだから……ね、りょーちゃん」
「あ、ああ。もちろん」
「……産賀くんも最近は通話してくれないし……通話しても無意識に惚気っぽい話題古しさ……でも、爆発しろって言える権利があるのはボクだけなんだ……」
「ご、ごめん! 本当に無意識だから知らなかった!」
「とりあえず次の場所を探そう。なるべく……倉さんが癒される場所へ」
その後は久しぶりに4人でゲーセンへ行き、大倉くんの無双っぷりを見ながら過ごした。
まさか僕も大倉くんを苦しめているとは知らなかったので、松永の招集を本当に感謝しなければならない。
次に集まる時は恋愛の話は抜きにして、純粋に男子だけの馬鹿をやりたいと思った。
社会人の方々は仕事初めの人もいる日であり、テレビ番組も朝の編成は通常通りに戻っていた。
そんな中、僕を含めたいつもの3人は松永に呼び出されて集まることになる。
集合場所はいつもならカラオケになるけど、松永はファミレスを指定してきた。
「……今日、皆さんに集まって貰ったのは他でもない」
「新年の挨拶か?」
「そうそう、あけおめことよろー……って、違う! 会って言うのも大事だけど、1日に済ませたでしょうが!」
「だったら、なぜわざわざファミレスなんだ。男子会でも開きたかったのか」
いつもと違う感じだったせいか、本田くんは松永に色々言っている。
でも、僕はこの会が何のために開かれたかわかっていた。
「ある意味そうかもしれない。りょうちゃん、1日に会った件だけど、茉奈ちゃんから話を聞かせて貰ったよ。だけど、りょうちゃんの口からも改めて聞かせて貰おうか」
「お、おう……えっと、この度僕は岸本路子さんとお付き合いすることになりました。同じ部活動で、今は同じクラスです」
「りょーちゃん、おめでとう! でも、なんでもっと早く言ってくれなかったんだよぉ! ……あれ?」
松永のテンションは最高潮になったけど、それに対して本田くんと大倉くんは冷静だった。
「おお、それは良かった。新年からめでたい話が聞けたな」
「ありがとう、本田くん。色々助言してくれたのが助かったよ」
「えっ!? ポンちゃん助言とかしてたの!? 聞いてないんですけど!?」
「言ってないからな」
「じゃ、じゃあ、クラさんは……」
「ぼ、ボクはアドバイスできることはなかったけど……告白が成功したのは当日に聞いたよ」
「なんで!? 俺だけハブられてるじゃん! どういうことなんだ、りょーちゃん!?」
「いや、それで言ったら松永だって伊月さんと付き合い始めたって報告するの遅かったじゃないか」
「うちはうち、よそはよそだから」
「理由になってない。なんかごめんね、2人とも。わざわざこんなことで呼び出して」
僕が松永の代わりにそう言うと、本田くんと大倉くんはにこやかに笑い返す。
しかし、松永の熱はまだ収まっていなかった。
「こんなことじゃないわ! あのりょーちゃんが彼女を作ったというのに、2人ともリアクション薄すぎるぞ」
「どのりょーちゃんだよ。ともかく松永の本題は済んだなら、別のところへ遊びに……」
「いーや、まだ終わってないね。茉奈ちゃんもざっくりした情報しか教えてくれなかったし、根掘り葉掘り聞かせて貰う」
「そう言われてもまだ話せるようなネタはないよ。まぁ、一つあるとすれば……誰かさんが路ちゃんを遠回しに後押ししてたって聞いたことくらいか」
僕がわざとらしくそう言うと、松永は急に目線を逸らした。
「な、なんのことかな?」
「なんで隠すんだよ。さっきから全然知らなかった風に驚かれるから、僕はちょっと困惑してるぞ」
「べ、別に俺と岸本ちゃんの会話の中では産賀良助という特定個人を指すような会話はしてないから……」
「まぁ、そういうことにしておくか。とりあえず祝ってくれてありがとう、松永」
「……どういたしまして」
僕の素直にお礼を言うと、松永は少し照れているように見えた。
なんだかんだ言いながらも僕を心配してくれていたのはわかっているので、報告する場を作ってくれたのは感謝しておこう。
「じゃあ、メインディッシュは終わったから……次はポンちゃんの近況でも聞いとく?」
「なんかついでのように言われている気がするが……」
「全然そんなことない。ポンちゃんもさぞ楽しい冬を……あっ」
松永が急停止したのは……大倉くんから発せられる謎の気を感じ取ったからだった。
「……い、いいよね。みんなはリア充になっちゃってさ……フフフ。たくさん楽しい話聞かされるんだろうなぁ……」
「ち、違うよ、クラさん! 別にそういうつもりじゃなくて、本題はりょうちゃんを祝うことだから……ね、りょーちゃん」
「あ、ああ。もちろん」
「……産賀くんも最近は通話してくれないし……通話しても無意識に惚気っぽい話題古しさ……でも、爆発しろって言える権利があるのはボクだけなんだ……」
「ご、ごめん! 本当に無意識だから知らなかった!」
「とりあえず次の場所を探そう。なるべく……倉さんが癒される場所へ」
その後は久しぶりに4人でゲーセンへ行き、大倉くんの無双っぷりを見ながら過ごした。
まさか僕も大倉くんを苦しめているとは知らなかったので、松永の招集を本当に感謝しなければならない。
次に集まる時は恋愛の話は抜きにして、純粋に男子だけの馬鹿をやりたいと思った。
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