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2年生冬休み
1月1日(日)岸本路子との冬デートその2
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冬休み9日目かつ2023年の始まり。
年越しまで起きていたので、就寝は3時ごろになってしまったけど、今日は路ちゃんと初詣に行くので昼前まで寝るわけにはいかなかった。
こんなに短いスパンで会うとは思っていなかったけど……こういうのが初々しいカップルらしさなのだろうか。
それよりも正月に初詣へ行くのが初めてなので、そちらの方で妙な緊張感があった。
午前9時半に路ちゃんと集合した後、地元の小さな神社を目指して歩き出す。
「うちも毎年行くわけじゃないのだけれど、行くとしたらそこになるの」
「そうなんだ。ちょっと調べてみたけど、この周辺にも神社仏閣は結構あるんだね。僕は2か所くらいしか知らなかったよ」
「わたしも場所としては全然。それどころか詳しいご利益もわかってないから……そう考えると神様にお礼を言う身としては不真面目かも」
「まぁ、絶対に行かなきゃいけないなら、僕は16年間神様に失礼を働いていることになるから……」
僕の冗談に路ちゃんはクスリと笑う。
いや、これで今年から運気がいいと感じてしまったら、今まで初詣へ行かなかったことを後悔することになるんだけど。
それから20分ほどして神社に到着すると、僕が想像していたよりも参拝者が来ていた。
僕のイメージだとみんなもっと大きめの神社に参拝して、ついでに周辺を観光するという感じだったので、小さな神社だともっと空いていると思っていた。
「良助くん。参拝のやり方だけれど……一応説明した方がいい?」
「よろしくお願いするよ」
「うん。お賽銭箱の前まで来たら、まずは……」
参拝待ちの間、僕は路ちゃんから参拝のマナーを教えて貰う。
こういう時は恥ずかしがらずに聞いておくべきだ。
そして、5分ほど待つと順番がきたので、僕は言われた通りに実践する。
少しばかり後ろの目線が気になるのは、僕が初めての参拝だからだろうか。
それでも聞いたおかげでスムーズにできたと思う。
「よし。じゃあ、この後は……せっかくだから何か温かいものでも食べに行こうか」
「いいの?」
「うん。お汁粉とかお正月っぽいもの食べられる店は……」
「おーい、りょーちゃん!」
僕がスマホで検索しようとすると、聞き覚えのある声が僕を呼ぶ。
「ま、松永!?」
「いやー、りょーちゃん家は初詣行かないと思っていたけど、見覚えのある後ろ姿だと思ったらやっぱりそうだった。今年は……岸本さん!?」
「あ、あけましておめでとうございます。松永くん」
先ほど後ろから感じたのは松永からの目線だったのか。
しかし、松永も隣にいるのが岸本さんだと認識していなかったようだ。
「えっ、新年からりょーちゃんと岸本さんが一緒に初詣を……? それってつまり……」
「こーら、浩太くん」
松永が何か言いかける前に、伊月さんが割り込んでくる。
「産賀さん、路先輩、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」
「う、うん。あけましておめでとう、」
「こ、こちらこそよろしくお願いするわ」
「ちょっと茉奈ちゃん! これはいったいどういう……」
「はいはい。また後で教えるから2人の邪魔はしないようにねー それじゃあ、わたし達は失礼します」
そのまま伊月さんは松永を引き連れて先に帰って行った。
「……良助くん。松永くんには言ってなかったんだ」
「なんか言うタイミングが無くて……今も逃しちゃったけど」
「わ、わたしは結構周りに言っているけれど……もしかして喋り過ぎだったりする……?」
「いやいや。全然そんなことないと思う。実際、松永が付き合い始めたと知ったのだいぶ後だったから、男子は変に探ってるのかも」
「そういうものなんだ……あのね、良助くん。実は直接的じゃないのだけれど、松永くんとのお話もわたしにとっては良い後押しになっていたの。だから……」
「うん。今度また会った時にはちゃんと教えるよ。その時は……僕の方が報告が早かったって言うから」
それを聞いた路ちゃんは安心したように笑った。
クリスマス前に松永が言いたかったことは、恐らく今、路ちゃんが言った件を何となく察していたからだろう。
つまりはさっきの反応は初見の驚きではなく、納得した驚きだったのかもしれない。
伊月さんにも変に気を遣わせてしまったので、なるべく早めに松永と話そうと思った。
年越しまで起きていたので、就寝は3時ごろになってしまったけど、今日は路ちゃんと初詣に行くので昼前まで寝るわけにはいかなかった。
こんなに短いスパンで会うとは思っていなかったけど……こういうのが初々しいカップルらしさなのだろうか。
それよりも正月に初詣へ行くのが初めてなので、そちらの方で妙な緊張感があった。
午前9時半に路ちゃんと集合した後、地元の小さな神社を目指して歩き出す。
「うちも毎年行くわけじゃないのだけれど、行くとしたらそこになるの」
「そうなんだ。ちょっと調べてみたけど、この周辺にも神社仏閣は結構あるんだね。僕は2か所くらいしか知らなかったよ」
「わたしも場所としては全然。それどころか詳しいご利益もわかってないから……そう考えると神様にお礼を言う身としては不真面目かも」
「まぁ、絶対に行かなきゃいけないなら、僕は16年間神様に失礼を働いていることになるから……」
僕の冗談に路ちゃんはクスリと笑う。
いや、これで今年から運気がいいと感じてしまったら、今まで初詣へ行かなかったことを後悔することになるんだけど。
それから20分ほどして神社に到着すると、僕が想像していたよりも参拝者が来ていた。
僕のイメージだとみんなもっと大きめの神社に参拝して、ついでに周辺を観光するという感じだったので、小さな神社だともっと空いていると思っていた。
「良助くん。参拝のやり方だけれど……一応説明した方がいい?」
「よろしくお願いするよ」
「うん。お賽銭箱の前まで来たら、まずは……」
参拝待ちの間、僕は路ちゃんから参拝のマナーを教えて貰う。
こういう時は恥ずかしがらずに聞いておくべきだ。
そして、5分ほど待つと順番がきたので、僕は言われた通りに実践する。
少しばかり後ろの目線が気になるのは、僕が初めての参拝だからだろうか。
それでも聞いたおかげでスムーズにできたと思う。
「よし。じゃあ、この後は……せっかくだから何か温かいものでも食べに行こうか」
「いいの?」
「うん。お汁粉とかお正月っぽいもの食べられる店は……」
「おーい、りょーちゃん!」
僕がスマホで検索しようとすると、聞き覚えのある声が僕を呼ぶ。
「ま、松永!?」
「いやー、りょーちゃん家は初詣行かないと思っていたけど、見覚えのある後ろ姿だと思ったらやっぱりそうだった。今年は……岸本さん!?」
「あ、あけましておめでとうございます。松永くん」
先ほど後ろから感じたのは松永からの目線だったのか。
しかし、松永も隣にいるのが岸本さんだと認識していなかったようだ。
「えっ、新年からりょーちゃんと岸本さんが一緒に初詣を……? それってつまり……」
「こーら、浩太くん」
松永が何か言いかける前に、伊月さんが割り込んでくる。
「産賀さん、路先輩、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」
「う、うん。あけましておめでとう、」
「こ、こちらこそよろしくお願いするわ」
「ちょっと茉奈ちゃん! これはいったいどういう……」
「はいはい。また後で教えるから2人の邪魔はしないようにねー それじゃあ、わたし達は失礼します」
そのまま伊月さんは松永を引き連れて先に帰って行った。
「……良助くん。松永くんには言ってなかったんだ」
「なんか言うタイミングが無くて……今も逃しちゃったけど」
「わ、わたしは結構周りに言っているけれど……もしかして喋り過ぎだったりする……?」
「いやいや。全然そんなことないと思う。実際、松永が付き合い始めたと知ったのだいぶ後だったから、男子は変に探ってるのかも」
「そういうものなんだ……あのね、良助くん。実は直接的じゃないのだけれど、松永くんとのお話もわたしにとっては良い後押しになっていたの。だから……」
「うん。今度また会った時にはちゃんと教えるよ。その時は……僕の方が報告が早かったって言うから」
それを聞いた路ちゃんは安心したように笑った。
クリスマス前に松永が言いたかったことは、恐らく今、路ちゃんが言った件を何となく察していたからだろう。
つまりはさっきの反応は初見の驚きではなく、納得した驚きだったのかもしれない。
伊月さんにも変に気を遣わせてしまったので、なるべく早めに松永と話そうと思った。
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