634 / 942
2年生冬休み
12月28日(水)晴れ時々曇り 大山亜里沙との冬遊びⅡ
しおりを挟む
冬休み5日目。
今日は終日家で過ごそうと考えていたけど、昨日に家から帰った際、路ちゃんから謎のLINEにグループ招待される。
そこには大山さんと花園さんの名前が入っていたので、一応知り合い4人ではあるんだけど……明らかに僕だけ浮いていた。
それからこのグループが4人で出かけるために作られたと言われて、そのままの流れでみんなが空いている日を聞いていくと、翌日すぐに遊びに行くことになってしまった。
もちろん、僕はずっと暇なんだけど……やっぱり僕だけ浮いている。
「やっほ、うぶクン。この度は……おめでとー!」
「良助……無事に済んで良かったです」
集合場所に着くや否や大山さんと花園さんはそんな言葉をかけてくれる。
「ホントは今日も2人で普通にデートすればいいじゃんって思ってるんだケド……」
「わ、わたしが2人に色々相談してたから……そのお礼も兼ねてみんなで遊びに行けたらと思って」
「華凛もそんな気遣いは必要ないと言ったのですが……まぁ、遊びに行くのは悪くないと思ったので」
そういう事情であるなら仕方ない。
過程の良し悪しはともかく、2人が色々尽力してくれたのは僕もよくわかっている。
けれども……
「それなら3人で行っても良かったんじゃ……」
「うぶクン。それマジに言ってるの?」
「付き合いたてでもう天狗になってるのですか?」
「違う違う。何となく浮いているような気がして……」
「ご、ごめんなさい。わたしが……来てくれた方がいいと思って」
「あっ、いや……呼んでくれて嬉しいです」
僕は思わず畏まった言い方で答えてしまう。
昨日、忘年会で会ったばかりだけど、人数が少なくなるほど僕と路ちゃんは緊張してしまう。
「なんていうか……思ってた以上に初々しい」
「もっとイチャイチャしてるものかと思っていました」
「ふ、ふたりとも、そんなマジマジと見られるのは……」
「ミチ、自分から呼んでおいてそれは無理があるよ? ちょっとくらいは見学させて貰わらないと!」
「華凛たちは背景のモブだと思って遠慮なく」
2人の弄りに路ちゃんは恥ずかしがりながらも楽しそうな表情をしていた。
昨日も、関係性を明かしてから話している時はこんな感じだったから、もしかしたら周りに伝えたい気持ちがあったんだろうか。
自慢ではないけど、口に出していたい感じ。
その点で言えば、僕は男の友人間だと大倉くんにしか話せていない。
本田くんには助言して貰ったし、僕もこんな風にみんなを集めて報告すべきなんだろうか……いや、なんか違うな。
それはともかく、一旦話を終えた僕らは大山さんの案内で様々な店を回っていく。
何気に大山さんと学校以外で会うのは久しぶりだし、花園さんに関しては普通に遊んだのは初めてかもしれない。
僕がもっと早く行動できていれば、花園さんも路ちゃんと遊びやすかったのだろうか。
「ねぇ、うぶクン」
そんなことを考えていると、路ちゃんと花園さんが2人で話しているタイミングで、大山さんが言う。
「……ホントに今日は迷惑じゃなかった?」
「ううん、迷惑じゃないよ。まぁ、気付いた時には今日行くのが決まってた感じだけど」
「それって、ミチとちゃんと話せてないってこと? ダメだよ、細かいことでも報告し合った方がいいんだから」
「は、はい……」
「……って、アタシが言うのは説得力ないんだけどね。むしろ、アタシが気にしてるだけで、ミチは何も思ってない可能性もある……ううん。たぶん思ってないか。ミチはいい子だもんね」
最近の大山さんはどうしても自分を下げて話を進めてしまうところがある。
僕が他人のことを指摘できる立場ではないけれど……そんなことは気にしないでいいはずなのに。
「……まっ、アタシから言えることは、お幸せにーくらいか。うぶクンなら、なんだかんだで大丈夫だろうし」
「そう言ってくれるとありがたいよ。明莉には凄く不安がられたから」
「マジで……って、ちょっとわかる気はするカモ」
「ええっ!? 大丈夫って言ったばかりなのに!?」
「あはは。それよりも次のお店行かなきゃ。せっかく珍しいメンツで遊べるんだから!」
その後もスイーツ店やアパレルショップを巡って一日が過ぎていった。
女子が3人いる関係上、若干僕は肩身の狭さを感じる場面はあったけど、概ね楽しい一日だった。
今日は終日家で過ごそうと考えていたけど、昨日に家から帰った際、路ちゃんから謎のLINEにグループ招待される。
そこには大山さんと花園さんの名前が入っていたので、一応知り合い4人ではあるんだけど……明らかに僕だけ浮いていた。
それからこのグループが4人で出かけるために作られたと言われて、そのままの流れでみんなが空いている日を聞いていくと、翌日すぐに遊びに行くことになってしまった。
もちろん、僕はずっと暇なんだけど……やっぱり僕だけ浮いている。
「やっほ、うぶクン。この度は……おめでとー!」
「良助……無事に済んで良かったです」
集合場所に着くや否や大山さんと花園さんはそんな言葉をかけてくれる。
「ホントは今日も2人で普通にデートすればいいじゃんって思ってるんだケド……」
「わ、わたしが2人に色々相談してたから……そのお礼も兼ねてみんなで遊びに行けたらと思って」
「華凛もそんな気遣いは必要ないと言ったのですが……まぁ、遊びに行くのは悪くないと思ったので」
そういう事情であるなら仕方ない。
過程の良し悪しはともかく、2人が色々尽力してくれたのは僕もよくわかっている。
けれども……
「それなら3人で行っても良かったんじゃ……」
「うぶクン。それマジに言ってるの?」
「付き合いたてでもう天狗になってるのですか?」
「違う違う。何となく浮いているような気がして……」
「ご、ごめんなさい。わたしが……来てくれた方がいいと思って」
「あっ、いや……呼んでくれて嬉しいです」
僕は思わず畏まった言い方で答えてしまう。
昨日、忘年会で会ったばかりだけど、人数が少なくなるほど僕と路ちゃんは緊張してしまう。
「なんていうか……思ってた以上に初々しい」
「もっとイチャイチャしてるものかと思っていました」
「ふ、ふたりとも、そんなマジマジと見られるのは……」
「ミチ、自分から呼んでおいてそれは無理があるよ? ちょっとくらいは見学させて貰わらないと!」
「華凛たちは背景のモブだと思って遠慮なく」
2人の弄りに路ちゃんは恥ずかしがりながらも楽しそうな表情をしていた。
昨日も、関係性を明かしてから話している時はこんな感じだったから、もしかしたら周りに伝えたい気持ちがあったんだろうか。
自慢ではないけど、口に出していたい感じ。
その点で言えば、僕は男の友人間だと大倉くんにしか話せていない。
本田くんには助言して貰ったし、僕もこんな風にみんなを集めて報告すべきなんだろうか……いや、なんか違うな。
それはともかく、一旦話を終えた僕らは大山さんの案内で様々な店を回っていく。
何気に大山さんと学校以外で会うのは久しぶりだし、花園さんに関しては普通に遊んだのは初めてかもしれない。
僕がもっと早く行動できていれば、花園さんも路ちゃんと遊びやすかったのだろうか。
「ねぇ、うぶクン」
そんなことを考えていると、路ちゃんと花園さんが2人で話しているタイミングで、大山さんが言う。
「……ホントに今日は迷惑じゃなかった?」
「ううん、迷惑じゃないよ。まぁ、気付いた時には今日行くのが決まってた感じだけど」
「それって、ミチとちゃんと話せてないってこと? ダメだよ、細かいことでも報告し合った方がいいんだから」
「は、はい……」
「……って、アタシが言うのは説得力ないんだけどね。むしろ、アタシが気にしてるだけで、ミチは何も思ってない可能性もある……ううん。たぶん思ってないか。ミチはいい子だもんね」
最近の大山さんはどうしても自分を下げて話を進めてしまうところがある。
僕が他人のことを指摘できる立場ではないけれど……そんなことは気にしないでいいはずなのに。
「……まっ、アタシから言えることは、お幸せにーくらいか。うぶクンなら、なんだかんだで大丈夫だろうし」
「そう言ってくれるとありがたいよ。明莉には凄く不安がられたから」
「マジで……って、ちょっとわかる気はするカモ」
「ええっ!? 大丈夫って言ったばかりなのに!?」
「あはは。それよりも次のお店行かなきゃ。せっかく珍しいメンツで遊べるんだから!」
その後もスイーツ店やアパレルショップを巡って一日が過ぎていった。
女子が3人いる関係上、若干僕は肩身の狭さを感じる場面はあったけど、概ね楽しい一日だった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
庭木を切った隣人が刑事訴訟を恐れて小学生の娘を謝罪に来させたアホな実話
フルーツパフェ
大衆娯楽
祝!! 慰謝料30万円獲得記念の知人の体験談!
隣人宅の植木を許可なく切ることは紛れもない犯罪です。
30万円以下の罰金・過料、もしくは3年以下の懲役に処される可能性があります。
そうとは知らずに短気を起こして家の庭木を切った隣人(40代職業不詳・男)。
刑事訴訟になることを恐れた彼が取った行動は、まだ小学生の娘達を謝りに行かせることだった!?
子供ならば許してくれるとでも思ったのか。
「ごめんなさい、お尻ぺんぺんで許してくれますか?」
大人達の事情も知らず、健気に罪滅ぼしをしようとする少女を、あなたは許せるだろうか。
余りに情けない親子の末路を描く実話。
※一部、演出を含んでいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる